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詩人ゲーテが見た夢についての解釈して欲しいのですが・・。
質問と言うより、どんな解釈がありうるか?をお聞きしたいのですが・・。 これはゲーテの「イタリア紀行(上)」(岩波文庫)1786年10月19日の日記にあった内容を抜粋しています。日記によるとこの時ゲーテは、ボローニャに滞在中でした。 この時既にあちこちで古代の芸術品に感動し、同時に圧倒され混迷に陥ったりしていたのですが、ここでも同じ経験をしました。 「(上記の理由で)そして霊感が涌き、未完成だった詩「イフィゲーニエ」の製作意欲が涌いて来た。 そんな落ち着かない気持でいると、何故か1年前に見た夢を記さずにはいられなくなった。」 「大きな軽船に乗っていた。そして豊穣な草木のよく茂る島に着いた。 ここでは立派な雉が沢山獲れると聞き、島民に頼むとすぐに沢山仕留めて来た。 もちろん雉だったが、尾がまるで孔雀や極楽鳥みたいに長く雑色の斑が付いていた。 私の船に沢山運ばれ、頭は船の内側に。尾は外側に垂れて日光で美しく輝いていた。 しかも多すぎて舵取りや櫂を使う者の場所が無いくらいだった。 われわれの船は静かな波をかき分けて行った。私は獲物を分けようと友人の名を叫んでみた。 最後に大きな港に着き、上陸しようとしたら恐ろしく帆柱の立った船の間に迷いこんだ。 私は船を安全に上陸する為、甲板から甲板に乗り移って行った。」 彼の旅の目的は、幼少からのイタリアへの強烈な憧れと、煩雑な生活の苦悩が合いまったものでした。 後にこの旅がきっかけでドイツ古典主義を完成させます・・・と、本にありました。 この夢が何を意味するのかは、正解を知りたいのではなく、ゲーテに何をもたらしたのか(かも知れない)仮説でも構いませんから知りたいのです。 皆様、どうかよろしくお願い致します。
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彼は一種の天才と呼んでも良いと思いますが、非常に恋多き男性であったという点が夢の解釈として注目できるのではないかと考えます。 しかも、彼は常にと言っていいほど安定した結婚に至る要素を排除しつつの恋愛に没頭していたという事実も興味深い点です。 「>1年前に見た夢」ということですから、日記の年代からすれば夢を見たのはまだワイマールにいた頃で、イタリアへ出奔する直前の夢ということになるように思われます。 おっしゃるように、「>旅の目的は、幼少からのイタリアへの強烈な憧れと、煩雑な生活の苦悩が合いまったもの」だったのでしょう。 直接的には、シャルロッテ・フォン・シュタイン(シュタイン夫人)との関係がギクシャクしてきたことが要因になっていると考えていいように思います。 夢の解釈上として注目してみたいのですが、彼はその前にも銀行家の娘リリーと婚約までした後破局を迎えていました。 さらにその前には、かの若きウェルテルの悩みのモデルとなったシャルロッテ・ブッフとの失恋も経験しています。 その後シュタイン夫人との関係もこじれ、いかなゲーテと言えども精神的なストレスは相当なものがあったことでしょう。 個人的には、こういった心理的状況が象徴的に現われた夢ではないかと考えます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 最初は安泰で軽快な人生【大きな軽船】に思えた。 女性(=陰毛が密集している【豊穣な草木のよく茂る島】)に辿り着きそこでの快楽を味わった。 あでやかで優しく美しい【孔雀や極楽鳥みたいな】女性【獲物=雉】と沢山知り合った。 しかし、数多くの【私の船に沢山運ばれた】恋愛記憶が重圧となってきて、私の心理に不安定な様相を呈し始めている【多すぎて舵取りや櫂を使う者の場所が無いくらいだった】。 いっそのこと、彼女たちは納まるべき男性のところに納まってしまえば良いだろう【獲物を分けようと友人の名を叫んでみた。】。 今は誰との関係性も殆んど失せて、一応落ち着いたように見える【最後に大きな港に着き】が、 本当に忘れて平常心に戻ろうとすると、怒りや憾みに満ちた相手の男性(=男根)たち【恐ろしく帆柱の立った船】の顔が浮かんできて、邪魔する【間に迷いこんだ】。 何とか平穏な生活を取り戻すため【船を安全に上陸する為】、彼らの怒りや憾みを忘れて落ち着きを取り戻したい【甲板から甲板に乗り移って行った】。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー つまり、当時の事情で相手の男性の怒り具合がそれほどではなかったとした場合でも、 『無意識領域に抑圧されているある種の罪悪感から解放されたいという願望が夢になって顕現してきた』のだろうと思います。 >ゲーテに何をもたらしたのか(かも知れない)仮説でも構いませんから知りたいのです。 :(かもしれない)と注釈されているとおり、「何かをもたらす」ということは夢の機能ではなく、むしろ夢をもたらしたものは何かと考えるほうが自然な捉え方でしょう。 仮にこの夢によってゲーテが何かをもたらされたのだとすれば、それは元々自己の内部にあったものを夢によって気づかされたのだと解釈できると思われます。 基本的には非常に本能的な要素が引き起こしている夢だと思うのですが、そういった内面的要素が芸術にまで高められたのは、彼の超自我性の高さを示しているものと言えるのでしょう。 以上は専門的な根拠に基づくものではなく、一素人の解釈にすぎませんのでその点はご了承ください。
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- ANASTASIAK
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雉は西欧の図像学上の解釈では権威や栄光をさします。 ゲーテは栄光を求めて船出し、それをつかめる島に着いた。 ゲーテが求めると思いは遂げられ、人々は栄光を彼に捧げ た。栄光は輝かしく、いずこも彼の前に横たえられた栄光 であふれた。しかし妙なことにそれらはどれも同じ形で 尾を向こうに向けて彼の前に横たわっていた。鳥は頭を先に して先へ進むはずが、逆向きになって彼を取り囲んでいた。 不安な気持ちがあったが、友人とこの喜びを分かち合いたい と思い彼の名を呼んでみたが、友人は応えなかった。 ゲーテは栄光の中で孤独だった。彼は船出の原点に立ち返る ため船を元来た方へ向けて故郷に帰ってみたが、そこには まるで十字架のような柱が林立していた。
お礼
回答ありがとうございます。 ゲーテは旅立つ時、友人にも知らせず密かにワイマールを出たそうです。 旅先では偽名を使っていました。束縛されず自由に行動したかったのでしょう。時にはばれそうになったりした、と日記にありました。 (ただし、世話をしてくれる土地の有力者等は別でした。) 「栄光の中の孤独」を考えてみると、この行動も頷けるかも知れません。
お礼
回答ありがとうございます。 何をもたらしたかではなく夢をもたらしたものの方に着目する・・・ 成る程、そう言う見方があったんですね。 「一素人の解釈にすぎませんので・・」とありますが、女性関係の不調に起因すると言う解釈は、不合理な点が無く自然で解かり易いです。