えー、結構説明するのが難しいんですができるだけ簡単に。
まず肉牛(和牛)の場合ですが、和牛には系統というものがあります。各地域ごとに昔から飼われていたもので、有名なのは但馬とか気高とか糸桜とか田尻とか藤良とかってあるんですが、これらはそれぞれ増体に優れていたり繁殖能力が優れていたり肉質が良かったりと特長があります。もちろん良いことばっかりではなく、増体は悪いけど肉質は良い、とか結構複雑です。で、これらの良いとこを伸ばして悪いとこを補うような交配が今まで重ねられてきました。新しく種牛を作ろうとする場合、まずその中で有望な雄牛と雌牛を交配して子を取ります。まずこいつの肉質やその他の成績を検定します。実際に種牛候補となるのはこの牛の子です(最初から計算すると孫牛です)。この候補牛の精液をたくさんの雌牛に種付けして、産まれた雄牛だけを肥育してまた肉質その他の成績を検定します。この結果、種牛としての素質があると認められた場合にやっと種牛デビューするのです。この間最低でも5年ぐらいかかります。結構たいへんですが、生物学的、科学的に判断するためには最良の方法と言われています。もちろん、おいしい(肉質が良い)だけを基準にするのではなくて、肉の重量があるか(売るときはキロいくらなので多いほうがいいです)、とかロースの部分が大きいか(ロースの面積で等級が決まります)、とかいろんな角度から判断されます。最近ではクローン技術を使って検定の期間を短縮させる方法なんかもあります。
乳牛の場合も、雌牛の能力はお父さん牛の能力で決まると考えて差し支えありません。もちろんお母さん牛の能力と足して2で割ったのが期待できる能力になるのですが、お母さん牛はたくさんいるわけですから、結局はお父さん牛の遺伝的能力がどれだけ優れているかにかかってくるわけです。乳牛の種雄牛候補になるにはいろいろな基準があって、それをクリアしたものが一応候補牛となります。この時点でだいたいどんな遺伝的な性質があるかは予想がついているのですが、これも検定を行なうため日本中あちこちの雌牛に種付けされます。そして産まれてきた雌牛の能力を調べます。検定の内容は乳量や脂肪、乳タンパク質の量、体型からおっぱいの形に至るまでこちらも様々です。それを成績表にまとめて優秀なものだけが広く一般に使われるようになるのです。ですからこちらもたいへん時間のかかる作業となります。乳牛の場合はホルスタイン種が主流となりますので、アメリカやカナダなどから精液が輸入されることも珍しくありませんでしたが、最近は国内の牛の成績もかなりよいので国産のものが多く使われています。
お礼
大変判りやすい説明ありがとうございます。 おおむね理解できたように思います。 「後代検定」というのは聞いたことがありますね。また調べてみようと思います。