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LEDが拡大している技術的な要因について教えてください。
LEDは携帯電話用のバックライトなど小型エレクトロニクス製品向けからノートパソコン、薄型テレビのバックライトなど中・大型エレクトロニクス製品向けへ採用が拡大しています。これの技術的な要因として、「発光効率の向上」、「高輝度化の進展」という2つの技術的な要因が大きいのか、教えてください。どうぞよろしくお願いします。
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以前、光学設計に携わっておりまして、一応液晶バックライトなかんの話も聞いたことがありましたので、ご参考程度になればと思い回答させて頂きました。 個人的に、バックライトにLEDが普及してきている技術的な理由として、「発光効率の向上」、「高輝度化の進展」だけでは、すこし弱い感じがしました。 ------------------------------------------------------------------------------ まず、『薄型テレビ』といえば『薄型液晶テレビ』だと仮定させて頂きます。 (バックライトが必要なテレビといえば、原理的に液晶かなと思ったからです。) 大体の液晶テレビは、大雑把に『白色光を供給するバックライト光源』と、『供給された白色光を、必要な光へ変換する液晶』から構成されていたと思います。 この『白色光を供給するバックライト光源』に要求される光学性能は、 (1)均一性(いかに画面を均一に照らせるか) (2)高輝度(画面の一点を見たときに、どれだけ明るく感じるか) (3)指向性(角度をつけて見たときも、明るさが均一かどうか) (4)演色性(色の再現性) が、主要な項目にあったと思います。 ------------------------------------------------------------------------------ 『白色光を供給するバックライト光源』に、CCFL(冷陰極)を用いた場合 ------------------------------------------------------------------------------ I.線状光源なので、液晶テレビのように長方形の画面を照らす場合、光学部品(特に導光板)の設計がやりやすく、均一性が確保しやすい。 II.発光原理が一般の蛍光管と同じなので、RGBそれぞれの波長を含むため、色の再現性が良い。 III.消費電力が大きい。 IV.どれだけ頑張っても、LED程度まで小型化するのは困難。 V.LEDに比べて、明るい。(ちょっと昔) *導光板というのは、液晶の後ろにあるアクリル製の板で、光を全体に広げるために細かい模様が作ってあります。 ------------------------------------------------------------------------------ 『白色光を供給するバックライト光源』に、LEDを用いた場合 ------------------------------------------------------------------------------ I.基本的に点光源なので、照明範囲が大きくなると、均一性の確保が難しくなる。 (スポットライトで大きなステージを照らすと、照射面にムラができやすくなるイメージです) II.白色といっても、青色の光を黄色の蛍光体に通す擬似的な白色なので、赤色が少なく、色の再現性が悪い。 III.消費電力が小さい。 IV.CCFLに比べて、圧倒的に小さい。 V.CCFLに比べて、暗い。(ちょっと昔) ------------------------------------------------------------------------------ 光源として、CCFLとLEDは対極にある感じです。 (これは、あくまで私個人的な感想ですが…) 重要なのは、『想定している製品は何か?』、『どういう特性が要求されるのか?』を考え、それに合った光源や光源ユニットが用いられているかだと思ます。 (1)携帯電話用のバックライトなど小型エレクトロニクスの場合 小型の製品を作る場合、部品が小さい事は、絶対に必要な条件です。光学性能が良くても、バックライトが大きくては意味がありません。ですから、携帯電話用のバックライトは、従来からLEDが一般的で、理由は小さいところが大きいと思います。 その代わり、携帯電話の液晶では、テレビと比べた場合、少し角度を急に明るさが変化したり、LEDが入っている側面付近が周囲に比べて明るく、眼で見て分かりやすいデメリットもあります。 (2)ノートパソコン、薄型テレビのバックライトなど中・大型エレクトロニクス製品の場合 中・大型エレクトロニクス製品では、バックライトが極端に大きくない限り、基本的に優先されるのは光学特性だったと思います。テレビやモニターを見ていて、暗い、色の再現性が悪い、画面にムラがある、ような状態では、テレビとしての品質が下がります。ですから、CCFLが一般的になるのは当然の結果です。 が、CCFLにも弱点があります。CCFLを用いた場合、常に点灯しぱなっしです。部分的に明るさを変えることはできません。