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SiO2とH[Al(OH)4]の反応を教えて下さい。
2つもあるのですがどうか教えて下さい。 1.空気中でSiO2とHFが反応するときの式は、 SiO2 + 4HF → SiF4 + 2H2O と教科書に載っています。酸化数が変わっていないので酸化還元反応じゃないはず。とすると酸塩基反応かと思うのです。でも中和だとするとSiO2が塩基性酸化物として反応しているということになってしまいます。だとすると SiO2 + 2H2O → Si4+ + 4OH- 4HF → 4F- + 4H+ となり、たすと最初の式が出てきますがSiO2は両性酸化物ではないはずなのでこの様な反応式の作り方はおかしいですよね。では最初の反応式はどうやって作るのでしょうか?それとも暗記するしかないのでしょうか? 2.バイヤー法はボーキサイトから純粋なAl2O3を得る方法だと聞いています。まずボーキサイトを濃NaOHに入れて加熱することでAl2O3だけを溶かし、その他の不純物を沈殿させるようですが、その反応式はなんとか作れました。そして次に水を加えてAl(OH)3を沈殿させるようです。この時の反応式に関して質問があるのです。 Na[Al(OH)4] → NaOH + Al(OH)3 とあります。いろいろ考えてみましたが、これも酸化数は変わってないので酸化還元反応ではなくて酸塩基反応、中でも追い出し反応なのではないかと思うんです。もし水がH[Al(OH)4]よりも強い酸として働くなら Na[Al(OH)4] + H2O ↓ NaOH + H[Al(OH)4]) ↓ NaOH + Al(OH)3 + H2O となる気がするのですがどうですか?アセチレンやアルコールが水よりも弱い酸としての性質を持つということなのでこれもそうなのかな~と思うんです。長々とすみません。よろしくお願いします。
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こういう質問,大好きです.非常に奥深い考察で,すばらしいと思います.化学に対して非常に造詣が深い方だと判断したので,多少専門的な内容にしてみました.かなり長いのですが,覚悟してください!? ここがよくわからないなどがありましたら,折り返し補足をお願いします. ---------------------------------------- ◆SiO2とHFの反応について これはシリカガラスSiO2とフッ化水素HFの反応です.「フッ化水素はガラス容器で保存できない」ことを示した反応式です. >酸化数が変わっていないので酸化還元反応じゃないはず。とすると酸塩基反応かと思うのです。 >でも中和だとするとSiO2が塩基性酸化物として反応しているということになってしまいます。 たしかに酸化還元反応ではありません.それと同時に,私はこの反応はきわめて特殊な酸塩基反応であると推測します(あくまで推測です).どういうことかを以下で説明します. 酸性酸化物,塩基性酸化物を判定するには,ある金属酸化物MOについての以下のような条件によって決まります. (1)水に溶かす → 酸性になれば酸性酸化物,塩基性になれば塩基性酸化物 (2)酸と反応させる → 塩が生じれば,MOは塩基性酸化物 (3)塩基と反応させる → 塩が生じれば,MOは酸性酸化物 ここで,gedo-syosaさんの指摘した矛盾点をまとめると, 『(1)や(2)を考えるとSiO2は塩基性酸化物であるが,(3)を考えると酸性酸化物と考えられ,矛盾するのでは?』 ということでよろしいでしょうか.そうと仮定して,gedo-syosaさんの矛盾を正していきます. ●(1)の反応について これをイメージするのは困難であるので,SiO2と同族のCO2について考えてみましょう. CO2を水に溶かすと, CO2 + H2O → H2CO3 となり酸ができますが,決して CO2 + H2O → C4+ + 4OH- とはなりませんよね. 同様に考えると, SiO2 + H2O → Si4+ + 4OH- という反応は起こりえません.これは電気陰性度や熱力学などの要因を総括すれば得られる結果ですが,それについては話を煩雑にするだけなので省略します.しかし,かといってSiO2の場合は SiO2 + H2O → H2SiO3 という反応は起こらないことが知られています.