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客観訴訟は法律上の争訟に当たらないのなら、司法権の定義に当てはまらないのですか?

「客観訴訟は、裁判所法3条1項の規定する法律上の争訟に当たらない」とありましたが、司法権の定義「具体的な争訟(法律上の争訟)について、法を適用し、宣言することによって、これを裁定する国家作用」にあてはめてみると、客観訴訟は、当てはまらないと思うんですが。現実に、様々な民衆訴訟が行われていると思うんですが、どういう位置づけになるのですか?よくわかりません。

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回答No.1

確かに、客観訴訟は、自己の権利利益にかかわらない訴訟ということで、「法律上の争訟」(裁判所法3条1項)にはあたらないとされています(宇賀克也「行政法概説II」)。 その意味で「(法律上の争訟の裁断という)司法権の定義に当てはまらない」ともいえると思います。 しかし、裁判所法3条1項をご覧いただければお分かりのとおり、同法は、裁判所に(1)「法律上の争訟を裁判」する権限のほか、(2)「その他法律において特に定める権限」を与えています。そして、(2)が、客観訴訟の処理も裁判所の権限に属することの根拠とされているようです(前同書)。 質問者さまの疑問の原因としては、実は、そこがミソではないでしょうか。 つまり、司法権は裁判所に帰属するとはいいつつ、「現実の裁判所の権限は、裁判所法(及びその他客観訴訟を許容する法律)によって、司法政策的に、憲法的な司法権の範囲から拡大されている」といえるのではないかと思います。 裁判所は司法権を行使する機関として、最低限、憲法的な司法権だけが権限とされていれば、憲法的には問題がないでしょう(憲法76条1項)。でも、それは、裁判所に憲法的な司法権以外の権限を与えてはならないことまでは意味しないと思います。 客観訴訟だって、基本的には(たとえば、公金の支出を是とする側と非とする側・選挙の効力を是とする側と非とする側の)二当事者の対立構造を有する争訟事件であることは間違いないのです。そうであれば、司法政策的にものを考えたとき、このような客観訴訟を、「法律上の争訟」の処理に手馴れた裁判所に、併せて処理させるというのも、あながち不合理な制度設計ではないと思います。 いかがでしょうか。

mejina40
質問者

お礼

「裁判所の権限の範疇」・・裁判所がどういう位置にあるのかなど全く考えてみませんでした。言葉について追っていくだけでなく、裁判についてもう少し広い視野で考えていきたいと思います。ありがとうございました。