標本分散(標本の大きさnで割る場合)は母分散よりも少し小さくなる傾向があるのです。これは標本の大きさが大きければたいして問題にはならないのですが,標本の大きさが小さい場合には都合が悪いということです。
だから標本の分散を求めるときは不偏分散(n-1で割る場合)を用いた方が良いのです。例えば,平均が50,標準偏差が10の正規分布から大きさ10,100,1000の標本を抽出してそれぞれの場合において分散を求めてみると次のようになります。
・標本の大きさが10のときの標本分散と不偏分散。
標本分散=116.3079
不偏分散=129.2310
・標本の大きさが100のとき
標本分散=99.55616
不偏分散=100.5618
・標本の大きさが1000のとき
標本分散=96.26725
不偏分散=96.36361
どうです?標本の大きさが十分に大きければどちらもほとんど差はありませんが,標本の大きさが小さいと随分と差がでてくるでしょう?ちなみに,これはRという統計ソフトを使って計算しました。数学的に理解することも大切ですが,コンピュータを使って実際にやってみるのも良いことだと思うのです。