日本語タミル語起源説で有名な大野晋先生は、日本語相談の中で、次のように変わって行ったと解説しています。
【昔】 「留守」:天子が遠征するとき、都に留まって守る役目
【切支丹時代(室町時代末期)の日葡辞書】
(1)「rusu uo suru (留守をする)」:他の人の不在中、家に残っていて番をする。
(2)「rusu naru, rusu dearu(留守なる、留守である)」:よそへ出ている、あるいは不在である。
(3)「ルスモリすなわちルスノバン(留守守すなわち留守の番):家を守って、あるいは番をして残っている人。
先生は(1)→(3)(2)となって「不在である」の意味に変わっていったと説明しています。
「留守守」は守が二つあってヘンな言葉です。留守の本来の意味を知らない人の間に広まった言葉です。この時点で留守が不在になっているようです(★ここが大事なところです)。
以上のようなことで、留守=不在が 一般大衆(文字を知らない人も多い)の間で広まって行き、現在はそれが普通になっています。
ま、言葉というものは、その本当の意味や使い方を知らない人が変えて行ってしまうのだと思います。
いつの時代でも「若者言葉」のような文法用法破りが出てきて、それが定着したりします。
言葉の世界の大原則は
【その時点の文法に照らし間違っていたとしても、その言い方を使う人が増えれば、言語体系の中に組み込まれ、社会的に承認されて行く】
です。
言葉は皆が【堂々と文法用法破りをしながら変化】して行きます。
以上の説明で「番」の意味もおわかりになったと思います。では(^.^;。
お礼
詳しいご解説ありがとうございます。 「留守守」ですか。 よくわかりました。