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中国の問題に対する、日本と諸外国の姿勢の違い

中国に関する問題で、日本と諸外国の間に見られる中国に対する姿勢の違いを感じる事例があれば教えてください。

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回答No.2

追加してもう少し詳しく説明します。そもそもチベット問題は、アメリカやヨーロッパでは20年くらい前から報道され、とくに社会的な関心の高い人、リベラル派、人権派には認識されていたものです。 チベットや東トルキスタン、内蒙古を含む「中国」というのはその実、ほとんどの中国人にとってなんら実態を伴って感じていることではなく、単に気分の問題です。で、恐ろしくバカ単純に「祖国」が「大きいことはいいことだ」というだけ。そういう思考は理解はできますが、理解した上で「アホらし」と言ってやっていいものでしょうが、チベットというのはそういう近代的ナショナリズムが成立する以前に亡くなってしまった国ですし、ある意味「ふるさと」的感覚が今なお非常に濃厚ですし(で、「ふるさと」というの自体は自然な、実体験に根ざした感情です/その「ふるさと」が好きでも、嫌いで出て行きたいと思っても)、ダライ・ラマ14世を精神的な中心にチベットの多くの人が求めているのは「独立」で「祖国」というよりは、安心して暮らせる「ふるさと」の回復です。 ですからチベットの「独立」ではなくあくまで「自治回復」の運動は、外交・国防の主権回復なぞまったく放棄する代わりに、非暴力と自然保護、文化の維持に重点を置いています。チベットの運動がこういう特殊な方向に発達できたのにはチベットの文化、チベットという「ふるさと」を体現しているのが極めて理知的な個人であったことが大きいのは確かでしょう。その結果ダライ・ラマとチベットの運動は、19世紀以来の国民国家的なナショナリズムや民族運動の限界を超えてあやまりを糾し、21世紀にふさわしい新たなる「民族主義」の可能性を提示してさえいます。そこまで意識的に認識はされていなくとも、チベットの運動が今非常に支持を集めているのは、やはりその思想的なレベルの高さでしょう。そのことへの支持が、ヨーロッパやアメリカでのチベット問題についての抗議の動機となっています。 3月14日から報道され始めたデモ、暴動にしても日本ではオリンピックを利用してチベットの自治の確立を訴えているというように思っている人が多いようですが、ヨーロッパやアメリカではもっと事情がちゃんと知られているので、少なくともちゃんと報道をフォローし知識のある人から見れば、チベット側がオリンピックを利用しようと最初から考えていたというよりは、逆にオリンピックを控えた中国当局が過剰反応したと考える方が自然だとみなされていますし、実際にそうでしょう。 別にオリンピックがあろうがなかろうが、3月10日にラサでデモがあるのは、ある意味当たり前のことです。3月10日の以前からオリンピックを睨んだと思われる自治政府当局や人民解放軍による締め付けはかなり厳しく、10日以降の詳細は中国が報道官制を敷いていて分かりませんが、そうしたことへの不満も含めてどうも10日から始まった僧侶などの決死のデモに当局が発砲したことが原因であるように見られています。また当局側が扇動するスパイを潜入させていた可能性も否定できません。いずれにしてもオリンピックを控えた中国側の締め付け、もしかしたら不満分子のあぶり出しまで含んだ戦略が、かえって大失敗したと見るのが妥当なところでしょうね。 あの規模の暴動はここ2,3年いつ起ってもおかしくない、というのは専門家が前から指摘していたことです。で、聖火リレーの直前にああしたことが起ってしまえば、当然チベット問題についてはもう20年前から報道され続けているアメリカやヨーロッパで抗議運動が起り、聖火リレーがその舞台となるのは、ごく自然な話ですし、その担い手は「チベット支持」というよりもごく自然に「正義の実現を支持する」人々です。たとえば「国境なき記者団」事務局長のロベール・メナール氏は、1968年のころから活動家ですが、左派革命派の学生として毛語録を持ってデモをやってた人です。 中国人は「祖国を愛する」と単純に考えてますが、アメリカやヨーロッパで抗議している側の多くは「祖国」よりももっと強く信念を持って愛し実現しなければならないことを掲げています。それは「人類普遍の正義」であり、平たく言えば「弱いものいじめを許してはいけない」という子どもでも分かっているはずのことです。そこが日本ではいまひとつちゃんと理解されていないと思いますね。 もうひとつ、チベット人でない人間でも多くがチベット側を支持しているのは、これもまた現在では「人類普遍の正義」の一部ですが、文化の多様性の維持、チベットの全域を「世界遺産」に指定してもいいくらいだという認識です。またその認識を根気づよく作り上げて来たのがダライ・ラマ14世でもあるわけですが。 もう20年前に米国と欧州議会で、テンジン・ギャツォ氏はこういう五項目を提案しています。 http://www.tibethouse.jp/dalai_lama/message/1988_strasbourg.html http://www.tibethouse.jp/dalai_lama/message/1987_5points_peace_plan.html この提案はダライ・ラマ14世のノーベル平和賞受賞の大きな理由のひとつでもありますが、もしこの提案の意味が日本人に伝わらないとしたらそれは日本人が見事に「平和ボケ」なだけであって、「祖国」よりも愛すべきことはこの世界にはありますし、そのことは多くの人類が共有しています。それは平和でありこの地球を維持することであり正義であり愛であり、人類全体の幸福です。チベットの問題で多くの市民が中国に抗議するのはあくまでその実現を訴えてのことであって、日本のネット上のように「中国が嫌い」を丸出しに「南京大虐殺ねつ造説」とかとセットで出て来るということは諸外国ではないでしょう。むしろ逆に、チベット問題で中国を非難する人間は、当然ながら同じ理由で「南京大虐殺ねつ造説」を唱えるような輩を激しく非難することでしょうね。