だって,よくよく考えれば,ガラスSiO2は水と反応しませんよね(したら大変です!). だから,結論としては 『SiO2は水と反応しないので,(1)による判定は不可能である』 ということです! ●(2)について SiO2 + 4HF → SiF4 + 2H2O という反応を考える限り,酸と反応して塩を生じているので,(2)の判定から塩基性酸化物であると予想されます.しかし,この反応はすべての酸には当てはまらないのです. 簡単に言うと,同族のHClとSiO2は反応しないことは知られていますよね.これはなぜ反応しないかというと,「SiO2はきわめて安定で,HClのような酸に対しては反応しない」からです. じゃあ,なぜHFだけが反応するのか?それは,HFのもつ特殊な性質があるためと私は推測します. F,O,Siの電気陰性度は,それぞれ4.0,3.5,1.8でして,電気陰性度の差が大きいほど結合力が強いことはご存知だと思います.つまり,Si-Oという結合よりも,Si-Fという結合のほうが優先されるという背景があるため,結合の組み換えが起こるわけです. 一方,Clの電気陰性度は3.0ですから,Si-Clという組みかえは起こらないはずです.O(3.5)よりも高い電気陰性度を持ったものはFだけなので,理論的にはF以外のものとは反応しないと考えられます. 以上の理論から,「SiO2はHF以外の酸とは反応しない」ので,SiO2とHFは「特殊な酸塩基反応」であると考えられます. だから,HF以外の酸とは反応しないのに,SiO2を塩基性酸化物と襲名するのはちょっと苦しいのかもしれません. ●(3)について SiO2は基本的に塩基とは反応しやすいという性質があります. SiO2 + 2NaOH → Na2SiO3 + H2O (この反応機構はきわめて難解なので省略します) ただし,SiO2はたいていの濃塩基に対しては反応しやすい傾向があることが知られているので,NaOHでもKOHでも反応します.したがって,アルカリ全般と反応するためSiO2は酸性酸化物と考えられます. ●総括 以上のことを総括すれば,SiO2が酸性酸化物であることがわかります. しかし,一般にはSiO2の反応は特殊ですから,覚えるほうがはやいです.私も高校時代は暗記してましたから. ---------------------------------------------- ◆Na[Al(OH)4]の反応について Na[Al(OH)4] ←→ NaOH + Al(OH)3 で反応式は合っています.ここでgedo-syosaさんが問題にされているのは, ・水がH[Al(OH)4]よりも強い酸として働くのか? ・どういう反応機構なのか? の2点でしょうか?そう解釈して,まずは反応機構について考えます.その前に,gedo-syosaさんのおっしゃる「酸の強さ」の定義について確認しておきますが,これは,H2O ←→ H+ + OH-の電離定数(Kw)を基準に,それよりも電離定数が大きいものを「水よりも強い酸」,小さいものを「弱い酸」ということでよろしいのでしょうか? まず,反応機構についてですが,その前にこの反応式をよくみてみましょう. ※Na[Al(OH)4] ←→ NaOH + Al(OH)3 この反応は,「Al(OH)3にNaOHをさらに加えるとAl(OH)3が溶解する」という経験で知られているように,上の平衡は左に進みやすいのです(熱力学的に証明できるらしいのですが省略します).この平衡を右に移動させるためには,溶液系の水酸化物イオン濃度[OH-]を下げればよいわけです.実際にバイヤー法もこれを利用しています. じゃあ,gedo-syosaさんが提唱された反応機構はどうなのか? (1) Na[Al(OH)4] + H2O ↓ (2) NaOH + H[Al(OH)4]) ↓ (3) NaOH + Al(OH)3 + H2O ここで,もしも水がH[Al(OH)4]よりも強い酸であるなら,(1)→(2)の反応は一方的に起こりますよね(H2OのほうがH+を与える能力が大きいから).しかし,それは上で述べた経験とは矛盾します.