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YBCOの斜方晶から正方晶の変化について

YBCOは酸素欠損数の増加によって斜方晶から正方晶に変化しますが、 それが何故かわかりません。 温度の変化に関係あるのでしょうか・・・ わかる方、教えていただけませんか?

みんなの回答

  • KinakoAme
  • ベストアンサー率65% (25/38)
回答No.2

YBCO(=YBa2Cu3O7-d)には2つのCuサイト(格子点)があります。 1つのCuサイトはCuO2面と呼ばれるサイトで,面内に4つの酸素が配位 しており頂点の酸素と合わせて5つの酸素に囲まれているので, ピラミッド構造と呼ばれることもあります。 もう一つは,CuOチェーンサイトと呼ばれるもので,上下に2つの 酸素,結晶軸のb方向に2つの酸素の4つが配位しています。 (ここで,先ほどのCuO2面の頂点酸素がCuOチェーンサイトの 下側の酸素と同じものです) チェーンサイトと呼ばれる所以は,b軸方向には2つの酸素が 配位しているのに,a軸方向には酸素がないことから,b軸方向に 酸素ー銅ー酸素という具合に1次元の配置と見えるからです。 ちなみに,チェーンサイトに酸素がちゃんと4配位している 状態が最も酸素量が多い状態(=酸素欠損がない状態)です。 化学式で書くとYBa2Cu3O7の状態です。 さてここで気づくことですが,a軸方向とb軸方向は,酸素が ない方向とある方向に対応します。したがって,電荷分布の 偏りが生じますので,バランスをとるために結晶は斜方晶を とらざるおえなくなります。 ここまでくれば分かる通り,b軸方向の酸素が抜けてしまえば a軸とb軸に区別はなくなります。ですから,酸素欠損が起これば 正方晶に近づいて行くわけです。b軸方向の酸素が完全に抜けた 状態では,YBCOは絶縁体で反強磁性体になっています。 化学式で書くとYBa2Cu3O6の状態です。この状態は不安定で 安定には存在しません。 質問者がおっしゃるように,この状態変化は温度に依存します。 また結晶をとりまく酸素分圧にも依存します。ある温度を越えると b軸方向の酸素は入ったり出たりできるようになります。この 温度のことを斜方晶ー正方晶転移温度といいます。No.1の方が 書いた転移温度とはこのことになります。実はこの温度よりも高い 高温の状態では酸素の出入りは自由ですから,正方晶となりますが これを室温で安定化させるには,急冷が必要です。ゆっくり温度を 下げてくると酸素がb軸方向に入った状態で安定となるからです。 ちなみに1気圧酸素でしたら,斜方晶ー正方晶転移温度は約500℃ となります。 ちなみにNo.1の方のお答えが微妙に違う箇所があります。それは 面内のCuサイトの価数が2と書いてありますが,YBCOはイオン結晶 なので,価数は2とは限りません。通常は価数が2以上となって います。

  • MsLily
  • ベストアンサー率72% (8/11)
回答No.1

YBCOには1価と2価の銅イオンが両方含まれています。斜方晶と正方晶の違いは1価のイオンに結合している酸素の量です。室温ではYBCOは斜方晶です。これを加熱していくと1価のイオンに結合している酸素が抜けていきます。酸素の含有量が減少すると結晶のa軸の長さが短くなり、転移温度においてa軸とb軸の長さが等しくなり正方晶になります。 ちなみに2価のイオンに結合している酸素は加熱してもほとんど変わりません。斜方晶から正方晶への転移には1価のイオンが関係していると言えます。

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