祖先をさかのぼっていくと、世界中のどんな人でもある一人にたどりつきます。あちらこちらで同時に現生人類が誕生したわけではないからです。したがって、年代によってたどり着く所が違ってきます。
今から約15~20万年前頃、アフリカの誰か一人から人類が始まりました。つまり、ここまでさかのぼると、どんな分け方をしようが人類はみんな同属になってしまいます。ちなみに肌の色は私たちに近い黄褐色であっただろうといわれています。
約12万年前頃の氷河期の氷がかなり溶けたころ、アフリカの人類は大移動をはじめました。この頃から肌の色、眼の色、習慣、ことばなどに違いが出始めました。この違いによって、いわゆる四大人種、すなわちネグロイド、モンゴロイド、コーカソイド、オーストラロイドにわけられます。
その内のモンゴロイドは、アフリカを出て、当時温暖で陸続きだったスンダランド(今の東南アジア辺り)で人口を増やした人たちをさします。この人たちを特に【古モンゴロイド】と呼びます。この人たちは、やがて北方(大陸)と南方(海)のルートから日本にも定住し始めました。これが最初の「日本人」です。この人たちには、眼が大きめ、顔のほりが深い、丸顔、体毛が長く濃いなどの特徴があります。日本語の基本語-たとえばミミ(耳)、テ(手)、ヒ(日)など-に共通点があるといわれています。現在のアイヌや琉球の人たちはこの頃の特徴をよく残しているといわれています。血液型はOやBの人が多いようです。また縄文人に多いともいわれています。イヌイットやアメリカ大陸原住民もこの古モンゴロイドの人が移動したものです。
また、この古モンゴロイドは大陸北方のバイカル湖付近でも大いに人口をふやしました。マンモスやオオツノジカなどの獲物が多かったからです。この人たちもやがていろんなルートで日本に定住してきました。この人たちを【新モンゴロイド】と呼びます。この人たちは、そこが寒冷地であったため、寒さに適応しています。そのため、一重まぶた、ほりの少ないのっぺり顔、細長い顔などに特徴があります。血液型はA型が多いようです。また、弥生人に多いともいわれています。この人たちのことばもやはりSOV(主語-目的語-動詞型)で、混じりながら一緒に日本語を形作っていったようです。
新モンゴロイドは古モンゴロイドより後に日本に来た人が多いようですが、それは侵略というようなものではなく、静かな移住・同化といったようなもののようです。古いことばが他のどこの地域とも似ていないからですね。つまり、新モンゴロイドの人たちがやってきた頃には、日本語がかたまり始めていたと考えていいわけです。いずれにしても環中国(満州、中国南部を含む)地域の人たちと近縁だといえます。
私たち日本人のほとんどは、このモンゴロイドの子孫であることは、どんな説をみても間違いないところです。新モンゴロイドと古モンゴロイドの移住のしかたや年代などはいろんな説があり、まだはっきりとはしていないと思いますが、現在一番主流じゃないかな、と思うものを書いてみました。