その他の回答 (4)

回答No.5

追加: > 実際に右翼団体が動いていますし、長野では日章旗を振り回していた不届きものまでいましたし(関係ねーだろ)、 ちなみに欽ちゃんにモノが投げ込まれたときには右翼が「支那」うんたらかんたらというのぼりを掲げていましたし、映画『靖国』に関して銀座シネパトスに街宣をかけた青年も、中国人留学生に果敢に殴り掛かってましたね(苦笑)。 > 一方でチベット問題でもっとも厳しい報道や言論を繰り広げているのは、すでにも述べましたが大手新聞では毎日、テレビではTBS系です つまりネット右翼に言わせりゃ「反日メディア」ですがね。毎日の社説の「ダライ・ラマをオリンピック開会式に招待しろ」は傑作でした。TBSはとくにお昼の「ピンポン」が二週間くらい毎日とにかくチベット問題を特集してたようですし、非常に厳しい論調が目立っていました。 胡主席来日でも、大使館などに右翼の街宣が出ていますね。中国に対し強い遺恨があるヴェトナム、韓国(どっちも侵略かそれに近い被害を受けていますから、ある意味致し方ない)はともかく、右派の愛国主義がここまで動いているのは日本くらいなものです。で、かなり異様であり、一貫してチベットの運動を支持しているおかげで中国のビザがもらえない身としては、非常に危惧することです。

