『任意の正数εに対して、ある自然数δが存在し、n>δならば|An-A|<εとなるとき数列{An}はAに収束するという。』というのを例にとります。
これは、「数列{An}を巡るD君とE君の戦い」と考えるとわかりやすいです。「戦い」とはこういう意味です。
・まず、E君が適当にεを指定して(ε=1でも10でも100でも0.0001でもいい。仮にe1としましょう。)、D君に対して、「自分が指定したε=e1に対して、『n>δならば|An-A|<ε』となるようなδを見つけられるか?」と挑みます。
・D君が、「わかった。δ=m1として、n>m1ならOKだ。」と言えたとします。
・E君が、「では、e1はやめて、ε=e2の場合ならどうか?」と再挑戦します。
・D君が、「大丈夫。δ=m2として、n>m2ならOKだ。」と言えたとします。
といったやりとりを繰り返して、E君が、εとしてどんな数を指定しようとも(←「任意の正数εに対して」とはこのこと)、常にD君はδを見つけられて(←「ある自然数δが存在し」とはこのこと)、D君が勝つ(←「n>δならば|An-A|<εとなる」とはこのこと)場合、「収束」です。このとき、「εがまずあって、δはεの値に依存して決まる」ことに注意してください(「任意の正数εに対して、ある自然数δが存在し」というのはそういう意味です)。
なお、E君としては、D君の選択の範囲を狭めたいので、εとしてできるだけ小さな数を指定するのがいいですね。
具体例を挙げます。An=(n+1)/nとして、1に収束することを示します。
・E君が、「ε=0.1として、『n>δならば|(n+1)/n-1|<ε=0.1』となるようなδを見つけられるか?」と挑みます。
・D君は、「わかった。n>10ならOKだ。」と言えます。
・E君は、「では、0.1はやめて、ε=0.01の場合ならどうか?」と再挑戦します。
・D君は、「大丈夫。n>100ならOKだ」と言えます。
・E君は、「では、0.01はやめて、ε=0.000001の場合ならどうか?」としつこく挑戦します。
・D君は、「平気、平気。n>1000000ならOKだ。」と言えます。
このようにして、E君が、εとしてどんな数を言ってこようとも、D君は、δとして1/εを言えば勝てますから、1に収束すると言えるわけです。
以前こういう感じの解釈(ストーリー)が書いてある本を読んだことがあって、「なるほど」と思いましたのでご紹介しました。
お礼
なんかたくさんありがとうございました^^ おかげさまでなんとか感じはつかめましたよ^^v またよろしくおねがいします!