ですので、黒色や暗色を表現するとき、バックライトの光が漏れるため、どうしても暗くなりきれません。結果、コントラスト(一番暗い部分と、一番明るい部分の輝度の差)が低下することになります。 LEDが中・大型エレクトロニクスに参入するには、次の技術的課題があったと思います。 I.明るさの確保 II.均一性の確保 III.演色性の確保 が、LEDが改善されて、技術的課題が解決できるようになってきた。 I.明るさの確保 「発光効率の向上」、「高輝度化の進展」で、省電力で明るくできるようになった。 II.均一性の確保 LEDのような点光源を用いて均一性を確保するには、導光板なんかを使わずに、液晶の背面から、多数のLEDで直接照らせば良いのですが、以前はコストが高く、現実的な手法ではなかった状態でした。しかし、最近では、LEDも値段が安くなり、この手法が現実的になってきた。 III.演色性の確保 この項目に関しましては、簡単に調べてきた程度ですが、最近は、高演色白色発光ダイオードに見られる演色性の改善や、実装技術の進歩で、RGBの3色の発光ダイオードをより小さくパッケージ化できるようになっているみたいです。 さらに、LEDバックライトを用いることで、CCFLと比べてコントラストを改善できる(多数配置してあるLEDの明るさを部分的に調整できるため)、消費電力が小さい、水銀を使っていないので環境にやさしい等のメリットも加わり、中・大型エレクトロニクス製品におけるLEDバックライトの拡大があるのではないかと思われます。 ------------------------------------------------------------------------------ 「発光効率の向上」、「高輝度化の進展」だけで、市場拡大できるのは、明るさを優先できる製品(車のヘッドライトとか…ですかね)に限っているのではないかと思います。 テレビのバックライトは、「照明デバイス」というより、「表示デバイス」的な位置づけが強い印象がありますので、高い光学性能が要求される結構高度なデバイスなのではないでしょうか。 ですので、薄型テレビのバックライトなど中・大型エレクトロニクス製品向けへ採用が拡大している技術的理由としましては、「発光効率の向上」、「高輝度化の進展」に加えて、「コストが下がって均一性が確保可能」、「演色性の向上」も大きいのではないかと思われます。 あくまで、ご参考程度でお願いいたします。 長文、しかも乱筆乱文、ご容赦ください。 ------------------------------------------------------------------------------
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- neet2009
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以前の回答で、参考となる資料がなかったので、補足させて頂きます。 http://www.nec.co.jp/techrep/ja/journal/g09/n02/090208.html 上記URLは、NECさんの白色LEDバックライト(中型くらいですが…)の紹介です。分かりやすいと思います。リンク先ページ内で『表示品位』とありますが、『均一性や指向性』と同じものです。 また、上記リンクでは、小・中型液晶を対象にしていると思います。大型テレビなんかの場合には、CCFLやLEDに限らず、導光板は用いないのが一般的だったと思います。大型テレビサイズでは、CCFLでも導光板で光学性能を満足するのが難しくなってきますし、大型テレビサイズの馬鹿でかいアクリル板を成型・量産するのは、品質的に難しく、コストもかかってくるはずですので… (ただ、導光板を用いなくても、CCFLなら比較的低コストで光学性能を確保する事が、LEDに比べれば、以前は現実的でした。) モノづくりは非常に奥が深いもので、一つの部品の性能がよくなっても、製品としての性能に貢献できるとは限りません。 LEDがどれだけ良くなっても、バックライトユニットとしての性能に、確実に貢献できなければ、ユニットとしての価値はありません。 LEDが進歩して、CCFL搭載バックライトユニットが満たしていた最低限の光学性能(輝度、均一性、演色性)をクリアし、かつそれ以上のメリット(コスト、コントラスト、環境、消費電力、寿命)を見出せたからこそ、中・大型液晶におけるLEDの普及・拡大があると、私は考えています。 あと、マニアックな意見ですが、バックライトユニットの光学特性に限定するなら、CCFLに比べてLEDは扱いにくい光源です。LEDは根本的に点光源で、バックライトユニットに対して、光源が小さいからです。 (決して点光源が劣っているわけではありません。点光源の方が設計に有利な状況はいくらでもあります。あくまで、バックライトに限定した場合です。) wiki - バックライト http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%88
お礼
追加でご回答を頂き、どうもありがとうございました。 前回のご回答で満足してしまい、その後チェックを怠って、お礼が遅くなり、申し訳ありませんでした。LEDについて知識を深めることができました。大変感謝しております。どうもありがとうございました。
