- ベストアンサー
契約書の作成について
契約書を作成する際に債権保全のための条項としてどのような特約条項を設けるのが妥当でしょうか? またその理由を教えて下さい。 よろしくお願い致します。
- みんなの回答 (1)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
通常あるのは、「履行遅滞により、直ちに期限の利益を喪失し、即時一括して債務を履行するものとする」というものです。「期限の利益」とは、債務の履行期までの返済猶予期間のことで、債務者にとっての利益です。これにより、債務者は履行遅滞にならないように注意を払うことになります。もちろん、これは「債権を保全する」というものではなく、債務者の履行意思を確保するためのものです。 同じような趣旨で、「損害金の定め」があります。履行遅滞が生じた場合に、履行完了まで割高な利息で計算した「遅延損害金を損害額とみなす」ことに同意させるものです。これは、「期限の利益喪失」の定めと併用する場合が多いと思います。 通常、「債権保全」(履行がなされなかったときに備えて債権回収を確保する)という場合には、担保を確保することです。 物の売買に関する契約であれば、「代金完済までは所有権は移転しない」と定めることで当事者間では有効です。これにより、代金全額の支払が無ければ、納入した物の引き上げを通告して、納入物を取り戻せます(但し、この定めを理由としてそういう契約で売買されたものであることを知らない第三者に譲渡されたものを取り戻すことはできません)。 お金の貸し借りであれば、「担保」には「人的担保」と「物的担保」があります。人的担保というのは、連帯保証人などを指します。法人取引であれば、法人の代表者の個人保証をつけさせることが一般的です。物的担保とは、不動産への抵当権設定、質物の差し入れ、譲渡担保などです。これにより、債権を他の物的資産を換価処分した代金から回収することができます。 契約内容ではありませんが、先日付けの小切手を振り出させておくという方法もあります。これは、小切手が「不渡=銀行取引停止」となるリスクを回避するように債務者が行動することが期待されるため、(詐欺的業者は別として)一般には有効です。 もし、契約書を公正証書で作るのであれば、「万一、債務の履行に遅滞ある場合は、本文書に基づいて直ちに執行することができる」という文言(執行文言)の記載があれば、履行遅滞の際にわざわざ訴訟を提起して債務名義を取得しなくても、その公正証書に基づく強制執行を申し立てて金銭債権を取り立てることができます。 単に契約書の条項に記載しただけで債権回収が確保されるという方法を私は知りません。何らかの法的な手続を経て回収が図られるでしょうから、「次のアクションに移りやすい手立て」を講じておくことが債権保全の基本だと思います。
お礼
すばやい回答ありがとうございます!! ・・・というかいつも思うのですが、こういった質問に素早く明確に答えれる人って本当に尊敬します。 そんな人になれるように日々精進します。 ありがとうございました!!