つまり,(2)→(1)という反応は起こりにくいため,※の反応は右に進みやすいという傾向になってしまいます. いじょうのことより,もしも酸の強弱を問われるのであれば,私は“H[Al(OH)4]のほうがH2Oよりも強い酸ではないか”と答えるでしょう. なお,一般には以下のような反応機構が知られています. [Al(OH)4]-は正式には[Al(OH)4(H2O)2]-という,六配位錯体のうち4つがOH-に変換されたものです. もしも系内の[OH-]が低下すれば,AlはOH-を1つ放出してAl(OH)3となりたがるのではないかと考えます. (見方をかえれば,[Al(OH)4(H2O)2]-が,水溶液中のH2Oが解離したH+を奪って[Al(OH)3(H2O)3]-になる) [Al(OH)4(H2O)2]- + H2O ←→ [Al(OH)3(H2O)3]- + OH- このことより,※の反応がOH-濃度を調整することで操作できることがわかります. ------------------------------------------------------ このように,酸塩基反応というカテゴリーだけで平衡反応を推測すると,ときにはヘンテコなことが起こり,その反応の本質を見失いかねません(ガラスの反応や,両性金属の反応などはその典型です).だから,広い視野で反応を考えてみてはいかがでしょうか. とはいいながらも,酸と塩基の概念は大学に進学するとさまざまな形で顔を出します. 特に,有機化学(!!)では,ブレンステッドの定義,ルイスの定義に基づいたHSAB則というものがあり,これで有機反応を予測するというテクニックがあります. しかし,酸と塩基の定義はきわめて難しいので,しっかりとして基礎知識を身につける必要があります. 例えば,酢酸は水よりも電離定数が大きいのに,なぜか「弱酸」と言われていますよね. これは,「ブレンステッドの定義」に従うと,『酢酸は“H3O+”よりも弱い酸』だから,弱酸とされているのです. (→これについては,以下のURLに詳しく書いたので,理解を深めたいのであればそちらを参照ください) だから,これを機に「ブレンステッドの定義」と「ルイスの定義」について,正しい理解を深めておくと,今後飛躍できるでしょう. がんばってください!o(^O^)○
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- rei00
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rei00 です。 受験ご苦労さまです。数日後が楽しみ(?)ですね。 > >2NaHCO3 → Na2CO3 + H2O + CO2 > そういえば確かに酸塩基反応ですね~。 > よく高校の参考書では、この反応は『熱分解』と言う風に > 酸塩基反応とは別の分類になっているんですが、 > Na2CO3 → Na2O + CO2 > これは酸塩基反応じゃないですよね? > 参考書には、上の反応と同様の反応、と書いていますけど。 ほぼ合っていますが,チョット補足致します。 (1) NaHCO3 + NaHCO3 → Na2CO3 + H2CO3 (2) H2CO3 → H2O + CO2↑ (3) Na2CO3 → Na2O + CO2↑ この3つの反応の中で,(1)は「酸塩基反応」で,(3)は「熱分解」です。これについては問題無いと思います。 問題なのは(2)ですが,これは(3)と同じ様に考えて「熱分解」と言う事もできます。違うのは,(3)では高温が必要なのに対して,(2)は熱をかけなくても(室温で)反応が進む点です。 > じゃあ実際にはSiO2はH2Oとはほぼ反応してなくて、 > いきなりOH-と反応してるってことですよね?? > 違いますかね? 実際にどうかは,私には解りません(無機化学は専門外ですので)。ただ,考える上では,そう考えるのが自然です。 > すみません。。m(_ _)m > なんとか理解しようと、考えてはいるのですがなかなか > 理解できなくて・・。 別に謝る必要は・・・。私の力不足なだけです。学生への説明の練習をかねて OK Web で回答していますので,不明点はハッキリ言っていただいた方が助かります(最近,解らなくても,そのままの学生が多くて・・・)。 > え?それだけで有機の反応が予測できるんですか? > スゴイですね~。(^^; 僕もいつかできるように > なりたいです。 別にスゴクはないですが(順序良く考えていけば,誰にでも解ることなんですが・・・)。ただし,+,-を考えるにはそれなりの知識が必要です。もっとも,必要な知識の半分ぐらいについて,gedo-syosa さんは過去に質問されていますが。 ついでに, une_pyon さんは,R-OH の R 基が電子を押し出す場合を書かれていますが,時には電子を引っ張る場合もあります。電子を引っ張れば,O の-性が小さくなるため,H との結合が弱くなって,H+ が外れやすく(つまり酸性が強く)なります。この代表が CO 基で,R'-CO-OH は容易に H+ を出す酸になります(これだけが理由ではないですが)。
