該当の絵を観てきました。
これを制作したのは、18世紀フランスの画家ジャック=ルイ・ダヴィッドですね。
「ソクラテスの死」以外にも「ホラテウス兄弟の誓い」や「サン・ベルナール峠を越えるボナパルト(ナポレオン)」なんかが有名な画家ですね。
彼は、フランス革命に深く関わっていた事で知られています。
「ソクラテスの死」は1787年と、まさにフランス革命(1789年)直前に制作されています。
フランス革命で大きく変ったのは、「王が支配する」時代から「法が支配する」時代への転換です。
ソクラテスは、「悪法も法なり。」と言って、弟子が脱獄をすすめるのにも拘わらず(当時のアテネは、賄賂さえ渡せば簡単に脱獄できて、他のポリスで安穏と暮らしていられた)、頑なに拒み、死を受け入れました。
正に、「法の支配」に服したのです。
そして、これは「法治国家」には重要な思想です。
なんせ、「王」といえども、その国の国民である以上、「法」に服さなければならないのですから。
ソクラテスのこの思想と、「フランス革命前夜」という時代。
つまり、天を指さすソクラテスは、やがて「法が支配する時代がくる」と予言していると捉えることが出来ます。
毅然とした態度で死に臨むソクラテス。
悲嘆にくれる友との対比で、その堂々たる雰囲気がいっそう際だっています。
その死は英雄的で印象深く、また新しい時代の幕開けの為に命をかけようという作者の覚悟さえ伝わってきます。
そして、左に座った老人。
プラトンとされる人物ですが、一人だけ背を向けています。
今ひとつ、その意味するところは捉え切れていませんが、悲嘆にくれる友人達の中にあって、一人落ち着いているような気がします。
もしかしたら、彼はソクラテスの死の意味をいち早く理解し、すでに受け入れていたのかもしれませんね。
私見による勝手な解釈ですが、参考になりましたら幸いです。