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人間が自然宿主であるウィルスってありますか?
狂犬病について調べていて、自然宿主という言葉を知りました。 狂犬病の場合自然宿主は蝙蝠と書いてありましたが、同じように 人間にはほぼ無害だけど、他の動物に感染すると症状が現れるようなウィルスってありますか?
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獣医師でウイルスに専門知識を有する者です。 ヒトのインフルエンザウイルス、ヒトの免疫不全ウイルス(HIV)、麻疹、風疹、水疱瘡、感染性胃腸炎の原因となるロタウイルスやノロウイルスなど、ヒトの間で流行するウイルスはたいてい「ヒトが自然宿主」です。 本来、「自然宿主」という言葉の定義には「その動物にはほとんど無害である」というのはありません。その動物種の間で感染環が成立していれば、自然宿主です。 例えばインフルエンザウイルスは元々は鳥類、それもカモなどの水禽類が自然宿主ですが、いくつかの変異の段階を経て人類社会に侵入したインフルエンザウイルスは、もはやヒトの間でのみ感染・流行を繰り返すようになり、他の動物には基本的に感染しません。ということは、「ヒトが自然宿主となった」ということになるわけです。 また「単純疱疹」という言葉はあまり使わないと思いますが、要するにヘルペスウイルスのことでしょう。 ヘルペスウイルスやサイトメガロウイルスは、いわゆるヒトに「持続感染する」ウイルスです。 持続感染というのは、他のウイルスが感染しても宿主の免疫システムに攻撃されて排除されてしまうのに対し、何らかの原因によって免疫系の攻撃を免れ、感染した宿主の生涯に渡り感染を持続させることを言います。 ヘルペスウイルスは、神経節という「免疫系の攻撃が届きにくいところ」に居座るので、一度感染すれば生涯持続感染します。 ですが、「持続感染」と「自然宿主」はまったく意味が違います。 ま、ヒト単純ヘルペス1型(多分"単純疱疹"はこのウイルスのことでしょう)などのヘルペスウイルス科のウイルスは、"ヒト"が名称の最初に付くものは"ヒトが自然宿主"ということになるのですが。 持続感染ならエイズの原因ウイルスであるHIVも、ヒトを自然宿主とするウイルスであり、持続感染します。 とはいうものの、「自然宿主」という言葉は、そもそも「ヒトから見た言葉」です。 ヒトに感染すれば危険が高い病原体の"供給源"として「自然宿主」という言葉を使っているわけですから、「ヒトを自然宿主とするウイルス」という言葉自体が自己矛盾していて意味を為さないわけです。 純粋にウイルス学的には、そのような("誰から見た"というような)意味合いは特にないので、ヒトの間で感染環が成立しているウイルスはみな「ヒトが自然宿主」ということで良いのですが、それだと大半のウイルス感染症が該当します。
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単純疱疹ウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルスなどはそれに近いのではないでしょうか。軽い病気を起こしますが、あとはその人の細胞の中に潜伏します。その人の免疫力が低下してくると姿を現してくるようです。他の生物に対する病原性があるかないかは分かりませんが、もしそうだとしてもこのウイルスがその生物種の間で長い間安定して感染を続けることはないと思います(自然界における分布密度が異常に高くなければそのような感染は起きないと思います)
お礼
そうなんですか!自分でも知っている名前があってビックリです。 回答ありがとうございます!
お礼
丁寧な回答をありがとうございます!とても分かりやすかったです。 「自然宿主」はヒト視点の言葉なんですね~。勉強になりました!