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世の中重いほうが軽い?
ウランのことについて腑に落ちない点があるので、誰かご存知の方教えてください。 ウラン238は、当然質量値は238ですが、しかし密度的には18.7g/ccしかありません。 質量値が197しかないはずの金が19.3g/ccもあり、原子単体での重さでは勝っているはずのウランが、密度では負けています。 単純に考えると、質量値=重さのような気がするのですが、これは、「結晶構造が違うため単位ccあたりの原子の数が変わるから」と考えていいのでしょうか。 また、そうだとしたらついでに大まかなウランと金の結晶構造を教えていただけるとありがたいです。 興味本位のことなのでアバウトでいいのですが。
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> ウランの方が単位ccあたりの原子数は多くなってしまわないでしょうか。 六方最密構造もも立方最密構造も充填率は同じです. 面心立方格子と見なしたときは,立方最密構造と格子定数が違います. すなわち,単位格子の体積が違います. もう一度私の回答を熟読下さい. 金の最外殻電子は6s,ウランは7s,ですから ウランの方が原子半径が大きい, すなわち六方最密と立方最密の話で,球はウランの方が大きいです. この効果と,質量数の効果とは競合しますからどちらが勝つか難しいところです. 結果的には原子半径の効果がすこし勝ったのでしょう.
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- rei00
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一般人の rei00 です。私も,結局のところは siegmund さんがお答えの様に,単位格子の体積と中に含まれる原子数の兼ね合いだろうと思います。 で,気になるものですから実際の所はどうなのかを少し調べてみました。 「無機化学全書 XVII(放射性元素)-1 U」,丸善,1953 年,p.121-122 によると, α-ウラン:斜方晶形。格子定数は a = 2.852 A, b = 5.865 A, c = 4.945 A。空間群は Vh 17Cmcm, 4c の位置に4個の原子が存在する。 β-ウラン:正確なことは知られていないが,2% のクロムを含む合金として,β-ウランの構造を安定化したものについて研究された結果では,斜方格子で単位格子に 30 原子を含み a = 7.51 A, b = 15.00 A, c = 5.59 A。 γ-ウラン:純粋なものは低温で安定でないため,クロムを含む合金のクロム含有量と格子定数の変化を純粋なウランに外挿して求めた結果では,体心格子で格子定数は 3.467 +- 0.005 A。 また,理化学辞典によるとウランの密度は,α-ウラン 19.05 (25℃),β-ウラン 18.11 (720℃),γ-ウラン 18.06 (805℃)です。 一方,金の方は理化学辞典に,立方最密充填 a = 4.078 A,密度 19.32 (20℃)が出ています。 これで,ウランと金の結晶構造はわかり,御質問の「世の中重いほうが軽い?」も解決するかとは思いますが,残念ながら私にはこのデ-タから何の影響が大きいのかは判断できません。専門家の siegmund さんよろしくお願いします。
お礼
む、難しい……(^^;゜。 とりあえず、俺が欲しかったデータである「なぜ質量数と密度は直接結びつかないのか」という理由だけは分かりました(笑) ありがとうございました。
- siegmund
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rei00 さんが引用されているように,立方最密構造と面心立方格子は 同じことです. 立方最密構造はブラベ格子になっておらず,ブラベ格子で表現したのが 面心立方格子です. 両者は見る方向(というか,軸の方向)が違い, 立方最密構造の層に垂直な方向が面心立方格子の対角線になっています. 別の言い方をすれば,立方最密構造の層は面心立方格子の(111)面です. 立方最密構造で見たとき,一つの層で球の中心は正三角形をなしていますが, 面心立方格子の自然な面では正三角形なんてないですよね. 二等辺直角三角形になっています. さて,面心立方格子の格子定数を a として, 例えば,A(a/2,0,a/2),B(0,a/2,a/2),C(0,0,a) の3つの点を取ります. AとBは面心の点,Cは立方体の頂点ですね. すぐわかるように,AB = BC = CA = a/√2 で,△ABC は正三角形です. この正三角形が立方最密構造の層に対応しています. また,△ABC の面が(111)面です. 立方最密構造描像と面心立方格子描像では格子定数が違いますので, rei00 さんのご心配のようなことにはなりません. 格子中の粒子数の違いと格子定数の違いで,ちょうどうまく行っています.
補足
rei00さんの参考URLを見て思ったのですが、siegmundさんは「金は立法最密構造で、ウランは六法最密構造」とおっしゃってますが、参考URLの説明だと、ウランの方が単位ccあたりの原子数は多くなってしまわないでしょうか。(それとも、それくらい歪んでるってことなのかな?) あと、原子と原子がくっつくとき、格子間隔が広いということは、共有軌道電子の軌道が、原子が単体で存在するときと比べてかなり大きく歪むってことだから、これはその分不安定になると考えていいのでしょうか。
- rei00
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すみません,専門家ではないので間違っているかも知れませんが,siegmund さんに一つ質問させて下さい。 「コットン・ウィルキンソン無機化学」の上, p.46 に『これを立方最密パッキングといっている。このような配列は図2.8(c) に示したように,実際には面心立方格子と同じである。』という一文があります。 また,参考 URL のペ-ジには,体心立方格子中の粒子数は2個,面心立方格子中の粒子数は4個,六方最密構造中の粒子数は6個と書いてあります(ここの結晶構造の図はわかりやすいと思います)。 これから考えると,siegmund さんがお書きのような「どちらも球の占める体積は全体の π/3√2≒74% です.」という事にはならないように思いますが。 私が何か勘違いしているんでしょうか?
- siegmund
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deagle さんの言われるとおりで, 結晶構造と格子の間隔(こちらも重要です)によって 単位体積当たりの原子数が違うからです. 理化学辞典見ると,金は立方最密構造, ウランは.667℃以下ではα型(斜方晶系,ゆがんだ六方最密構造), 667~778℃でβ型(立方晶系),778℃以上でγ型(体心立方構造)に転移する, と書いてあります. 最密構造とは,平面上に同じ大きさの球を隙間なく並べて第1層とし(A), 1層目の低くなったところにちょうどはまりこむように第2層の球を並べる(B), また同じように3層目,...といったように詰めていった構造です. 3層目は1層目と同じ位置に置くこともできますし(A), 違う位置におくこともできます(C). 図が描けないので説明しにくいですが,ピンポン球なりパチンコ球なりを 実際並べてみればすぐにわかります. 各層での並べ方のパターンが, ABABABのタイプになっているのを六方最密構造(hcp と略す), ABCABCのタイプになっているのを立方最密構造(ccp と略す), とよんでいます. どちらも球の占める体積は全体の π/3√2≒74% です. 球の中心に金なりウランなりの原子があると思えばいいのです. したがって,金が立方最密構造,ウランが歪んでいない六方最密構造とすると, 格子間隔(上の例では球の大きさ)が同じなら,質量数の違いがそのまま密度の 違いに出ます. 歪んでいると,最密充填よりは少し損しますね. あと,たぶん格子間隔もすこし違うのでしょう.
お礼
ありがとうございます。 ウランは常温では歪んでいるので、質量はあっても結晶になったとき構造的に欠損が出るということですね。 格子間隔というのは、電子雲の直径とはまた違うんでしょうか。
お礼
あ、同じなんですね(^_^; 基本的に専門用語が分からないので、言葉のイメージから想像するしかないのです(笑) あのあと自分でも調べたんですが、原子の大きさって、割と大きく違うんですね(^_^; 東京電力のHPには、すべての原子の大きさはほとんど変わらない、ともとれる書き方で書いてあったんです。 やっと納得できました(笑)