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奈良女児殺害・山口母子殺害における殺人と死刑判決
- 奈良女児殺害と山口母子殺害における殺人の人数や犯行の内容、犯人の人間性や更生の可能性などについて考えます。
- 奈良女児殺害事件では被害者が1人であるため、死刑が確定しましたが、山口母子殺害事件では被害者が2人であり、審議が差し戻されました。
- 小林薫被告の死刑が確定したことが山口母子殺害事件の判決に影響を与える可能性があるのか、法律の専門家の意見を募集します。
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現在、死刑は、「1)犯行の罪質、2)動機、3)態様ことに殺害の手段方法の執拗性・残虐性、4)結果の重大性ことに殺害された被害者の数、5)遺族の被害感情、6)社会的影響、7)犯人の年齢、8)前科、9)犯行後の情状等各般の情状を併せ考察したとき、その罪責が誠に重大であって、罪刑の均衡の見地からも一般予防の見地からも極刑がやむをえないと認められる場合のみ、その選択が許される」(最判昭58年7月8日刑集37巻6号609頁)とされています。 このことからもわかるように、死刑の選択にあたっては、被害者の数だけでなく、犯人の年齢や前科、計画性など様々な事情が考慮されます。 そして、過去の判例を見ると、この中でも、被害者の数や犯人の年齢はかなり重要視されており、犯人が18歳や19歳といった成人より更生の可能性の富む年長少年であった場合、被害者が複数であっても、死刑判決が比較的出にくい傾向にありました。(永山判決以降、当時少年の被告人に死刑が確定したのは1名だけであり、客観的に見て光市母子殺害事件より残酷と思われる名古屋アベック殺人事件の主犯少年なども無期懲役です。) 小林薫の場合は、被害者は1人ではありますが、性犯罪の前科もあり、遺体画像を添付した脅迫メールを被害者の親に送信するなどもしており、被害者が1人であるという点以外には、有利な事情がほとんどありませんでした。 一方、山口の事件の場合は、犯人が当時少年というかなり有利な事情があり、また過去に前科・前歴もありませんでしたが、犯行の残虐性、遺族の極めて峻烈な被害感情、犯行後の態度などがこれを上回り、「死刑を回避するに足りるほどの事情がない」とされ、最高裁で無期懲役が破棄されて差戻しとなりました。 最高裁で無期懲役が破棄されて差し戻された場合、高裁は「破棄の直接の理由となった否定的または消極的判断」に拘束されますから、高裁で再び無期懲役が出る可能性は極めて低いと言えます。 また、小林薫は死刑判決が確定したといっても、本人が控訴を取り下げたため、最高裁や高裁まで行かず、地裁で確定しましたから、他の事件の判決には大した影響は及ぼさないでしょう。確定判決であるといっても地裁レベルの判決はほとんど影響力を持ちません。 ところで、光市母子殺害事件の最高裁判決は、厳罰派と人権擁護派の両方の専門家から、「厳罰化」を象徴する判決と評されています。 ですから、むしろ、小林薫に対する死刑判決が、この厳罰化の流れに影響されたと言ったほうがよいでしょう。
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- youhei59
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>山口母子事件では過去の判例で『2人殺害で死刑』という判決が稀(無いのでしたか?)であることから、死刑判決は難しい、という議論がされていましたね。 以下の資料をご覧になればわかるように、加害者が成人である場合、 被害者2人で死刑判決が出ている例は稀どころか、相当多くあります。(また、被害者1人でも、加害者に無期前科があったり、身代金目的誘拐殺人であったり、被害者をレイプした後生きたまま焼き殺したなどという場合には以前より死刑判決が出ております。) http://www.geocities.jp/waramoon2000/keizoku.html http://www.geocities.jp/waramoon2000/kakutei.html 死刑の適用基準が示された1983年以降、加害者が犯行当時18歳または19歳で、被害者が2人の場合、死刑判決が確定した例が1件もなかったというだけです。
お礼
なるほど、未成年の殺人事件で、ということですね。 よくわかりました。ありがとうございます。
- nep0707
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>色々な意見を伺いたいと思います。 Q&Aは「わからないことを尋ね、わかる人がそれに答える」場です。 意見交換が目的ならほかの場所でお願いします。 以下、「意見を…」は書いてあっても「欲しいのは質問への回答」だと理解しますね。 >死刑判決の量刑が確定する場合、殺人の人数や犯行の内容、 >犯人の人間性や状態(更生の可能性)など色々とありますね。 法律論としてもっとも肝心なのは、 「量刑に関しては具体的な基準は法律で定められておらず、 法律上は裁判官の自由裁量」 ということです。 そうなると、量刑の議論が法律論かというと微妙なところがあります。 刑法の教科書等でも量刑論があまり深く説明されていないのもそういう所以でしょう。 (世間的にもっとも興味を集めるところ&法律実務に際して重要なのは認めますが) >山口母子殺害事件では、被害者が2人である点が議論されていましたが、 あの事件の場合も、それだけじゃないと思いますよ。 私も起訴状や原審判決文を読んでいないので詳しくはわかりませんが、 犯行の態様や犯後の情状なども考慮に入っているものと思われます。 >条件がまったく異なることは承知しております でも何か共通の条件がなければ参考にはならないでしょう。 共通の条件があれば、参考にするかもしれません。 >判例として何らかの影響を与える可能性があるだろうか、と思いました。 法律論的には裁判官次第が正解でしょうけど、 上の段に書いたとおりで、 参考になるところがあれば参考にする、なければしない、 というだけのことだと思います。 そして、そういう情報はマスコミ報道からは「絶対にわからない」が私の経験則であり持論です。
お礼
ありがとうございました。
- pokosuke08
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「判例として何らかの影響を与える可能性があるだろうか」ということですが、「判例として」の意義が明確ではないので難しいですが、法的な影響力や拘束力というものはありません。 ただ、判決を書くのはあくまで人間ですから、1人殺害で死刑という例があること、国民もこれを比較的支持しているように思われること、などは事実上影響を与える可能性はあるでしょう。 もっとも山口母子の事件は、最高裁が差し戻したこと自体に死刑を示唆する意図があるように見えますから、そのような影響を抜きにして死刑の可能性が高いのではないかと思います。
お礼
早速のご回答、ありがとうございます。言葉足らずで失礼しました。 マスコミメディアでの知識しかなく恐縮なのですが、山口母子事件では 過去の判例で『2人殺害で死刑』という判決が稀(無いのでしたか?) であることから、死刑判決は難しい、という議論がされていましたね。 そこで今回、奈良小1女児殺害事件の『死刑確定』を受けて、 これが、差し戻された山口母子事件判決にも死刑を出すことを 支持する素材となりうる可能性があるのかどうか、という質問でした。 判りにくくてスミマセン。
お礼
大変ためになりました。親切にご説明を頂きまして ありがとうございました。また次もよろしくお願いします。 (^-^)