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反射における物質の色の違いについて
自分で発光しているものから出る光の色は電子が関係しているのだと思いますが、反射で見える物体の表面の色は表面に存在する電子と関係があるのでしょうか。 もしあるとしたら、例えば赤く見える物質と青く見える物質では、電子の動き、働き等が 具体的に どのように違っているのでしょうか。
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【1】放送大学「量子化学・第10回 ミクロの世界の観測」で先日濱田嘉昭先生が講義された内容を、『 』内にまとめます。 ( )内は私の補足・推定ですが、私は光も色もど素人なので、誤りや補足がありましたらご指摘下さい。 『物が見えるのは、可視光が物体に当たって反射するから。 じゃ、どうして光は物体表面で反射するのか。 例えば波長λ=500nm の緑の光の振動数は ν= 6*10^14 Hz。 (えっと、検算。c=30*10^7 m/s、λ=500*10^-9 m、ν=c/λ= 6*10^14 /s、OK。) 光は電磁波で、空気中を1秒間に 6*10^14 回も正負を逆転させながら(真空中の秒速30万kmを真空に対する空気の屈折率≒1で割った、秒速30万kmで)進行する。 物体表面の原子のうち(陽子や中性子に比べて)電子は軽い。 軽い電子は負電荷を持つので、照射された電磁波がプラスの瞬間には、物体表面の電子はそっちへ引っ張られ、マイナスになると反対側に押され、結果として電子が ”揺れる”。 (偏光でない一般の光の振動面はばらばらだから、南北に進む光の光子群を受けた電子は、ある瞬間に東に引っ張られ、次の瞬間上に押しやられる。) 電子(荷電粒子)は振動すると(=運動の速度や方向を変える加速度を得ると)電磁波を発する。 【2】このとき、入射電磁波と同じ振動数の電磁波を発する。』 講義のお話を中断します。 以下あまり自信はないけど、なぜなら・・・ 白色光からは、物体は時々刻々異なる大きさのエネルギー E=hνを受ける。ν:赤や青や黄色の振動数。 入射電磁波のうち例えば”緑の”光子は、物体表面の電子を加速して消滅し、加速された電子は、「エネルギー保存則」により同じ緑の新たな光子=電磁波=を放出する。 従って物体は時々刻々、受けた光子と同じ振動数の光子を放出する。 この際、物体は貰ったエネルギー全部を光子の生成放出に使いきる。 なぜなら、エネルギーを蓄えておく「吸収機構」が働かない波長を反射するのだから、使い切らなければ自己矛盾する。 結局 Eが同じだからνも同じで(E=hν)、入射光と反射光は同じ色になる。 従って残余のエネルギーが蓄えられないから物体の温度は上がらない。これが「反射」と「吸収」が違うところ・・・ って、これだけでは、電子の近くに来た光子は必ず反射か吸収されて、あらゆる物質で可視光が透過できないことになりそうです。 電子は疎らに存在するので光子がすり抜け透過が起きるのなら、黒い服に飛び込んだ可視光線も大部分がすり抜け、黒くは見えなくなる。 そんなことはないので、(X線やγ線よりもエネルギーが低い)可視光の波は物体の電子につかまり易い、までは”推測”できますが、それなら水やガラスに飛び込んだ可視光線の大部分がなぜつかまらない? 結局「透過と区分けするための反射(散乱)の必要条件」がよく判りません。 【3】講義の続き。 『白色光下で天然レモンは黄色く見える。黄色は 570nm付近の光。 レモンは黄色の補色の青付近の色を大きく吸収するので、黄色い光が強く反射される。 ただし実際のレモンの反射光を分光計で測ると、570nm付近に強いピークは出ていない。 短波長側(青付近)の色は大きく吸収されているが、図のように、目立ったピークは全然なく(青→緑→黄緑→黄→赤の順に右上がりに)分光反射光強度がだらだらと上がっている。 