●問題点がゴッチャになって議論されている●
(1)「日本の農業政策の問題点」(2)「日本農業の問題点」(3)「日本の農家の問題点」(4)「食糧自給率が40%を割った」と、質問の立て方によって違います。
(1)「日本の農業政策の問題点」 日本政府の農業政策は農家、農協、農業関係者など直接利害関係のある人、団体、会社などの利益に反しないように立案されて、消費者の利益が無視されています。もし消費者の利益を重視するならば、農産物の輸入自由化が促進されるでしょう。
(2)「日本農業の問題点」 ウルグアイ・ラウンドなど、世界は自由貿易に向かっていますが、日本の農業は政府の過保護政策により、産業として自立できなくなっています。補助金や農家への所得補償ではなく、産業として自立できるように予算を使うべきです。
(3)「日本の農家の問題点」 高齢者が多くなっています。近代的な産業として自立するには、経済の変化や農業技術の日進月歩の進化についていかなければなりません。高齢者の農家にとっては、「農業は儲からないから、補助金を使って農家を援助しよう」との政策であってほしいはずです。農業が儲かるならば、補助金が削られてしまいます。
(4)「食糧自給率が40%を割った」 コメの自給率は100%です。いくらコメの生産を増やしても自給率は向上しません。現在の自給率──コメ100%、コムギ13%、ダイズ5%、野菜79%、果実39%、牛肉43%、豚肉52%、鶏肉69%、飼料25%。けれども「コムギの自給率向上には何をすべきか」「ダイズはどうしたら自給率が向上するか」「トウモロコシなどの飼料を国際価格に近づけるよう、コスト削減するにはどうするか」は議論されていません。つまり、具体的に自給率を向上させる方法・政策は提案されていません。
これら4つの問題がゴッチャになって議論されていることが問題だと思います。