「先住性」は、文字通り、先に住んでいるかどうかということです。
たとえば、ある土地に飛行場ができ、航空機の飛行による騒音などが問題となったとします。
飛行場ができてからその周辺地域に移り住んできた人には、先住性はありませんが、このような人については、被害者の方から危険性のある場所へ近づいてきた「危険への接近」であるとして、先住者とは別途の考慮が必要ではないかということから、先住性が受忍限度の要素とされます。
「地域性」は、どのような地域であるかということです。
土地にも様々な用途がありますが、たとえば、工場などの建設が認められない、閑静な住宅街である第1種低層住居専用地域と、工場などの建設がはじめから予定されている工業地域とでは、騒音、振動などの受忍限度は異なってきます。
今挙げたのは都市計画法上の用途地域に関するものですが、このような点も含め、地域によって様々な特質があるため、地域性も受忍限度の要素とされます。
「公共性」は、侵害行為に公共性があるか、あるとしてどの程度あるかということです。
受忍限度は、
・加害者側の加害行為の態様、程度といったものと、
・被害者側の権利利益の性質、程度といったものの
相関関係によって判断されます。
つまり、飛行場の航空機騒音のように加害行為に公共性が高ければ、加害行為にも社会的な必要性が認められるため、多少の被害なら「被害者さんちょっと我慢してくれ」という方向に傾きます。逆に公共性が低ければ、深刻な被害ではなくても「加害者は加害行為を止めよ」という方向に傾きます。このようなことから、公共性も受忍限度の要素とされます。
お礼
詳しいご回答ありがとうございます。また、判断要素の中に、「被侵害利益の種類」というものがありますが、これはつまり、侵害行為(例えば飛行機の騒音)によって失った利益と考えてよいのですか?