お礼
>受験ご苦労さまです。数日後が楽しみ(?)ですね。 どうもです。合格発表は確か3月8日。。(あぁ~) そろそろ後期のための勉強も再開していたりします。 早く合格通知が欲しいです。 なるほど。H2CO3→H2O+CO2の反応は熱分解と見れば良かったんですか~。この反応がどういう分類に入るのか、というのもちょっと気になっていたんです。 >別にスゴクはないですが(順序良く考えていけば,誰にでも解ることなんですが・・・)。 誰にでも、ですか~。僕も早くできるようになりたいです。そのためにも早く大学受験に合格しなくては! >必要な知識の半分ぐらいについて,gedo-syosa さんは過去に質問されていますが。 半分も!?でも有機反応の予測は全然できない・・。 やっぱり早く大学に_。(爆 >R'-CO-OH は容易に H+ を出す酸になります(これだけが理由ではないですが)。 これはカルボン酸ですよね。 いろいろと教えていただいてありがとうございます。
- ume_pyon
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>ケイ素原子の3p軌道や、炭素原子の3s軌道や3p軌道にハロゲンの非共有電子対が入ることはできないのですか?? ◆Cの3s,3p軌道に非共有電子対が入らない理由 直接的な文献が見当たらなかったので,私の推測をば. まず,電子軌道は1s≪2s<2p≪3s<3p<4s<3d<4p・・・のように,2pと3sは結構離れています.だから,最外殻である2pよりも比較的高エネルギーである3sや3pなどと相互作用しても,それほど安定化エネルギーは得られず,それどころか単に非共有電子対同士の電気反発のほうが起こりやすいのではないか(Cは原子半径が小さいので,F同士が接近しやすい)というのが推測です. ◆Siの3p軌道に非共有電子対が入らない理由 Siは3sと3p軌道が,sp3混成軌道を作っているから. ちなみに,3s以上の軌道は,エネルギー的にそれほど大きな差がないので,混成軌道をつくりやすい傾向があるようです(私が今まで勉強した範囲では).dsp2やd3sp3混成軌道など. 基本的に,軌道同士の相互作用は,各軌道の重なり積分Sについて,S=∫φAφBdτ = 0かどうかという計算に基づいて判断されます(S=0なら禁制,S=0以外であれば許容).しかし,軌道が複雑になるにつれてこの計算も複雑になり,パソコンがないと予想ですら困難になります.興味がありましたら勉強してみてください. >>CH3というのが電子を押し出す力が強いので(電子供与性なので),O(δ+)-H(δ-)というOの極性を薄めてしまいます. すいません.寝ぼけてました.この発言,撤回させてください. O-Hの場合,当然Oはマイナスに帯電します.つまりR-O(δ-)-H(δ+)ですね. R-OH ←→ R-O- + H+の酸性を比較するには,中間体(この場合はアルコキシドイオン:R-O-のことです)の安定性を比較して,これが安定であるほど,この平衡は右に進みやすく,酸性が強いと言えます. ところが,Rの電子供与性が強いものであれば,R-O(-)において,Oのマイナス性が高められます(Rの電子がOに押し出されるので).すると,R-O(-)は全体として電子が局在化している(=極性が強い)ので,R-O(-)は不安定になります.この結果,電子が局在化して不安定なR-O(-)を生成するよりも,R-OHのように,H+を結合させたままでいたほうがずっと安定化するので,平衡は左へ移動します. また,もしもRが電子供与性の弱いものなら,Oのマイナス性はそれほど大きくなりません(電子の押し出し効果が弱いから).したがって,この中間体は電子がそれほど局在化していないので,中間体として比較的安定に存在でき,あえてH+をくっつけたままでなくても安定でいられます. (もちろん,H2OやCH3OHにしても,中間体(HO-やCH3O-)よりも,H+をくっつけたままのほうが全然安定であることには変わりませんが,相対的に考えると,HO-のほうが,CH3O-よりも安定であるということです). もしこれについて質問があるようでしたら,改めて別項目で質問しなおすといいですよ(私よりも詳しい人がたくさんいると思いますので). ちなみに,R-C=C-O-R'という有機化合物中ではO(δ+)になりますし,有機反応の中にはH-(マイナスに帯電した水素:ヒドリドといいます)というものもありますよ.
