こんにちは。
基本的には細胞内で行われる化学反応でありますから、それは「生命現象」として捉えることになります。ですから、これは「現象」なのですから、そこに発生するものでありまして、何処かからやって来るというものではありませんし、また細胞という入れ物がなければ発生することもありません。同様に、入れ物が機能しなくなれば継続しなくなるわけでありまして、それだけが残っているとか、あるいは別な入れ物に乗り換えるなんてことも、現代の社会ではちょっとあり得ないことだと思います。
細胞というのは周りから必要な物質を集めて作られるものです。これを行っているのは「自己組織化現象」という自然の力でありまして、何もないところに突然「意思や魂」みたいなものが出現して、この生命力によって物質が作られたり引き寄せられたりというわけではありません。まず入れ物が先であり、化学反応というのはその後です。
これが繰り返されるのは、生物がその細胞の中にDNAという情報伝達システムを獲得したからです。ですから、DNAというのは生命現象を発生させるための「構造」を記録した設計図ということになります。これによって同一の生命現象を再現してしまうというのが「クローン技術」ですよね。
このように、生命とは物質によって作り出された構造を基に発生し、その機能が維持されることによって継続する「現象」です。どちらかと言いますならば、それは生まれるものでもやって来るものでもなく、「現象の再現」として一定の期間そこに「宿るもの」ではないでしょうか。
仮に生命というものが地球の外からやって来たものであったとしましても、それもやはり、最初は宇宙の何処かで作られた入れ物に発生した生命現象であるはずです。
実際には生命体ではなく、RNAのような形で飛来したのではないかという話を読んだことがあります。これも白紙の状態でありますならば単なる高分子ですが、もし何らかの情報が記されていたとしますならば、ともすれば何処かで一旦発生した生命現象が記録されたものと考えることもできます。
ですが基本的には、もし古代の地球にRNAのような物質を生み出す条件が揃っていなかったとしましても、それが宇宙から降って来たものであるとするならば説明は付けられる、というのが、確かこの学説の筋書きではなかったかと思います。
この世の全ての現象は、「エントロピーの法則」に従って必ず単純な構造へと移行します。ですから、周りの物質を集めて細胞といった複雑なものを作り出してしまう「自己組織化現象」といいますのは、このエントロピーの大原則に反するものです。
エントロピーの法則といいますのは、放っておけば何でもバラバラにデタラメになってしまうということなのですから、それを食い止めようとするならば、どうしてもエネルギーや物質の消費が必要になります。これを実現するものを「散逸構造」といい、「散逸系」といいますのは物質やエネルギーの出し入れを行い、それを消費する構造を持っています。そして、物の出し入れを行うためには、どうしても「中と外」という区切りが必要になるわけですが、生物の場合は、これが細胞の「膜構造」ということになります。
膜構造を持つ細胞の原型は、古代地球の海に溶け込んだ物質の中から自然発生したものと考えられています。膜の中という環境が作られることによって、物の出し入れができるだけではなく、狭い場所に取り込まれた物質同士は化学反応を起こしやすくなります。この「膜」を持つことによって、細胞は散逸構造を実現し、化学反応を継続させることが可能になりました。これが「生命現象の始まり」ですね。生命といいますのは、散逸構造を以ってエントロピーの原則に真っ向から逆行する究極の自己組織化現象です。
お礼
お礼が遅くなりました。 丁寧に長文を書いていただき面白く読ませて頂きました。 また何度か読みたいと思います。 ありがとうございました。