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ヒッタイト語が解読できた理由は?

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%92%E3%83%83%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%88%E8%AA%9E の「解読」の項を転記します。 ヒッタイト語は20世紀初頭に解読され始めた。1902年にヨルゲン・クヌートソン(en:Jørgen A. Knudtzon、ノルウェー)が、ヒッタイト領で発見された粘土板の多くがアッカド式楔形文字で書かれていることを指摘した。これらは音節文字で書かれていたため解読が進んだ。1916年にベドジフ・フロズニー(en:Bedřich Hrozný、チェコ)が、この言語は印欧語に属すると結論し、それによってさらに解読が進んだ。 さて、質問です。 「これらは音節文字で書かれていたため解読が進んだ。」の意味が掴めません。この記述からすると、音節文字は他の何か(単音文字、表意文字?)に比べて解読が容易だと受け取れますが、何に比べて容易なのですか。それはまた何故なのかを、ここで予備知識のない者に説明することが可能ですか。それとも、そういう意味ではなく、アッカド語が既に解読されていたから、それが手がかりになって解読が進んだという意味ですか。後者の場合の解説の有無は一任します。 よろしくお願いします。

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noname#122289
noname#122289
回答No.2

「これらは(既知の)アッシリア音節文字で書かれていたため(少なくとも大まかな音を知るというレベルでの)解読が進んだ。」という意味でしょうね。「未知の言語であっても何らかの音節文字で書いてさえあれば容易に解読できる、」という意味ではありません。 もし表意文字で書かれていたら表面的な解読はさらに容易だったかもしれません。でもその場合ヒッタイト語の音声と語彙の全体像を知ることは困難になります。 意味も文脈もわからなくても既知の表音文字(音節文字)を使用していたので楔形文字文書のなかに wadar wedenasといった音の連続が見て取れたのです。 フロズニーの仕事について補足すると、彼はwadar wedenasが「どうも同じ単語の変化した形らしい」ことに気付いたのです。-ar/-enasが対立していることがわかります。どうやら屈折語であるらしい。しかも語幹末の子音r/nが交替するものといえば... ラテン語には iter(道は)/itineris(道の)、femur(太腿は)/feminis(太腿の)というタイプの名詞変化があります。語幹のr/nという子音の交替も含め「ヒッタイト語はラテン語に似たインドヨーロッパ語族(印欧語)の古いタイプの特徴を持つ言語かもしれない」という仮説の根拠としては十分です。 印欧語だとすると語根にも既知の印欧語の語根を当てはめることができます。こうしてwad-も印欧語の語根*wed-「水」という語根に遡る可能性が見て取れるのです。このようにしてwadar「水は」、wedenas「水の」または「水を」と解読されたのです。 以上の解読の経過が、すべて子音を中心に進んでいることに注意してください。音節文字を使用している以上は正確な母音の音価や音節の構造の解明には困難を伴います。印欧語の多くがそうであるような閉音節を多く含む言語を音節文字で表記するには無理があるのです。英語をカタカナで表記することを思い起こせば容易に想像できるでしょう。

sono-higurashi
質問者

お礼

音節文字だからといって、特別解読し易い訳ではないのがよく分かりました。 ヒッタイト語が印欧語族の系統であることは字面の知識としてだけ承知していましたが、具体例を通じて解説して下さったので、それがどういう意味なのか理解が深まりました。 >>音節文字を使用している以上は正確な母音の音価や音節の構造の解明には困難を伴います。 これは素人なりに頷けます。先週、ウガリット語に絡んだ質問をしましたが、ご回答の最終段落は、もしかするとそれを意識して下さったものかも知れないと感じました。 有り難うございました。またの機会にもよろしくお願いします。 回答の準備をされている方があってはいけないので27日(日)、夜間までは締め切らないでおきます。

その他の回答 (1)

  • corgi12kg
  • ベストアンサー率51% (28/54)
回答No.1

アッカド語が既に解読されていたからということですね。 ベヒストゥン碑文というロゼッタ・ストーンのようなものの発見が あったから・・・

参考URL:
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%92%E3%82%B9%E3%83%88%E3%82%A5%E3%83%B3%E7%A2%91%E6%96%87
sono-higurashi
質問者

お礼

アッカド語が役立ったからなのですね。 ベヒストゥン碑文は、こんなしっかりした形で残っていたのですね。実はこれの邦訳を先日読んでいて、ベヒストゥン碑文が今、何処でどうしているのかを知りたいと思っていたところでした。3言語で併記するとは帝国も広大だし、人事交流も盛んだったのだと思いました。 有り難うございました。またの機会にもよろしくお願いします。

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