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遺伝子操作したものをDNA検査
遺伝子操作したマウスなどの生物がいるとしますね。 その生物から採取した血液や細胞をDNA検査すると、遺伝子操作されていることがわかるのでしょうか? どなたか教えてください。生物学初心者です。
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Jagar39です。回答遅くなりました。 >塩基ではなく遺伝子を比較するということ 遺伝子の正体は「特定の塩基配列」ですから、突き詰めれば遺伝子を比較するには塩基を比較しなければなりません。 なのでとりあえずマウスのゲノムは全て解析されている、すなわち遺伝子の位置も塩基配列も判っている、と仮定します。まあ「遺伝子操作」は少なくとも解明されている領域に対して行うものですけれどもね。 1.どの遺伝子に対してどういう"操作"をしたか判っている場合 これは簡単です。その操作した結果を検出できるような実験系を組めば良いだけです。 例えば、いくつかの塩基を置換して異なる配列にしたのならば、その置換カ所を含む領域をPCRで増幅しておいて制限酵素で切ってみる、というのが最も手軽な手段でしょう。ある程度まとまった領域が置換されているのなら、いっそ置換された領域にプライマーを設計して増幅できるかできないかで見ても良いです。まあPCRの場合、「増幅できなかった」という結果で何かを判断するのはちょっと辛いので、PCR→制限酵素というのがベストかと。もちろんPCRで増幅した産物をシークエンスで読んでも良いですけど。 "操作"には他にもいくつか手法があるのですが、いずれにしろ「何をしたか」が判っていれば、それを検出する系は組むことができます。 2.どの遺伝子に操作したかは判っているが、どういう操作をしたかが判らない場合 この場合はその遺伝子を全長PCRで増幅して、それをシークエンスで読んで比較するしかないでしょう。 mRNAのcDNAとしては1,000塩基対ほどのコンパクトな遺伝子でも、染色体上ではけっこうな長さがありますから、全長をきちんと読むにはそれなりに手間暇がかかります。 3.操作された遺伝子も判らない場合 ま、染色体上の全長読むのは非現実的ですよね。 でも、2の手順を3万個の遺伝子それぞれに行うのも非現実的です。全長読むのと数倍くらいしか手間暇が変わりませんから。 まあまだ現実的な方法は、マイクロサテライトマーカーでノーマルのマウスと片っ端から比較していく方法くらいかな・・・それでも数年で結果が出るかどうか判りませんが。 これ、実際に遺伝病の原因遺伝子を突き止めたりする時と同じ手法ですよね。マイクロサテライトで問題の遺伝子の染色体上の位置を突き止め、そのあたりを片っ端から読んで機能解析して、という。 その遺伝病の正体が判れば検査法もできる、という具合に、3→2→1という順に研究が進められてます。 昔、ある遺伝病の研究に協力していた時のことを想い出しました。たまたま検体をたくさん持っていたので提供しただけなのですが。 それも染色体上の位置までだいたい判ってきて、これから詰め、というところで他機関に先を越されて悔しい思いをしました。
他の方が回答されているように、操作された遺伝子が判っているのなら簡単です。 その遺伝子を直接PCRで検出できるようなプライマーが設計できれば、血液や細胞からDNAを抽出する時間を含めても5~6時間もあれば判定ができるでしょう(プライマーの合成に係る時間は除く)。 逆に操作された遺伝子が判らなければ、ほとんど絶望的です。 No.2の方が回答されているように、全塩基配列を調べてみたところで全てに遺伝子について"操作されていない"配列が判らなければお手上げですものね。 ちなみにヒトのDNAも30億塩基対ほどです。 ヒトゲノム計画でヒトの全塩基配列を読むのに、世界中の科学者を動員して数年かかってます。マウスのゲノムは既に解読されているのでしょうか?私は専門外なのでよく判りませんが、実験動物としてあれだけ遺伝系統別に管理されているくらいですから、とっくに解読されているように思うのですが。 マウスゲノムが解読されているのなら、めぼしい遺伝子をPCRで拾っておいて、それらの配列を読んでデータベースと比較すれば、全塩基を読むよりは早くできそうですが・・・それでもたいへんですね。 それはさておき、No.2のtunertuneさん、15kbpを1~2日で読むのはぐーたらどころか凄い働き者ではないですか。 むろん、シークエンサで塩基配列が出てからの時間ですよね・・?
お礼
ご回答いただきありがとうございます。 ちょっと頭を整理させてください。 現段階でヒトゲノムが30億塩基対であり、人の遺伝子が3万個くらいであることがわかっているのですね? 遺伝子を調べるということであれば、3万個の遺伝子と比較すればいいということになるのではないのでしょうか? それとも、塩基ではなく遺伝子を比較するということが、現在の科学技術的に無理ということなのでしょうか?
どの遺伝子が操作されているのか分かっていれば簡単に調べられると思いますよ。 配列が分かっているからこそ、遺伝子操作できるので適当なところにプライマーを設計してシーケンス後、データベースと照合すれば良いのでは? PCRで長さを調べるのも一つの手かもしれませんね。大抵、何か余計なものをつけていたりするので長さが変わるのでは? トランスポゾンなどを利用したランダムな操作だとターゲットが分からずに難しいと思いますが。
お礼
ご回答ありがとうございました。 専門用語は検索して調べてみます。 どの遺伝子が操作されているかわからないものを調べるというのはとても難しいのですね。 それにしても、導入された遺伝子というのは、マウスが成長した後もすべての細胞に残るものなのですね? それも驚きでした。
- tunertune
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畑が少し違うので、もっと簡単な方法があるのかもしれませんが。 マウスの塩基対(遺伝子の中身)は全部で30億bpくらいらしいです。 私の分野はウイルスなので、普段は1万5千bpくらいの塩基配列を決定しております。 ざくっと計算して、みっちりやってうまくいけば1、2日で結果がでます。 その20万倍です。 単純には考えてはいけないと思いますが、かなりめんどくさいことには変わりないのではないかと思います。 私はぐーたらなので、早い人ならもっと簡単なのかもしれませんが。
お礼
度々、ご丁寧な回答ありがとうございます。 面倒くさいとおっしゃられるということは、人の手作業を要するということでしょうか。 私はSFの世界のようにコンピュータなどが自動でやってくれるのだとばかり思っていました。。。
- tunertune
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どのような遺伝子が導入されているかがあらかじめ分かっていれば簡単に分かると思います。 ただし、そこらへんのマウスをもってきて 「遺伝子操作されているのだろうか?」 と思っても、それを確かめるのは大変だと思います。 全ての遺伝子を解析して・・・というのは・・・。 導入される遺伝子にもよりますが、可能か不可能かと問われれば、可能でしょう。
お礼
ご回答ありがとうございます。 可能なことは可能なのですね。 すべての遺伝子を解析するのは大変なのですか? 人間の遺伝子は全部で3万個ぐらいと聞きましたが、 コンピュータなどで解析(?)していっても、 やはり時間のかかるものなのでしょうか?
お礼
非常にご丁寧な回答をいただきまして、ありがとうございます! わかりやすく納得しました。 最前線で研究をされているプロフェショナルな方々に教えていただけるというのはとても光栄なことだと思います。 重ね重ね御礼申し上げます。