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中和の電導法(金沢大学2003)
中和点を知る方法として電導法というのがあります。 中和される酸または塩基の電導度を調べて中和点を探る方法です。 ここでは水酸化バリウム水溶液にビュレットで希硫酸を滴定する場合を考えます。 電導度を調べるために溶液に2つの電極(白金)を入れ、電源を電極につなぎ、豆電球の明るさの変化を調べます。 ここで、電極を2つ入れているので、電気分解が起こると思われます。 そうすると、豆電球の明るさ、つまり、溶液の電気伝導に関わる物質は 水と水酸化物イオンであるように思われる(電気分解の反応式から)のですが、答えはバリウムイオンと水酸化物イオンとなっています。何故なのでしょうか? どなたか教えて下さい。よろしくお願いいたします。
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>水と水酸化物イオンである 水自身はイオン性は全くありませんので「不良導体」です。 水が解離してできる水素イオンと水酸化物イオンの量は、 [H+]*[OH-]=1.0×10^-14 mol^2L^-2 ですので、いわゆる「支持電解質」としての能力は非常に小さいと考えて下さい。 水酸化バリウムが溶かされるとバリウムイオンと水酸化物イオンが上記の水の解離でできるイオンの量の10^7程度も多い量の支持電解質ができます。 なお両極の間をこの陽イオン、陰イオンが「流れて」電流が流れるのではありません。陽イオン、陰イオンは「拡散」でしか移動できません。ですので両極に掛かる電位が大きすぎる場合莫大な発熱が生じてしまったり、両極間にスパークが飛んだりします。 硫酸で水酸化バリウム溶液を電流滴定すると、当量点では上記の純水の解離分の水素イオンと水酸化物イオンの他、不溶性の硫酸バリウムの解離を支配する溶解度積分の硫酸イオンとバリウムイオンだけになります。 [SO4^2-][Ba2+]=Ksp=1.0×10^-10 mol^2L^-2 ですのでおよそ両イオンとも1.0×10^-5 mol/L程度の濃度になり、支持電解質量が極度に小さくなります。 この性質を利用して「電流滴定」を行い電流の極小値を中和点とします。 ここにさらに硫酸を加えるとその濃度([SO4^2-]+2[H+])が「支持電解質」の濃度になりますので電流は再度急激に増大します。