あなたの一番知りたいことが(2)の根拠であるならば、私はもう「数学理論的に正しいことを確認」するプロセスについて解説したので、回答は終っているものと解釈しています。
追加質問として、2つ尋ねられていますので、回答しておきます。
まず、座標変換公式ですが、その前に、式(15)(16)について、訂正があります。
正しいのは次式です。
p= xcosθ-ysinθ ・・・(17) ←元(15)
q= xsinθ+ycosθ ・・・(18) ←元(16)
間違いの原因は、局所座標系と全体座標系の、表記の混乱を起こしていたからです。
式(17)(18)が、一般に言うところの座標変換の公式です。
これら2式をまとめて、マトリクス表示すれば、次式のようになります。
{P}=[L]{X} ・・・(21)
[L]=[{cosθ, -sinθ}、{sinθ, cosθ}] ・・・(22)
この[L]が座標変換マトリクスと呼ばれているもので、右辺の{ }の1個目内が1行目、2個目内が2行目の成分を表すものとします。
また、断面2次モーメントを次のようにマトリクス表示します。
[I]=[{Ixx,Ixy}、{Iyx,Iyy}] (ただし、Iyx=Ixy=0)・・・(25)
[I']=[{Ipp,Ipq}、{Iqp,Iqq}] (ただし、Iqp=Ipq)・・・(26)
すると、その座標変換公式は、次のようになります。
[I]=[L]T[I'][L] ・・・(27)
[I']=[L][I][L]T ・・・(28)
次に、「スピードを重視した量産での設計変更時などはどうでしょうか?」という質問に対しての回答です。
(2)は、Ixx,Iyy,θ,A,Lなどの表す幾何学的意味、物理的意味が明確であるということが重要なのです。
もし、あなたの質問が、「(2)を使って全体座標系に変換して計算すれば、良いではないか?」という意味であるなら、それは普通にやっていることですから、”Yes”です。
ただし、主軸方向で計算すれば、Ixx,Iyyだけで良かった(要するに、Ixy=0になる)ものが、傾いた座標系では、Ipqという非ゼロ項が現れてしまうことを忘れてはなりません。
このために、計算が速くなるかどうか、という点については、疑問です。
計算機のなかった昔なら、座標変換をした値を予め計算しておくことには意味があったかも知れません。
ただし、毎回θが変わってくるような構造だと、予め計算しておくことの意味はなくなります。
また、パソコンの表計算ソフトで手軽に計算ができてしまう現代のこと、計算のチェックのためにも、意味の明確な式(28)をベースにした計算式(要するに(2)のそのままの姿)を使用するのが普通であって、式(2)を予め計算してしまう価値はありません。
有限要素法のプログラムの中でさえ、計算式は(28)がベースなのですから。
もしあなたの質問が、「これらに数値を代入して計算して、予めIpp,Iqq、Ipqなどの数値として表してしまえば、計算が簡略化できるではないか?」という意味であるなら、今の時代での答は明確に”No”です。理由は、物理的・幾何学的意味の不明確な数値だけが示されることにより、計算結果の検証がしにくくなることです。
お礼
有難うございました。大変参考になりました。