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アトロピンの抽出でヒヨスチアミンがなぜラセミ化するのか?
天然物化学を勉強していて「アトロピン、スコポラミンは、ベラドンナ、ロート、マンダラ、ヒヨスなどのナス科に属する植物から得られるアルカロイドで、アトロピン(dl-ヒヨスチアミン)は、抽出過程でラセミ体となるが、天然では l-ヒヨスチアミンである」というのを学びました。 なぜ、ヒヨスチアミンは抽出の過程でアトロピンに変わってしまうのでしょうか?? わかる方、ご指導お願いします。
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暫く考えてみたのですが・・・ ケト=エノール互変異性のような機構も考えられませんし、 窒素と橋頭位の炭素との結合が一時的に開裂したとしても、 再結合による立体配置の反転は起きないと思われます。 (もう一方の橋頭位炭素との結合が保持されているので、 開裂で生じたカルボカチオンに対し、反対側から再結合することは できない、と) 従って、そこで説明されているラセミ化は、上記2ヶ所の 立体配置の変化によるのではなく、 実は「>N-CH3」の部分の変化、なのではないでしょうか。 つまり、 H・・C――C /\ \ C \ \ | ;N-Me C・・R C / / \/ / H・・C――C ↓↑ H・・C――C /\ \ C \ \ | Me-N; C・・R C / / \/ / H・・C――C *「;」は孤立電子対 ということです。 (窒素を含めた六員環に注目したとき、Rはエカトリアルのようなので、それに対して メチル基がアキシャルになるかエカトリアルになるか、の違い、と) 孤立電子対とメチル基による立体配置の違いであれば、抽出の際に 「溶液」となることで、「容易にラセミ化する」としてもおかしくはないと思います。 (固体(結晶)状態、及び酵素による合成段階では、例え孤立電子対がらみの 立体配置でも保持され得る、と) 下記URLなどで、ラセミ体であるアトロピンでも、エステル結合・橋頭位ともに 立体配置が明示されていることは、その可能性を示している気がします。 http://www.au-techno.com/tennen/tennen.files/medicament_AGYOU_LABEL.htm#AGYOU_LABEL2 ・・・上記が誤解で、実際には「やはりアトロピンのラセミ体はエステル結合部分 と橋頭位の立体配置(=エステルの酸素が窒素側か反対側か)によるもの」、 ということでしたらすみません。