• ベストアンサー

天人五衰の「脇下汗出」の読み方

 仏教で、天人の死の前兆として現れるという「天人五衰」(三島由紀夫の『豊饒の海』第4巻のタイトルにもなってますね)の一つが、ウィキペディアでは 脇下汗出:えきかかんりゅう(脇の下から汗が流れ出る) となっているのですが、「出」を「りゅう」とよむケースは見たことがなかったので、「えきかかんりゅう」とひらがなで検索してみたところ「脇下汗流」となっているページがいくつかあり、ますます混迷が深くなってしまいました。手元の辞書等にはこの語を掲載したものがみつかりませんでした。  漢字でどう表記して、どう読むのが正しいのでしょうか。いくつかの言い方があるのでしょうか。  ご教示いただければ幸いです。

質問者が選んだベストアンサー

  • ベストアンサー
  • acephale
  • ベストアンサー率56% (27/48)
回答No.1

やはりWikipediaはいい加減なものですね。 そしてそれを引用して間違っている人の多いこと多いこと・・・。 天人五衰の出典となる曇無讖訳『大般涅槃經』の本文を『大正新脩大蔵経』巻十二を底本にして確認してみますと、 478頁a段27行目に「四者腋下汗出。」とあります。 Wikipediaは「腋」を「脇」と書いていて、意味はどちらも”わき”なのですが、 エキと読むことの出来るのは「腋」のほうで、 「脇」はキョウとしか読むことができません。 このことに気づくことも出来ない方が記述しておられるので、 おそらく「出」をリュウと読んでしまっているのも「腋下汗流」に基づいた単なる誤読でしょう。 「腋下汗出」は「エキゲカンシュツ」と読むのが仏教語としてはふつうではないかと思われます。 大正蔵においては「腋下汗流」という語句は天人五衰とはまったく関係のない他の経典の文章の中に出てきたりもしますが、 腋下汗”出”ではなく腋下汗”流”とした『大般涅槃經』のテクストが他にあるのかまでは確認できておりません。 一般的な天人五衰のひとつを指す表現としては「腋下汗出(えきげかんしゅつ)」と覚えておかれるといいのではないでしょうか。 ちなみに「えき”か”」でもいいのですが、仏教語では通常”下”を”ゲ”と発音します。

usagisan
質問者

お礼

 さっそくの、そしてさすが「専門家」と思わせる的確な回答ありがとうございます。  そうか、『大正新脩大蔵経データベース』という手がありましたね。忘却の彼方にかすんでしまっていました。 http://21dzk.l.u-tokyo.ac.jp/SAT/database.html 大般涅槃經 (No. 0374) 0478a04 - 0478c09: 花萎三者身體臭穢四者腋下汗出五者不樂本座時天 [show] (1 hit)  これですね。でも、思い出してても「脇下」で検索してただろうから、うまくいかなかったと思います。  「えき」は、最初「あれっ」とは思ったんです。「『脇』って、そんな読み方だったかなあ」って。  「脇侍」や「脇息」で思い出してしかるべきでしたね。なんか、悔しい。  「げ」の方は「下品下生」もままならぬ身には、思いもよりませんでした。確かに、おっしゃるとおりです。  おのれの至らなさを痛感するとともに、インターネットの「親亀こけたら皆こけた」の怖さ、安易に「コピペ」することの怖さを思い知りました。  もう少し他の情報が手に入ればと思いますので、しばらくは締め切らないでおきます。  No.1様も、また何か分かったことがありましたら、よろしくお願いします。

その他の回答 (1)

  • bakansky
  • ベストアンサー率48% (3502/7245)
回答No.2

No.1 の回答者の方は博学な方のようで、説得力があります。 ただ、「脇下」に関して、「「えき”か”」でもいいのですが、仏教語では通常”下”を”ゲ”と発音します」と書いておられます。 私は素人ですが、いくら仏教語だとしても、「えき」という漢音に「げ」という呉音を組み合わせることがあるだろうか、という疑問を抱きました。 「えき」という漢音に対しては、同じ漢音の「か」を組み合わせて「か」と読まれるのが自然な気がします。 「かんしゅつ」の部分は、ともに漢音です。

usagisan
質問者

お礼

 回答ありがとうございます。  なるほど、漢音と呉音……そこまでは考えていませんでした。  「腋」エキ(漢)・ヤク(呉)  「下」カ(漢)・ゲ(呉)  「汗」カン(漢)・ガン(呉)  「出」[一]シュツ(漢)・スチ(呉) 〔でる〕     [二]スイ(呉)(漢)     〔だす〕 というわけですね。(学研『漢字源』)  ちなみに、  「品」ヒン(漢)・ホン(呉)  「生」セイ(漢)・ショウ(呉) ですね。(同)  さらに  「顔」ガン(漢)・ゲン(呉) ということで、「そうか、『えきげ』か。」と思ってしまったのは、「ガン・ゲン」の至りなのでしょうか?  ということで、ますます自分の愚かさをさらしている感がありますが、面白くなってきました。もっといろいろ知りたいと思います。  No.2様もまた何か分かりましたらよろしく。

関連するQ&A