- mickeyzz
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以前から取り組まれているテーマであり、実用化には時間がかかりそうなものと考えてよいのでしょうか?>>> 私はド素人で、ご質問に関して誰からも回答がなかったのでLEDに興味をもつ者の一人として回答さしていただきました。 素人でもこのカテに関する情報を集めることは出来ますから・・・ ご承知のように、シリコンLEDの開発はだいたい2000年頃から行われ2008年9月になって、世界に先駆けてケンブリッジ大学が6インチ・ウエイファーの作製に成功してます。 このことから推察して、開発を始めてからもうすでに約10年もたっているので、やっと峠をこしたという感じで、私見としては「実用化まで遠くないところまでこぎつけていると考えればよい」と思います。 これを裏付けるケンブリッジ大学のニュースを英文ですが添付します。(内容はすでにご存知とは思いますが) http://compoundsemiconductor.net/cws/article/news/35907 それから#2さんの専門家としてのご回答は大変役にたちました。 ただ、LEDの最終使用目的が一般照明用であることが最新の動きで、米英両国の政府が今までの照明方法からの電力の省エネ、CO2の削減のために動き出しています。 とりあえず来年度中にアメリカの各の家庭の大部分を小型蛍光電球に取り替えさす計画です。 テレビ放送がこの6月12日からデジタルに変更した時には、必要な家庭に約50ドルの援助をしてます。従って蛍光灯への切り替えもテレビほど高くないのですが同じような経済的援助があると思います。 前述した最近のニューヨークタイムズ紙によれば、上記のケンブリッジ大学のニュースも大々的に取り扱い、それと同時にバッキンガム宮殿の屋内と屋外の照明に金に糸目をつけず、シャンデリア用など3,2000個の電球を全てLED白色光にとりかえたそうです。 その理由は勿論電力費を節約することですが、約20年間も電球を取り替える必要がないということです。バッキンガム宮殿の天井の高さは20メートルもあり、時々電球が切れるごとに足場を組んで、下にある重要な絵画・骨董品を保護してその作業をせねばならないので、それらの出費を考慮すると、長い目で見れば大節約になるということです。 アメリカではもうすでに、デトロイトに近いアン・アーバー市やノース・キャロライナ州のラレイー市などの街灯が省エネ、人件費をへらすためにLED白色光を使用しており、歩行者が近づくと明るさを自動的に強くしたり、また紫外線を発光しないので、虫が集まらないとかで市民から好評を得ているとのことです。 http://www.nytimes.com/2009/05/30/science/earth/30degrees.html?_r=2&scp=1&sq=LED%20at%20buckingham%20palace&st=cse
お礼
ご回答どうもありがとうございました。家電量販店の電球売り場でもLED照明を見かけるようになりましたし、薄型テレビのバックライトや自動車のヘッドライトでも増えつつあり、徐々に白熱灯・蛍光灯の時代からLEDの時代に入り始めたなと実感するようになってきましたよね。LEDのサファイヤ基板からシリコン基板への移行については、今度展示会やイベントなどに参加したとき、業者の人からも聞いてみたいと思います。ご親切にどうもありがとうございました!
- Massy57
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LEDの研究に従事していました(今はretire)。 LEDの採用が劇的に広がった理由は、小生としてはご指摘の「発光効率の向上」「高輝度化の進展」 う~ん同じ事やな とは全く考えておりません。これは昔からのLEDの特徴であって過去数十年間特段進歩してはいません(10年前の米国H社の赤色LEDなどは効率99%をうたっていたはず。最新の高輝度白色LEDでも効率50%も達していないと思いますよ)。LEDの躍進をもたらした技術革命は、ただ一つガリウムナイトナイドという新しい半導体をもちいて、青色の発光に成功したことにつきます。当初青色発光が成功したということで、LEDで「赤」「緑」「青」の三原色の発光が可能となったことからいわゆるフルカラー表示が可能になったということが大々的に注目されましたが(LED関係者20年の夢がかなった)、フルカラーディスプレーへの応用はごくわずかにとどまり(LEDによる薄型TVなんて、市場に存在していませんよね 町にみかける巨大スクリーン、日本中に何台あるのか、TVとご比較されれば一目瞭然ですよね)現在のようなLEDの盛況はなかったはずです。 小生の考える最大のポイントはこのガリウムナイトライドを用いて白色発光に成功、液晶のバックライトとくにまずは携帯電話の液晶のフルカラー化をもたらした点につきるようです。当初は小型液晶しかメリットがでませんでしたが、最近の技術進歩で大型液晶にも採用されるようになり、これが今日のLEDを一人で支えているといって過言ではありません。