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不純物半導体のpn接合について
物性工学を勉強する大学初年度の者です。 不純物半導体のpn接合についてなのですが、 n型半導体に添加する不純物密度を増やすと、拡散電位が増加するのは、イオン化されたドナーも増加するため、空乏層が広くなるからでしょうか? また、 n型半導体の不純物密度がp型半導体の10倍であったとき、空乏層は主にn型よりに形成され、このときのn型側、p型側の空乏層幅の比は n : p = 1 : 10 となるのであっていますでしょうか? 怪しい部分がありましたら、ご指摘ご教授して頂けると嬉しいです。 よろしくお願いしますm(_ _)m
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- d9win
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拡散電位は取っ付きの悪い概念ですが、まずn形かp形どちらかの半導体内で不純物濃度が異なる領域が存在する状況を考えるのが良いと思います。電気学会の論文誌に比較的分かりやすい記述がありましたので(電気学会D部門誌Vol.127, 2007-7)、少し表現を変えて孫引きします。 例えばn形の場合、高濃度n+領域側の自由電子は低濃度n領域に拡散する。自由電子が移動した後には+イオンが残る(空乏領域)。そして,この+イオンと移動後の自由電子の間に,自由電子の移動を押し戻す方向に電界が生じる。外部から電圧を印加しない状況では,この正負の電荷が存在する領域は,発生した電界による「自由電子」の移動速度が濃度差によって拡散する速度と等しくなるまで拡大する。その結果,バランスが取れた状態では両領域の自由電子が入れ替わっても全く状態が変わらない状況となる。この状態で,両領域は熱平衡状態になっている。n+領域の大半とn-領域の大部分の電位の間には,接合部に存在する自由電子の密度差に応じた電界の積分値だけの違いが生じている。この電位差が拡散電位です。 そして, n+領域とn-領域それぞれに電極が接続されておれば、半導体と電極の接続境界でも電位差が生じる。電極金属が同じであれば両接続部の(接触)電位差はちょうどn+とn-境界に生じる電位差だけ異なるの で,最終的に両側の電極表面の電位は等しくなる。このように半導体内部の不純物濃度の違い(あるいは,半導体材料の違い) がもたらす電位差は,外部に現れないので,拡散電位は”内蔵電位 ”とも呼ばれます。 また、np接合の場合には,自由電子の代わりに正孔の移動を考えた状況を重ね合わせれば良い訳です。両領域の間の電界は n, p それぞれの領域の正イオンと負イオンの間に生じています。結局,自由電子密度が高い領域ほど内部電位は高くなっています。 したがって、「不純物密度を増やすと空乏層が拡がるから拡散電位が増加する」と言うのは適切でなく、「不純物濃度に応じて拡散電位が定まる」と考えるべきだと思います。ある領域の拡散電位は、n形ならば不純物濃度が高いほど高く、p形ならば不純物濃度が高いほど低いです。2つの領域が接する箇所(接合)では、両者の間の拡散電位差が大きいほど広い空乏領域が形成されます。 おっしゃるように、n型半導体の不純物密度がp型半導体の10倍であったとき、n型側、p型側の空乏層幅の比はn : p = 1 : 10 となります。n形とp形に拡がる空乏層は、それぞれの領域の残留イオンの総量が同じになるように形成されます。 「空乏層は主にn型よりに形成され」は、なくとも良い表現だと思います。私にはその意図が不明です。