歪という量は、垂直歪については、
εx=∂ux/∂x
と定義するのは、ごく自然としても、
剪断歪については、これを定義した人があまり深く考えていなかったせいか、
γxy=∂uy/∂x+∂ux/∂y
と定義してしまったのです。
もう少し慎重に考えていれば、応力との関係や、回転の定義式との関係から、上記の1/2の量、すなわち
γxy=1/2・(∂uy/∂x+∂ux/∂y)
と定義した方がずっと便利であることに気がついたと思うのですが。
要は、実用的に使用されている剪断歪は、「本来こうあるべきだ」という剪断歪の量の2倍になっているのです。
ちなみに、回転θxyの定義は、幾何学的に、
θxy=1/2・(∂uy/∂x-∂ux/∂y)
と、1/2がくっついていることはご存知だと思います。
応力と歪には似た性質が多く、応力成分間の関係式と歪成分間の関係式は、主応力と主歪、座標変換式など、似たような関係式で表されるのですが、以上のような理由から、剪断応力と剪断歪の項を比較すると、いつも、「剪断歪の項を1/2の値で置き換えると、応力の関係式になる」という対応関係になってしまっているのです。
そして、これがあなたのような深く考える人を悩ませる結果となっているのです。