回答No.4

> 私が長野や東京のデモに参加した経験や、その後の報道でも参加者が「南京大虐殺ねつ造」を主張したなどという話は聞いた事はありませんし、 実際に右翼団体が動いていますし、長野では日章旗を振り回していた不届きものまでいましたし(関係ねーだろ)、一部のマスコミでもそうしたプロパガンダに利用しているところは、あります。たとえば週刊新潮ですね。 > もしくは海外では特定の思想を持った人をチベット問題を訴えるデモから排除していたとでも言うのでしょうか? というより、アメリカやヨーロッパはほとんどの国では中国は右派ナショナリズムのターゲットではありませんから。むしろアメリカでは極右のブッシュ政権がオリンピック開会式出席を表明し、共和党中道のマケイン氏や、民主党の両候補から批判されていますね。 > チベット問題でデモをした人達に向かって「ネット右翼!!」などと誹謗中傷 誰もそんな誹謗中傷などしておりませんし、現にSAVE TIBET NETWORKなどの極めて良心的な団体が活動しています。ただしSAVE TIBET NETWORKでは長野にすでに右翼街宣車などが乗り込んでいたりその計画がある一方で、中国の留学生が動員されることを危惧し、長野では抗議行動を呼びかけておりません。 一方でチベット問題でもっとも厳しい報道や言論を繰り広げているのは、すでにも述べましたが大手新聞では毎日、テレビではTBS系です。TBSのレポーターがダライ・ラマ猊下に握手してもらって大感激、一瞬の握手でさすが! と改めて感服した次第ですが。 > しかし「人類普遍の正義」とやらを踏みにじる国を嫌ってはいけないとの主張は、理解に苦しみます。 こちらを読まれる方が、より説得力があるでしょうね。 チベット人のみなさんへの呼びかけ http://www.tibethouse.jp/dalai_lama/message/080406_statement_to_all_tibetans.html ---- 自由と人権のために立ち上がることはすべてのチベット人に認められた権利です。しかし、中国の人々の心に憎しみを生むようなことをしてはだれのためにもなりません。暴力と威嚇の上に調和ある社会が築かれることはないのですから、私たちは、心のなかに信頼と敬いの念を育むことで調和ある社会を築いていく必要があるのです。 ---- 中国人のみなさんへの呼びかけ http://www.tibethouse.jp/dalai_lama/message/080328_to_the_chinese_people.html ご覧のように、ダライ・ラマ猊下は中国人に憎しみを抱くことを厳しく戒めてもいますし、中国人に対して「私の兄弟姉妹である中国人の皆様、とりわけ中華人民共和国内にいらっしゃる皆様」と呼びかけています。 中華人民共和国の政策の不当を訴えることはチベットの精神を守ることですが、中国人を憎むことはダライ・ラマ14世に体現されるチベットの精神を踏みにじり、その価値を貶めることです。

kazuht
質問者

お礼

回答本当にありがとうございました。

  • pri_tama
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回答No.3

 なんでもネット右翼と絡めて、問題を矮小化したがる方がいらっしゃる事でしょうか?  私が長野や東京のデモに参加した経験や、その後の報道でも参加者が「南京大虐殺ねつ造」を主張したなどという話は聞いた事はありませんし、ネット右翼が参加していたとしても、チベット問題を訴える意義には何ら変わるものがありません。  もしくは海外では特定の思想を持った人をチベット問題を訴えるデモから排除していたとでも言うのでしょうか?少なくとも私はそのような話は聞いた事がありません。  少なくとも他の国で、チベット問題でデモをした人達に向かって「ネット右翼!!」などと誹謗中傷する方はいらっしゃらないでしょうから。  しかし「人類普遍の正義」とやらを踏みにじる国を嫌ってはいけないとの主張は、理解に苦しみます。

回答No.1

とりあえず市民レベルで言えば、チベット問題を始めとする中国の人権問題について左派リベラルが抗議しているのがヨーロッパやアメリカですが、日本では単に中国が嫌い、という小児的な動機が広まってるだけのように見え、そのなかでどうしても良心的な、単に今起っていること、過去58年間起っていることが間違っていると指摘しているだけの人々の声がかきけされているように見えます。 だからあまりにも説得力がなく、故に政府や人権団体、マスコミなどでも消極的にならざるを得ないか、よほど主張の仕方を慎重に考えないと、という態度が見え隠れします。 毎日やTBSがやっているように、「嫌中ウヨク」なんて無視してただ堂々と正論をやりゃあいいだけだ、とも思いますがね。 しかも「嫌中ウヨク」ってのは日本がアメリカの属国であるという屈辱的な現実から単に逃避してるだけの似非ナショナリストに過ぎませんしねぇ…。ま、すべてアメリカのスパイだった岸が敷いた、戦後日本保守の悲惨のレールをひたすら突っ走ってるだけ、ってことなんでしょうが(苦笑)。

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