白熱灯、蛍光灯にかわる第三の照明としても最近着目をあびつつありますが、コストパフォーマンスを考えると(小生の考えでガリウムナイトライドが、従来のLEDと比較して特段コストアップ要因があるとは考えていません もちろん主要原料 例えばご回答にあったサファイア基板とか高純度アンモニアガスさらには加工費等々従来製品比数倍はするでしょう しかし半導体の売値に占めるコストの大半は開発費であって原料費加工費は微々たる物です もちろん儲けもすくなくはありあませんよね)それほど普及していくとは思えません。特に、照明は個人の好みの世界です、未だ白熱電灯が家庭で支持されている(特に欧米諸国では、家庭で蛍光灯はまずみられません)ことから、現状のLEDが照明の主流になるにはまだまだ(劇的にコストが下がったとしても)と思います。LEDが従来の蛍光灯、白熱灯にない特徴が、寿命以外に見いだされるかにかかっているでしょう。現状は発熱が少ないぐらいしかみあたりません。 小生の結論:LEDの今日の繁栄は、液晶の普及につきる 技術的には液晶のバックライトに適した白色LEDの開発 したがってディスプレーに液晶のかわりに有機ELのようなバックライトを必要としないものが普及すれば、あっというまに衰退すると考えています。 ちなみにこのガリウムナイトライドを作っている四国の会社は、小生が現役時代は、世界でインテル、サムソンに次いで利益をあげている半導体メーカでした(もちろん日本ではダントツ) LEDをあの値段で、あれだけ販売するビジネスモデルは見事なばかりと思います。世界の半導体業界の常識を覆す価格戦略(売値が1/3になると量が10倍、四半期毎に20%CR、3年で製品寿命というのがこの業界の常識)まさにノーベル経済学賞に値します(決してN氏がノーベル物理学賞に値しないと言っている訳ではありません・・・)。 実はこのビジネスモデルが今日のLEDの隆盛を支えているかも・・・
お礼
ご回答どうもありがとうございました。大変詳しく、専門家の方の貴重なご意見をありがたく読ませていただきました。深く感謝いたします。どうもありがとうございました!!
- mickeyzz
- ベストアンサー率49% (234/471)
http://www.ednjapan.com/content/issue/2005/05/feature/feature01.html これの技術的な要因として、「発光効率の向上」、「高輝度化の進展」という 2つの技術的な要因が大きいのか、教えてください>>> 上記のサイトにもありますように、全くあなたのおっしゃるとおりなのです。 LED の用途は多彩ですが、現在における最大の使用目的は、電力の約25%使用する屋内や屋外の照明装置の省エネにあります。従って現在の技術的研究課題はいかに安価にこの発光灯を生産するかに集中されているようです。それからLEDを照明用に使用する場合の欠点としてLEDの発光の流れが直行的で蛍光灯その他の電球をのように拡散しない点にあります。 例えば蛍光灯の寿命は3,000時間ですが、LED 発光灯は100,000時間(1日12時間使用で約20年間もちます。)と言われています。そして蛍光灯は水銀を使用するので環境によくありませんし、スイッチをいれて明るくなるまで少し時間がかかります。また屋外照明の蛍光灯や電球などには、虫が集まりますがLED灯にはそれらの問題がありません。 しかしLED灯の最大の問題は、最初に使用する時点で費用が蛍光灯などに比べて10倍も高いことです。 そこで研究者達はLEDを製造するのに必要な高価なサファイアのかわりにシリコンを使用することに切り替える技術を作ろうとしています。またダイオードに使用するのにガリアム・ナイトライトを考えています。 とにかくまずLED発光体の直行型の光の流れが、街灯に一番適しているのでとりあえずアメリカのいくつかの市が州の財政的援助により、LED灯に切り替える計画をたてています。 LED 街灯数使用計画例: ロサンジェルス 140,000 街灯 サンホセ 62,000 サンフランシスコ 30,000 以上の資料は最近のニューヨーク・タイムズからです。
補足
ご回答どうもありがとうございました!よく理解できました。特にご紹介頂いたホームページは参考になりました。 私の時々訪問するメーカーはサファイア基板向けのLED製造装置をつくっているので、「LEDを製造するのに必要な高価なサファイアのかわりにシリコンを使用することに切り替える技術を作ろうとしています」との話には少し驚きました。 ただインターネットで調べたところ、サンケン電気などは2001年頃シリコン基板を使った青色LEDを開発したと発表しています。 http://www.sanken-ele.co.jp/news/contents/20011122.htm 2009年、英ケンブリッジ大学の研究チームがシリコン基板を使い、LEDの製造コストを抑える方法を開発したとのニュースも拝見しましたが、以前から取り組まれているテーマであり、実用化には時間がかかりそうなものと考えてよいのでしょうか?それとも実用化まで遠くないところまでこぎつけていると考えればよいのでしょうか?教えて頂ければ幸いです。どうぞよろしくお願い致します。
お礼
ご丁寧かつ詳しいご説明どうもありがとうございました。 LEDバックライトの中小型液晶パネル向けから大型液晶パネル向けへの拡大の要因と言う疑問に的確にお答え頂き、深く感謝しております。どうもありがとうございました。