木材化学や樹木生理学は専門じゃないので、以下の解答はあまりお役に立てないかもしれません。
リグニンについては、樹幹を横断面で見る時に周辺部の淡色の層にあたる辺材(sap wood)よりも、中心部の着色している層にあたる心材(heart wood)に多く含まれています。リグニンは水に対して難溶性(不溶性?)なので、木材からセルロース(正確にはホロセルロース)を取り出すときには、リグニンを塩素化(確か亜塩素酸塩法を用いる)して、リグニンをバラバラにしてセルロースを取り出します。
リグニンを植物体にあるがままの状態(プロトリグニン:protolignin)で単離するのは不可能と言われています。リグニンの抽出には、セルロース分解酵素リグニン(CEL:cellulotic enzyme lignin)や磨砕リグニン(MWL:milled wood lignin)が用いられているようです。
なおリグニンは一部のヘミセルロースと結合(LCC:lignin carbohydrate complexes→リグニン炭水化物複合体)していて、以上の方法での抽出にも限界があるみたいです。
針葉樹材の仮道管の細胞壁は、I,P,S1,S2,S3の各層で構成されていて、この内のI層とP層(複合細胞間層:compound middle lamella)は二次壁に比べて2.5~3.5倍のリグニンを含んでいます。
リグニンはグアイアシルリグニン・シリンギルリグニン・p-ヒドロキシフェニルリグニンの3種から成り立っていると言われています。グアイアシルリグニンはコニフェリルアルコールの脱水素重合体、シリンギルリグニンはシナピルアルコールの脱水素重合体、p-ヒドロキシフェニルリグニンはp-クマールアルコールの脱水素重合体です。
【以下は、私の勝手な考えです。】
樹皮におけるリグニンの存在の有無は分りませんが、樹皮も心材と同じで死細胞であるから、木化(lignification)してリグニンが多量に存在しているとも考えられます。
補足
主にポリフェノールの観点からです。植物体から何種類かの溶媒(水やアルカリ)で抽出を行い、スペクトルを測定しているところなのですが、スペクトルがそれぞれ異なるのには、どんな物質が関与しているのかを検討しているところです。これで、補足になっていますでしょうか?