光学は専門外ですが,物理屋としての常識の範囲で回答します.
(要するに,あまり突っ込まれると,ボロがでるということの言い訳です)
立体異性の一種で,旋光性だけが違うような構造をキラリティーあるいはキラル構造
と呼んでいます.
例えば,正四面体の中心になにか原子(団)があって,4つの頂点に別の原子(団)が
あるとしましょう.
4頂点の原子(団)のうち,少なくとも2つが同じであればこの分子構造は
1種類しかありませんが,
4つの原子(団)が全部異なれば,分子構造が2種類あります.
図が描けないので説明しづらいですが,4つの原子(団)を A,B,C,D としましょう.
B,C,D の面をxy面にして,Aをz軸上におきます.
B,C,D はxy面上の正三角形ですが,右回りに B,C,D とおいたときと,
左回りに B,C,D とおいたときとは構造が違います.
すなわち,どう頑張っても両者は3次元空間内で互いに変換する事ができません.
ちょうど,右手と左手みたいなもので,両者は鏡像関係にあります.
こういう物質では,左右の円偏光に対する屈折率に差があるため,
光の偏光面が通過距離に比例して回転します(旋光性).
偏光面の回転方向が右ねじ的か左ねじ的かによって,
右旋性(d),左旋性(l),といいます.
もともと旋光性のない場合でも,磁場をかけると偏光面が回転しますが
これはファラデー効果と呼ばれています.
ファラデー効果と特に区別する際には,
構造に起因する旋光性を自然旋光性と呼びます.
旋光性は水晶で最初に発見されました.
ブドウ糖,果糖,ショ糖,酒石酸,ロッシェル塩,などの水溶液も旋光性を示します.
旋光性の測定は分子構造研究ではずいぶん有力な手段のようです.
上の正四面体分子の例では,
異性体のどちらも通常は物理的化学的性質は同じなので,旋光性が構造を決定する
極めて有力な手段になります.
お礼
有り難うございます。 キラル媒質がどのようなものに使用されているのか 一例をあげていたお陰で、理解できました。 私は、電気通信系の者ですのでこのような回答がわかり やすかったのです。