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被害者?共犯者?
実際は、とても複雑な話なので、簡単なたとえ話にして質問させていただきます。 Aの所持する本があります。 AがBに対して、「(Aの所持する)本を持っていって。」と言いました。 Bは、Aの言う通り【Aの本】を持って行きました。 しばらくしてから、BはAから【Aの本】を盗んだと泥棒扱いをされました。 しかしAがBに対して、「(Aの所持する)本を持っていって。」と言った時の録音があります。 以上のような経緯の場合 1.Aの許可のもとに本を持っていったBは泥棒となり、Aは本を盗まれた被害者となるのでしょうか? 2.Bが泥棒になるとしたら、その行為を促したAは共犯なりの罪には問われないのでしょうか。 法的には上記のような場合は、どのような扱いになるのでしょうか。 宜しくお願い致します。
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- ken200707
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※○○は犯罪行為ではありません。 なので、民事上について考察します。 民法 第七百九条 (不法行為による損害賠償) 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。 により、不法行為によって賠償責任を負うには“故意又は過失”が条件になっています。 ここで、A,Bと“故意又は過失”の関係は、4種類になります(尚、悪意、善意は前回の回答を参照願います)。 1)A,Bとも悪意 第七百十九条(共同不法行為者の責任)に該当 2)Aは悪意でBは善意 Aは賠償責任を負うが、Bは負わない 3)Aは善意でBは悪意 Bは賠償責任を負うが、Aは負わない 4)A、Bとも善意 A,Bとも賠償責任を負わない となります。 “BはAの指示通りに○○する”で、その“○○する”が法令に反したり、だれかの権利を侵害する(不法行為)であるのを“知る”ことに“過失”があれば賠償義務を負いますし、“過失”がなければ負いません。 その“過失の有無”は、具体事例で判断されますが、一般に、“予見可能性”で行われます。例としては、前日に美術館から“モナリザ”が盗まれたとのニュースを聞いた状態で、Aから“モナリザ”の絵を“持っていけ”、と言われた場合、普通の人であれば、その“真贋”判断ができる可能性が少ないでしょうが、美術商とかヨーロッパ美術の大学教授あたりだと、ある程度の“真贋”判断ができたはずだ(期待)となる可能性があります。 また、A,B間に指揮命令関係(簡単に言えば、会社での上司と部下)があれば、(その行為の内容にもよりますが)基本的にAの責任(使用者責任)が重視されるでしょう(Bの責任が緩和される可能性がある)し、AがBを脅迫(強要)した場合であれば、Bの責任は第七百二十条(正当防衛及び緊急避難)により阻却される可能性があります。
- ken200707
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窃盗罪では、侵害される法益(法律上の権利)は占有権であり所有権ではありません(少なくとも、現在の日本では)。 つまり、Yの手元(管理している)物を、Yに無断で持ち出すことが“窃盗罪”であり、その“物”はYの所有物である必要はありません(YがZから預かったものであっても、窃盗罪が成立する)。 1.Aの許可のもとに本を持っていったBは泥棒となり、Aは本を盗まれた被害者となるのでしょうか? “持っていって”が、所謂“さしあげる”ことを意味するのであれば、所有権はAからBに移転しかつ、“持って行”く行為が平穏に行われたのであれば、占有権もBに移転しています。よって、“窃盗罪”は成立せず、Bは犯罪者ではなく、Aも被害者にはなりえません。 “持っていって”が、所謂“貸してあげる”ことを意味するのであれば、所有権は依然としてAが保有していますが、“持って行”く行為が平穏に行われたのであれば、占有権はBに移転しています。よって、“窃盗罪”は成立しません。 これらの違いは、BがAから返却を求められれば、前者はすでに所有権の移転がなされているので、Bは返却の義務はありませんが、後者は返却義務が存在することです。 2.Bが泥棒になるとしたら、その行為を促したAは共犯なりの罪には問われないのでしょうか。 本件の例ではいずれの場合でも、占有権の移転が平穏に行われたのであれば、Bが窃盗犯となることはありません(Aから無理やり奪ったのでなければ)。 他の可能性としては、その“本”がCの物で、かつAが占有していることをCが知らない(例えば、無断で持ち出してきた)場合で、それをBに“与えた”場合があります。この場合、Bがその間の事情を知っていれば(法律用語で悪意の場合)は、A,Bは“Cの本”に対する窃盗の共犯になるでしょう。Bがその間の事情を知らない(法律用語で善意)のであれば、Bの行為は犯罪を構成せず、Aの“Cの本”に対する単独窃盗となるでしょう。 また、Cが、Aがその本を持つこと(占有すること)を了解しているが、転売や転貸を了承していない場合は、上記で“窃盗”を“横領”と置き換えた状況になります。
補足
詳細なご回答ありがとうございした。 とても参考になりました。 私のたとえ話が余計にややこしくしてしまったようですみまんせん・・・。 Aが「○○して下さい。」とBに言う。 BはAの指示通りに○○する。 その後、AがBに対して○○した事について不法行為であると訴えて来た。 ※○○は犯罪行為ではありません。 その場合の、AとBの責任の所在について知りたいのですが・・・。 お手数ですが、再度アドバイスいただけると幸いです。
お礼
お礼が遅くなってしまい申し訳ありませんでした。 詳しい説明どうもありがとうございました。 大変参考になりました。