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"tanning bleach"とは
光学系の洋書教科書を読んでいて、フィルムに関して "tanning bleach"と"nontanning bleach" という言葉が出てきました。 おそらく日本語は「タニング処理」「非タニング処理」 などと訳されるのだと思うのですがそれぞれがどのような処理なのか、 ご存知の方よろしくお願いします。
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写真フィルムの世界では,bleaching というのは,現像処理されたあとの金属銀を溶解除去するプロセスです.「漂白」と訳します. 銀塩写真の受光体であるハロゲン化銀は,露光部では現像プロセスで金属銀に変換されます(カラーでもモノクロでも同じ).未露光部のハロゲン化銀は定着処理で除去され,モノクロの場合は銀でできた画像が残るわけです.しかし,カラー写真の場合は,最終的にはこの金属銀も除いてしまわないと色素画像にかぶって銀画像が乗ってしまうので,そのような処理が必要で,これが bleach 漂白 です. tanning というのは,これも写真フィルムの世界ではバインダーのゼラチンの硬化が起こることを指します.具体的には分子間に架橋反応がおこることによるので,一般的には膜は(主に厚み方向に)収縮します. 以上の写真の常識的知識からすると,tanning bleach というのは,金属銀を除去する bleach の過程で硬膜がおこるものであり,nontanning ではおこらないということになるのでしょう. 今,ぐぐってみたところ,Joseph W. Goodman の "Introduction to Fourier optics" という本の中の,tanning/nontanning bleach の記述を見つけることができました.おおむね,上の解釈でいいようです. この本に挙がっている例だと,tanning bleach というのは,bleach の過程で硬化・収縮を与えてレリーフ画像が得られる場合で,具体的には重クロム酸塩を用いる古典的な「単純漂白」が該当します.重クロム酸が金属銀を酸化し銀イオンにするときに,Cr3+ が生成し,これが架橋剤になる場合です. 一方,nontanning bleach は,現在のカラーフィルム処理の基本の「再ハロゲン化」漂白に該当します.金属銀をハロゲン化銀に戻すもので,この場合は重クロム酸より弱い酸化剤(古典的には鉄(III)-EDTA錯体)ですむのがポイントです.また,架橋成分が発生しないので,ゼラチン膜には差が出ません.もとの銀の多少にしたがってハロゲン化銀(典型的には塩化銀)の分布が現れます.ゼラチンとハロゲン化銀では屈折率が違うため,これで屈折率変調がかかります.上記の本では「transparent silver halide crystal」に変換されるとなっていますが,量によっては散乱が強く発生します.光学素子としてはそれが問題になることもあるのかもしれません. ところで,タンニング現像という現像法が昔からあります.たとえばホログラム用の現像処理の一種は,じつはこれと同じです.これは現像時にゼラチンを架橋硬化がおこるような現像液処方を用い,未露光部と露光部 (ホログラムでは干渉縞の暗部と明部) で架橋程度の違いを与えるのです.したがって,一般的な低空間周波数の画像であれば,レリーフ画像が得られます.しかしホログラムの干渉縞のような高空間周波数なパターンでは,レリーフはできず,むしろ架橋程度による屈折率の違いによる,位相ホログラムになってしまいます.
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- drmuraberg
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それぞれの単語の意味は次のようです。 タンニング : tanning (Web 光技術用語辞典) 存在している銀塩像に比例して写真乳剤内のゼラチンを硬化し、抵抗性を増す化学処理。 ブリーチイング:bleaching (マグローヒル科学技術用語大辞典) 脱銀や再現像などのために、銀画像などの銀をハロゲン化銀に変える処理。(bleachでの項無し) 日本語訳は「タニングブリーチ処理」「非タニングブリーチ処理」となるかと思います。 tanning=(皮)なめし、bleach=(布の)漂白、の方面なら強いのですが、 写真フィルムは?という者です。