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アニリンの合成で用いる塩酸について
アニリンの合成時にはニトロベンゼンを還元するためにスズと塩酸を用いますが、塩酸を他の酸で代用することはできるのでしょうか? 単に酸化還元反応を酸性で行うためなら、むしろ塩化物イオンの酸化など余計な反応がおきない硫酸などの方がいい気がします。 しかしどのような教科書(高校レベル)においても必ず塩酸を用いるとの記述があり、何か塩酸を用いることに特別な理由があるのかと疑問に思っています。 以上より、 ・塩酸以外で代用が可能か? ・塩酸を用いることのメリット の2点について教えていただけたら大変助かります。
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還元反応を行うと言うことは、目的とする物質だけをうまく還元しなければなりません。 硫酸や硝酸のように還元されやすい物質では、競合的な阻害が起こってしまい、副次的な生成物としてしかアニリンはとれないと思います。 そこで使う物質は、還元されにくい塩酸を使うのです。 実験を行う上での理由から見ても、硫酸のような危険な薬品を使うよりも安価で安全な塩酸を使う方がよいのです。
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- OMTOMC
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塩酸を加える理由はニトロベンゼンに塩酸を加えるとアニリンのアミノ基の塩素原子がついたアニリン塩酸塩ができます。 これはこの後に高濃度の水酸化ナトリウムを加え、塩素原子をとるために行います。 硫酸を用いたら水酸化ナトリウムを用いたアニリンへの分解反応を行うことができません。 その前にニトロベンゼンの合成には硫酸と硝酸の混酸をベンゼンと反応させるので、硫酸を加えてもあまり意味がないです。 アニリンの合成へ続けることができません。
お礼
ご解答いただき、ありがとうございました しかし、数点が疑問が残りましたので、質問させてください。 (お時間が許せばお答えいただけると大変うれしいです。 硫酸を加えて反応させた場合も理論的には塩酸と同様にアニリン硫酸塩ができると思われます。これもアニリン塩酸塩と同様に水に可溶な弱塩基の塩ですので、水酸化ナトリウム溶液を加えればアニリンを遊離することができると考えられます。 ですから、硫酸を用いた場合、アニリンへの分解(?)反応ができないという部分が納得できず、もう少し詳しくご教示いただけたらと思っております。 また、後半のニトロベンゼンの合成において硫酸を加えているので、あまり意味がないという部分も私には理解できませんでした。 ニトロベンゼンは合成した後、油滴として取り出され、ほとんど硫酸の存在しない状態で次のアニリンの合成のステップへすすむと考えられますし、アニリンの合成時に酸を加える理由が酸化還元反応の水素イオンを補う役割だとするならば、硫酸を加えても意味があると考えてしまいました。 専門家の方からするとばかげた疑問なのかもしれませんが、もう少し詳しく説明していただけるとうれしいです。
お礼
ありがとうございます。 非常に納得できました。 しかし1点だけ疑問が残り、もしお時間があるようでしたら、教えていただけるとうれしいです。 疑問というのは、硫酸についてです。 確かに硫酸には還元されやすい性質がありますが、 それは濃硫酸の時で希硫酸の場合はそうではなかったと記憶しております。 そのため、希硫酸での代用はできないのだろうか? とついつい思ってしまいました。 ニトロベンゼンは疎水物質ですから、希硫酸では混合が難しく、 反応が進みにくい、けれども濃硫酸では競合反応がおこる、 だから、やっぱり濃塩酸を用いるということでいいのでしょうか?