お礼
お礼が遅くなってしまいまして、どうもすみません。 国立大の受験に行っていたんです~。 無謀にも国立専願なので不合格だと浪人・・恐ろしいです(^^; >◆Cの3s,3p軌道に非共有電子対が入らない理由 >電子軌道は1s≪2s<2p≪3s<3p<4s<3d<4p・・・のように,2pと3sは結構離れています. これは、エネルギーが低い順番なんですよね。 とてもよくわかりました。どうもありがとうございます。 >◆Siの3p軌道に非共有電子対が入らない理由 >Siは3sと3p軌道が,sp3混成軌道を作っているから. あっ、そういえばそうですね。 つまんないことを言ってすみませんでした~。m(_ _)m 軌道とかVB理論とか、あまり詳しくやってないんで また大学に合格できたら学びたいと思います。 それ以下の回答も非常にわかりやすかったです。 これに関しては特に質問は(たぶん(爆)ないと思います。 どうもありがとうございました。
- rei00
- ベストアンサー率50% (1133/2260)
rei00 です。 どういうわけか gedo-syosa さんからのお礼のメ-ルが配信されておらず,お返事(?)が遅れてしまいました。今やっと gedo-syosa さんのお礼と une-pyon さんの追加回答の内容を読み終えました。遅くなりましたが,私の意見を補足させていただきます。 > 2NaHCO3 → Na2CO3 + H2O + CO2 > > みたいなのは、酸塩基反応でも酸化還元反応でもない > ですよね? いや,これは酸塩基反応だと思います。お書きの反応を書き直すと, NaHCO3 + NaHCO3 → Na2CO3 + H2CO3 → Na2CO3 + H2O + CO2 どうですか,こう書けばお分かりになるかと思いますが,一方の NaHCO3 が酸であり,他方が塩基になっています。そして,酸塩基反応の結果できた炭酸が水と二酸化炭素に分解しているわけです。 > どうしてH-OHとC-O結合ではH-OH結合が > 切れてしまうのですか? 『H-OHとC-O結合』? 何処のことをおっしゃっているのでしょうか?私の回答の『結果として,H-OH の結合が切れ,C=O 二重結合が一重結合に変わり,C-OH 結合と C-O-H 結合が新たにできます。』部分についてでしょうか? これは,その前に書いた様に,H-OH の H はδ+(O はδ-)の状態であり,O=C=O の O はδ-(C はδ+)の状態だからです。つまり,+と-は引き付けあって結合ができるわけです。 もし仮にそのまま結合を作るなら,H2O-C(=O)2 となり,H2O の O は3価,CO2 の C は5価になってしまいます。つまり,O の3つある結合の内どれか一つ,C の5つある結合の内どれか一つを切らないといけません。そこで,H-O の結合と Si=O の二重結合の一つが切れるわけです(そうでないと,反応が起りませんから)。 > SiO2 + H2O ←→ 2H+ + SiO3 2- > > の式からNaOHとの反応式を作るのはやっぱり > おかしいんですかね? > それとも、もし水よりも電離定数が大きかったら > OKなんですか?? une_pyon さんの説明がありますが,私の個人的な意見としては,濃 NaOH の存在下で H+ が生じるような反応は考えて欲しくないです(いや,平気でそんな反応を書く学生や大学院生もいるんですが・・・)。もちろん,反応式を考えるだけなら,それでも良いんですが,そうしていると正確な反応の様子(反応機構)が考えられなくなってしまいます。先の回答にも書いた通り,この反応は SiO2 のδ+の Si が H2O のδ-の O と反応するものです。しかし,NaOH 存在下では,H2O の O よりも反応性の高い-電荷を持った O が OH- として存在します。ですので,こちらとの反応を考えるべきなのです。 > では,なぜNaOHとSiO2が反応するのか? > 「Si-O結合は,高温のもとではSiがOH-から攻撃を受けて, > その結果Si-O結合がはずれ,Si-O-Hと組み変わる. これ,私が先の回答で言いたかった事です。というか,それを説明したつもりなんですが,上手く伝わっていなかったようですね(反省)。 簡単に言うと,カルボニル基への求核剤による求核置換と同じです。今の場合は,脱離基が Si=O の2重結合の1つだというだけです(gedo-syosa さん,すみません。話が大学レベルになっています。一応,参考 URL は挙げておきますが,受験前ですから分からなければ無視して下さい。)。あ,une_pyon さんも ANo.#4 で書いてられますね。 > とまあ,有機化合物はどんな置換基がつくかだけで, > まったく性質が異なることなどショッチュウなので, > 臨機応変な解釈,幅広い知識が必要になることを > 覚えておくといいですよ! その通りですね。ただし,ある程度は共通の考え方が通用します。それは,問題としている場所の電子密度とその近辺の立体的な状態です。この問題の場合もそうですが,有機化学反応(有機に限る必要もないと思いますが)は+と-の反応です。つまり,何処が+で何処が-かを考えれば大抵は片付きます。 やっぱり長くなってしまいましたね。gedo-syosa さん,受験ガンバって下さい。是非,合格後は回答者に回って下さい。でないと,疲れます・・・(楽しいし,勉強にはなるんですが・・・。だから回答し続けてはいますが)。
