エネルギーにはいろいろな形があります。ある場合は重力ポテンシャルであり、別の場合は熱となります。生物が利用するエネルギーは複雑な分子がもつ結合エネルギーです。人間の場合エネルギーとして一番たくさん摂っているのは一般的に炭水化物ですが、これは単糖類のブドウ糖がたくさん結合してできた多糖類です。炭水化物は消化管によって消化吸収され、1グラムあたり約4キロカロリーのエネルギーを発生します。最後は水や二酸化炭素などの物質に代わってしまいますが、取りこんだ炭水化物と最後にできる水や二酸化炭素の持つ分子エネルギーの差を生命活動に使っているわけです。
動物は呼吸によって取り込んだ酸素によって食べたものを分解します。この過程は結局ものを燃やす反応と同じですが、例えば同じようにものを燃やすガソリンエンジンなどと比べても非常に効率のよいエネルギーの取り出し方をしています。消費される酸素に着目すると1リッターにつき20.1キロジュールのエネルギーを得られることが分かっています。
人間は心臓や肺、脳の活動と言った基礎代謝、そしてそれ以外の労働などの活動にエネルギーを使いますが、あまったエネルギーはやはり細胞の内部に脂肪という形で蓄えられます。食べるものが不足したとき、はじめて蓄えられた脂肪は分解され活動のためのエネルギーとなります。脂肪もやはりエネルギーの高い物質で、物質の中にうまくエネルギーを蓄える絶妙のしくみを持っているといえるでしょう。
人間は飢餓の時代が非常に長かったため、飢餓に対する対応はできあがっていますが、飽食に対しては対応はできあがってはいません。みなさんがダイエットに苦労する一番大きな理由です。
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