所得税法に基づけば、生計を一にする配偶者その他の親族の分も含めて、実際にその医療費を支払った者でしか控除できません。
ですから、そもそもは有利な方に合算できる訳ではありません。
ただ、生計を一にする家族の分について、実際に誰が支払ったかの判別が困難なため、現実には、一番有利な方法で申告されている場合が多いとは思います。
生計を一にする親族の医療費に関して定めている所得税基本通達を掲げてみます。
(生計を一にする親族に係る医療費)
73-1 法第73条第1項に規定する「自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る医療費」とは、医療費を支出すべき事由が生じた時又は現実に医療費を支払った時の現況において居住者と生計を一にし、かつ、親族である者に係る医療費をいう。
上記により、実際にその医療費を支払った時に、生計を一にしている親族のものであれば控除できるというものです。
逆に言えば、実際に支払った時に、生計を一にしていなければ、その分は控除できない事となります。
ですから、ご質問者様の例で言えば、7月までは、ご両親又はご質問者様のいずれかで、それを実際に支払った者で控除でき、一人暮らしの期間については、ご質問者様自身については、ご自身についての実際に支払った医療費しか控除できず(ご質問者様がご両親の分を実際に支払ってもご質問者様では控除できませんし、ご両親がご質問者様の分を実際に支払ってもご両親では控除できません)、結婚して入籍後については、夫婦それぞれについて、実際に支払った者で控除できる事となります。
ですから、ご質問者様自身があくまでも実際に支払った分について、ご自身で申告する、との前提で言えば、7月まではご自身の分に加えてご両親の分も控除可能、一人暮らしの期間はご自身の分のみ、結婚してからはご自身の分に加えて、配偶者の分も控除可能、という事になります。
お礼
よく、「一番収入の多い家族の分に合算するのがオトクですよ」などと聞くのですが、法律の本来の意味は「実際に支払った者」が控除を受けられるということなのですね。聞いたことがあるような気がしますが、そのことをすっかり忘れておりました。 「現実に医療費を支払った時の現況において居住者と生計を一にし」とありますから、一人暮らしで単独で生計を営んでいた期間については家族と合算する余地はまったくないということですね。 たいへんよく分かりました。 ご丁寧な回答ありがとうございました。