お礼
お礼が遅くなって申し訳ありません。回答して下さっている文章は読んでいたのですが、入試直前だったためお礼を書く時間がなかなかなくて・・・。 >2NaHCO3 → Na2CO3 + H2O + CO2 そういえば確かに酸塩基反応ですね~。よく高校の参考書では、この反応は『熱分解』と言う風に酸塩基反応とは別の分類になっているんですが、 Na2CO3 → Na2O + CO2 これは酸塩基反応じゃないですよね?参考書には、上の反応と同様の反応、と書いていますけど。 >『H-OHとC-O結合』? 何処のことをおっしゃっているのでしょうか? やっぱりおかしな事を言ってしまってましたか・・・。なんか難しくてあまり理解できてなかったんです。。すみません・・。でも今回の回答で、(ちょっと)理解できたような気がします。どうもありがとうございます。 >私の個人的な意見としては,・・・こちらとの反応を考えるべきなのです。 難しいですけど、確かにOH-はH2Oよりも反応しやすそうですね~。じゃあ実際にはSiO2はH2Oとはほぼ反応してなくて、いきなりOH-と反応してるってことですよね??違いますかね? >これ,私が先の回答で言いたかった事です。というか,それを説明したつもりなんですが,上手く伝わっていなかったようですね。 すみません。。m(_ _)m なんとか理解しようと、考えてはいるのですがなかなか理解できなくて・・。 >簡単に言うと,カルボニル基への求核剤による求核置換と同じです。 簡単・・・ですか?(爆) 難しいですね~。大学に合格できたら、また勉強したいと思います。 >何処が+で何処が-かを考えれば大抵は片付きます。 え?それだけで有機の反応が予測できるんですか? スゴイですね~。(^^; 僕もいつかできるようになりたいです。 >是非,合格後は回答者に回って下さい。 合格・・ですか。来年になったりして(爆) 前期試験を受験してきたんですが、英語&物理が出来なかったんです。。 数学もあまりできなかったし・・・。(T_T) 化学はできたと思うんですけど。。
- ume_pyon
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3たび登場でスミマセン・・・.多分最後です!? ホントに視点が鋭いですね^^;私がいかにあいまいに理解していたかを暗示して下さって,ありがとうございます!? >例えばSi-OとSi-Fの結合は電気陰性度の差からSi-F結合の方が強くて切れないのに、どうしてH-OHとC-O結合ではH-OH結合が切れてしまうのですか? そうですね~,これは誤解を招く表現でした.訂正しますので,ひとまず忘れてください(爆).私も安易に「電気陰性度の差」だけで結合状態を結論付けてしまいましたが,それだけでは結合力をはかることはできません.そこで,目安になる結合エネルギーを比較します. Si-H:76kcal C-H:98kcal Si-Cl:95kcal C-Cl:77kcal Si-O:106kcal C-O:84kcal Si-F:125kcal これを見れば,なぜSi-Fが一番安定か,わかります. しかし,同族のCにおいては,C-ClやC-Oよりも,C-Hのほうが強いですよね. このように,なぜCでは「非共有電子対を持つ元素(=ハロゲンや酸素)」とは結合力が弱いのに,Siでは逆に強くなるのか?そしてなぜSi-Fが一番結合力が強いのか?それを分子軌道法(量子化学の一部)を用いて説明すると, 『非共有電子対を持つ元素との結合体,例えばCF4などは,F同士の非共有電子対同士が電気反発しあってしまい,CH4などに比べて結合力が弱まる.一方,Siには空の3d軌道があり,そこにハロゲンの非共有電子対が入り込むため,結合力が強くなる(※).また,OとFは非共有電子対の数が違うから結合力も異なる.一方,Clの場合は,Fよりも共有結合半径が広がりすぎてしまい,3d軌道との相互作用はあれど,2原子間の距離が離れすぎてしまい,結合力がOよりも弱くなるものと思われる.』 (※)Cの最外殻は2pであり,3d軌道とはエネルギー差が大きいため,ハロゲンの非共有電子対が入り込めないが,Siの最外殻は3pであり,3d軌道とエネルギー差が小さいから,非共有電子対が入り込むのです. という背景があるのです.これを読んで「なるほど!」とわかっていただければいいんですが,もし「意味不明??」と感じられましたら,単純に『SiのほうがCよりも電子が多いから,それだけ複雑な相互作用がたくさん生まれそうだなぁ~』と考えるにとどめて置くといいでしょう.要は,複雑なんです・・・(だって,量子化学だもん><). 一方,C-OとO-Hの結合エネルギーの比較ですが,一般的に,有機化合物においては,単純に結合エネルギーの大小で,結合の切れ易さを予測することはできません. 例えば,水とメタノールでは,水のほうが電離定数が高いですよね.これを, R-O-H ←→ R-O- + H+ と考えてみましょう.そうすると,R=H(つまり水)と,R=CH3(つまりメタノール)の場合で,O-Hの切れ易さが変わってくることになりますよね.これは,CH3というのが電子を押し出す力が強いので(電子供与性なので),O(δ+)-H(δ-)というOの極性を薄めてしまいます(なぜなら,CH3から電子が押し込まれて,Oのプラス性を弱めてしまうから). つまり,同じO-Hをもつものでも,置換基によっては結合の強さも変化することが多いからです. 同様に,O=C=OはH2Oとわずかながら相互作用して, O=C=O + H-OH → O=C(+)-O(-) + H(δ+)-O(δ-)H → O=C-O-H | OH となりますが,同じC=Oをもつケトン(R-CO-R')の場合は,水のような弱い酸とは相互作用しないことが知られています(触媒としてH+を加えると,容易にC=O → C(+)-OHとなりますが). とまあ,有機化合物はどんな置換基がつくかだけで,まったく性質が異なることなどショッチュウなので,臨機応変な解釈,幅広い知識が必要になることを覚えておくといいですよ!(ですよね,rei00さん!?) ------------------------------------------------------- >では、 ※ SiO2 + H2O ←→ 2H+ + SiO3 2- >の式からNaOHとの反応式を作るのはやっぱりおかしいんですかね? >それとも、もし水よりも電離定数が大きかったらOKなんですか?? No.3でも述べましたように,「予想」としては全然OKですし,私もそういう「予想」を立てます.しかし,それが「本当なの?」と言われたら,必ずしも※が反応機構に関与しているとは言い切れないかもしれません.つまり,※の予想結果と教科書の反応式が一致したのは,ただの「偶然」である可能性もあるのです.そこで,反例として「水よりも電離定数が小さければ」という仮定,推測をしただけで,水よりも電離定数が大きければ,※が反応機構に寄与しているとも考えられるでしょう. しかし,※の酸が「酸塩基反応」を起こすほど強いのか,それともNo.3で説明した「脱離反応」のほうが起こりやすいのかということについては,他の分野,要素を考えない限り,これ以上の議論ができないのです. 例えば,カルボン酸とアルコールのエステル反応などは,酸塩基反応で考えると間違える典型です(エステルについては以前にも質問があったので,検索してみるといいでしょう). CH3COOH ←→ CH3COO- + H+ このH+がC2H5OHを攻撃して水を脱離すると考えると,CH3COO-C2H5が得られますが,同位体実験から,エステルの組成はCH3CO-OC2H5ということが知られています.つまり,脱離された水は,「カルボン酸のOHとアルコールのHが結合して脱離したもの」であって,「エステルのCOOは,カルボン酸のC=Oと,アルコールの-O-が結合したもの」なのです. CH3C-OH + H-O-C2H5 ←→ CH3C-OC2H5 + H2O || || O O だけど,「じゃあ,なんで酸塩基反応は起こらないの?」ということを説明するのは難しく,高校生に対しては「別の反応機構が起こっていて,そっちのほうが優先されやすいから」と答えることが多いようです.というか,高校生では理解が難しいので,そうとしか答えられません. M効果,反応速度,脱離速度,立体障害,中間体の安定性etc.などの,多くの要素を考えると,エステル反応が酸塩基反応よりも優先されることが説明できますが,エステルの合成反応機構については非常に難しいので,省略させてください(←あっ,大学では習いますよ!). こんな感じで「納得」していただけましたか? なお,もしも質問が膨らむようでしたら,いったんこの質問を締めてから,改めて「化学」のカテゴリーから質問しなおすと,私やrei00さん以外の方からも解説をいただけると思いますよ(まあ,有機に関してはrei00さんがいらっしゃれば鬼に金棒ですが(笑)).
