ロシア語も印欧系の一員ですから、言語的なところはそれほど大きく違ってはいません。
しかしロシア語を含むスラヴ系言語の他とは大きく異なる点は動詞の「体」です。
全ての動詞は「不完了体」か「完了体」のどちらかに属します。また多くの場合不完了体と完了体の動詞がペアをなしています。
<例>「書く:私は手紙を書く」
писать(不完了体)Я пишу письмо.
написать(完了体)Я напишу письмо.
不完了体は「継続中の動作・習慣的な動作」などいつ始まりいつ終わるかを念頭に入れない表現、完了体は一つの完結した動作を表します。
Я пишу письмо.は「今手紙を書いている最中」や副詞を補えば「手紙を書く習慣がある」という意味になります。
Я напишу письмо.は「手紙を書くことが完結」していますから、厳密に現在の時制を現すことはできません(完了はこれから完了するか、すでに完了したかしかありえないから)。このままの形では未来完了になり、過去形で「書いてしまった」となります。
不完了体動詞は「~している」完了体動詞は「~し終える」と覚えることもできますが、日本語的にこれらの語尾をつけるとわけがわからなくなる場合も多く、また意味を限定しすぎることもあり、辞書ではあえて同じ訳語を当てているものもあります。
この体の区別は時制(テンス)を補う働きがあり、一般にスラヴ系は、少なくとも口語では、時制特に過去形の種類が少なくてすんでいます。
一般に不完了体動詞の過去形は「~していた」完了体動詞の過去形は「~した、してしまった」となるため、過去進行形(半過去)・単純過去(アオリスト、完了過去)・現在完了の区別が必要なく、前述のように完了体動詞には未来形が必要ありません(これは見方を変えると現在形がないとも言えます。ただしロシア語の場合)。
以上概略を書きましたが「体」に関することはとても書ききれるものではありません。考えるより感じるものという性格もあり、時間をかけて身につける必要があります。
あと動詞では「過去形が主語の性数で変化する」ということがありますが、これは現代語の過去形が本来「be動詞の現在形+過去分詞」の現在完了だったためで(本来の過去形は廃用)、分詞は形容詞的なものなのでSVCの文型で主語との性数一致をすることは特に珍しいことではありません。現代語で быть の現在形が省略されるので異様に見えるだけです。
他にも細かいところはありますが、どの言語もそれなりに特徴を持っているもので、体ほどスラヴ系を特徴付けるものはないと思います。
お礼
ありがとうございます。 動詞の体が特徴的なのですね!