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調律について
ミーントーンは純正な長三度を多くとるために狭い5度を作りますね。C-Eを純正長三度にするためにG・D・Aをどのように決めたのでしょうか?唸りが何回というようなことはバロック時代のどの著名な理論書にも書かれていませんでした。そんな回数云々は音楽的感覚では無意味なのでしょうか?
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質問者様のおっしゃる通りで唸りが何回というようなことはルネサンス末期から古典派期のどの著名な理論書にも書かれていないと思います。 ご質問のような唸りの回数が何回かといった質問をいろいろなところで見かけますが実際に計算すると端数が出てしまい小数点以下の数値まで正確に覚えづらく、一流の技術者でもない限りここまで正確に合わせられるわけがありません。それに計算には他の回答者様のおっしゃるように周波数が分かっていることが前提ですね。 また、弟子から弟子へ秘伝として唸りの回数を伝えた、とも考えられますがその確証はどこにもありませんし細かな数値を並べて回数云々いうのは物理学的な音楽の見方であって質問者様のおっしゃる通り音楽的音楽ではなく無意味です。 音楽とはチューニングメーターが判断するものではなく人間の耳で聴いて楽しむものです。これを大事にしなければなりません。そこにどんなにすぐれた敏感な(1セントの差も感知する)機械であっても入り込む余地はありませんし無意味でありそんなものに頼る人はどうせ音楽にいい加減な接し方しかしていない人であると思います。 ですから当時の演奏者は何点何回といった数を覚えるのではなくてハ音とホ音との間のト・ニ・イの三音を定めるためにまずハ音から上に純正なホ音をとり、仮にハ音から下にヘ・変ロを純正にとり、次にホから上にロ・嬰ヘと純正にとった後、仮にとった変ロと嬰ヘの間に同じ唸りに挟まれるようにニ音をとり、定まったニ音とハ音との間に同じ唸りに挟まれるようにト音を定め、そしてニ音とホ音との間に同じ唸りに挟まれるようにイ音を最終決定します。 こうしてミーントーンとキルンベルガーで共通なミーントーン5度が完成します。あとはト音から下に変ホ、上にロ、ニ音から下に変ロ、上に嬰ヘ、イ音から下にヘ、上に嬰ハ、ホ音から上に嬰トを純正長3度に取り直して完成です。 なお、キルンベルガーなら最初にとった仮音程は本決定となり、嬰ヘから上向きに嬰ハ・嬰トを、変ロから下向きに変ホを純正にとって完成。キルンベルガーのほうが簡単というのはあーら不思議!!?? 唸りの回数など知らなくても純正にとりたい音程をはっきりさせてとちょっとした工夫をすればチューニングメータなど全く必要ありません。ルネサンス時代にチューニングメーターがありましたか(笑)?もっと大事なことがありますね。ミーントーン時代の音楽は長三度が「調和」するということだけが一人歩きしているようですが調律プロセスではピタゴラス時代から知られている五度の「調和」も利用されていました。ここが肝心です。 必要な物は最初にピッチを取る時に使うリコーダーだけであとは五度と三度の調和感覚と二つの和音の響きの違いを聞き分ける(比較)感覚だけです(ここが直接ミーントーン五度を作るプロセスですね)。 広い意味で18世紀までの音楽は曲のみならず調律システムまでが「あるものとあるものが溶け合う」と「あるものとあるものとの比較」、「あるものとあるものが同じ響き(もしくは唸り)」を楽しむという事に厳格であったといえます。これが時代の趣味だったのでしょうね。 くどく厳しいようですが「唸りの回数何回」などは物理学の世界から見た音楽であって感性を大事にする我々作曲・演奏家はそれに振り回されてはいけません。
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- Ta595
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こんにちは。 私も不思議に思っていたことです。 (そもそも等分平均律ですら実際の調律手順は知らないのですけれども・・・) Wikipedia以外にはこんなサイトもみつけました。チェンバロ工房のサイトです。 http://page.freett.com/cembalo/tuning/tuning_index.html Wikipediaとは全然手順が違いますね(笑) また,唸り何回,という書き方ではなく,狭く,広く,などと漠然とした書き方になっています。 唸りの回数云々は計算すれば分かることだとは思いますが,実際の楽器をそれだけを基準に「機械的に」調律できるとも思えませんし,結局は聴覚が頼りなのかな,という気がします。 (A=440Hzという基準ができたのが確か19世紀ですから,バロック時代当時は唸りの回数で記述することは不可能ですよね,そういえば) 学術的には意味のない雑談ですけれども,ご参考までに。 --- こちら,ご質問とは直接関係ないですが,いろいろと文献の名前も載っているようなので。 http://www.seitoku.ac.jp/daigaku/music/profiles/sakazaki/HPET.pdf
お礼
回答ありがとうございます。 ご紹介いただいた文献を見ているうちにフレスコバルディやフローベルガーが平均律を使っていたという学説を思い出してしまいました。 調性音楽は三度が命なので平均律は音楽的に間違っているように思えて仕方ないです。せめてキルンベルガーあたりで現代の調性音楽を弾いてもらいたいです。(アカン!話題がズレてる)
リンク先の紹介だけになりますが,こちらの説明によると, ミーントーン5度,唸りは毎秒約2回と書かれています。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%85%A8%E9%9F%B3%E5%BE%8B#.E8.AA.BF.E5.BE.8B.E6.B3.95 詳しくはリンク先の調律法をご覧ください。 ここに書かれている以上のことは私には分かりません。
お礼
回答ありがとうございます。 リンク先の調律法は大変詳しくて参考になりました。 唸りの回数まで書かれているなんて貴重です。このサイトの参考文献であろう「ゼロビートの再発見」に大変興味を持ちました。
お礼
回答ありがとうございます。 大変深い内容で一度に全てを理解できそうにないですが何度も繰り返し読み返し自分のものにしていきます。 「物理学の世界から見た音楽」と「作曲家から見た音楽」は違い混同してはならないのですね。「チューニングメーター」はハイテク社会と物理学の産物であり音楽の目的とはかけ離れたものなのですね。危うく「機械」に洗脳されるところでした。 もっと自信をもって音楽のもつ魅力と不思議な魅力に耳を傾けていきたいです。 音律以前に協和音程の基本である五度と三度の調和を考えれば機械なしに立派に調律出来るのですね。やってみます。