ちなみにテレビ(放送大学)でこのレモンを映像として見ている人は、画面が発するRGB(赤・緑・青)の「光の三原色」で合成(加法混色)された光を見ている。 映像レモンの分光反射(強度)スペクトルは、3箇所(*1)にピークを持つ鋸歯状のもので、天然レモンの反射スペクトルとは似ても似つかない。 なお反射色の原色(*1 碧・紅・黄の減法混色)は「色の三原色」という。 結局物体は、ある固有の波長(λ=c/ν)の光を吸収し、その補色が反射されるから、色付いて見える。 ではどうして光は吸収されるか。 それは電子の振舞いによる。物体の分子の中に電子がどのように詰まっているかによる。』 【4】その後講義は別の話に移りましたので、代わりに光の吸収を電子の観点から簡潔に述べているURLを紹介しておきます。 http://fukuti.co.jp/metal_color.pdf 基本的には、電子のバンド間遷移(単原子では励起軌道、分子では励起バンドへのジャンプ)と、自由電子の運動によるもの、だそうです。 【5】で、最後に透過は?といえば、「可視光を吸収・反射する機構を何も持たない物体が透明だ」ということになります。 すべての吸収・反射機構をシラミ潰しに当てはめてみて、どれも該当しないものが透明だ、ということで、表面的にはとても考え易い。 実際は吸収・反射する機構を網羅し検討するのは、難事です。 特に光の吸収機構は種類が多い様子。 木の葉は葉緑素が主に橙~赤の波長を吸収し、吸収された光のエネルギー(のうち光合成に使われた残り)は主に葉っぱの温度を上げ、温度が上がった葉っぱは、そよ風に揺られて常温に冷える。 この結果、物体色(反射色)としては、残余の(補色の)緑が見える。 吸収の場合、機構をひとつ挙げただけで話は一応完結できますが、透明(極端な透過)の説明はこうは行きません。 ガラスはなぜ透明か?約 380~780nmの可視域に吸収や、反射による散乱がないから。(え、どうして?) 自由電子がないからプラズマ振動(→前記URL)は起きない、二重結合もないからπ電子もない。 (しかしSiO4四面体になぜバンド間遷移はおきないの?) ガラスの成分元素、Si,Al,Na,Ca,Mg などのバンド間遷移は可視域よりも高エネ領域にある。ガラスは紫外線をよく吸収する。 しかし微量な遷移元素、たとえば Feを含む自動車用フロントガラスや建築用熱線吸収ガラスなら緑に着色する。 (FeとSiのどこが違うんだ?遷移元素のd軌道内遷移?なにそれ?) 非晶質なので結晶内部界面でのブラッグ条件による反射光の強まりがない、ミー散乱(粒径>λ)やレイリー散乱(粒径<λ)を引き起こす微粒子もないから、バルク内部での散乱による反射もない。表面では反射するが、たいした量じゃない。 (じゃ改めて、なぜ結晶の内部界面で光は反射するの? 格子面たって、実態は面ではなく原子が点在しているだけじゃないか。どうしてすり抜けない?) とか、いろんなケースについていちいち解釈しないとなりません。 透明を説明するために、すべての吸収・反射機構を取り上げ、あれはない、これもないと捨てていくのは、年末大掃除以上に大変な気力・体力・専門知識がいります。 で、考えてみたら私には全部ないので・・・いちやめた。 ガラスはなぜ透明か? 約380~780nmの可視域に吸収や、反射による散乱がないから。え~と、どうしても。
その他の回答 (1)
No1です。訂正します。 【4】電子のバンド間遷移(単原子では励起軌道、分子では励起バンドへのジャンプ) ⇒ 単原子・単分子では励起軌道、結晶など多原子系では励起バンドへのジャンプ
お礼
回答ありがとうございます!
補足
半分近くは理解できたと思います. 自分の言葉で語っていたので、文章にパワーがあり、そのせいか吸収できたみたいです.