お礼
>(※)Cの最外殻は2pであり,3d軌道とはエネルギー差が大きいため,ハロゲンの非共有電子対が入り込めないが,Siの最外殻は3pであり,3d軌道とエネルギー差が小さいから,非共有電子対が入り込むのです. う~ん難しい・・。ケイ素原子の3p軌道や、炭素原子の3s軌道や3p軌道にハロゲンの非共有電子対が入ることはできないのですか?? >CH3というのが電子を押し出す力が強いので(電子供与性なので),O(δ+)-H(δ-)というOの極性を薄めてしまいます. 酸素原子がプラスに帯電しているんですか! そんなのはフッ素との化合物中ぐらいだと思っていました。。 やはりいろいろと学んでからでないと、反応の予測はできないんですね~。大学に入ることができたら、こういうことももっとよく勉強したいと思います。 >いったんこの質問を締めてから,改めて「化学」のカテゴリーから質問しなおす いや~、なんて質問し直したらいいのか思いつかなくて・・。(爆)
- ume_pyon
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ふたたびです.また長くなってしまいました>< いや~,ほんとにrei00さんのおっしゃるとおり,勉強になる質問です. >確かにガラスは水に溶けなさそうです。 >でも、例えばSiO2と濃NaOHの反応式を作るとき、 > SiO2 + H2O ←→ 2H+ + SiO3 2- ・・・※ > 2NaOH → 2OH- + 2Na+ > ∴ SiO2 + 2NaOH → H2O +Na2SiO3 >という感じにいつも作っているのですが、実はダメなんですか? >※の式の平衡はとんでもなく左に、みたいな感じで。(?) するどいご指摘,ありがとうございます. あの後調べてみたのですが, > SiO2 + H2O → H2SiO3 >という反応は起こらないことが知られています.だって,よくよく考えれば,ガラスSiO2は水と反応しませんよね(したら大変です!). という記述は説明不足で,gedo-syosaさんのおっしゃるとおり,平衡反応とみなすこともできます.実際,高温,高圧(例えば地底奥深く)では,※の平衡が右に進むことがあると考えられているようです.しかし,この「高温,高圧」というのは,想像を絶する世界のようで,地表ではとんでもなく左,でしょう.ですから,地表ではH2SiO3は即座にSiO2とH2Oに分解してしまうはずです. というわけで,少なからずとも平衡反応が起きていると考えられるのなら,NaOHを加えることで※の平衡が右に移動するのではないかという予想でも十分です.むしろ,それを否定するほうが難しい理論なので. しかし,これは屁理屈ではないのですが,「もしも※の平衡定数が,H2Oの電離定数よりも小さければ,※の平衡は起こりえない」ということも考えられます.(しかし,※の平衡定数を調べることができなかったので,この仮定には特に根拠はありません.) これをわかりやすくするために,強酸のHClと弱酸のCH3COOHが混ざった水溶液を考えてみます. (1) HCl → H+ + Cl- (2) CH3COOH ←→ CH3COO- + H+ すると,(1)から発生したH+の影響で,(2)の平衡は格段に左に進み,見かけ上ほぼ100%CH3COOHの形で存在しています.もしもここにNaOHを加えたら,(1)のH+と中和反応が起こり,NaClが生成します(溶液中では解離していますが).よって,酢酸はCH3COOHの形で存在し,HClよりも大過剰のNaOHを加えなければ,CH3COONaは生成しないことになります. このことをふまえて,ガラスの場合に戻ります. (3) H2O ←→ H+ + OH- (4) SiO2 + 2H2O ←→ 2H+ + SiO32- もしも,水の平衡定数のほうが,(4)の平衡定数よりも大きいと仮定すれば,相対的に水のほうが強い酸として振舞うはずです.つまり,水溶液中のH+は(3)の平衡によるものであり,(4)の平衡はさらに左に偏ります.つまり,(4)の平衡は,正しくは (5) SiO2 + H2O ←→ SiO2 + H+ + OH- と考えられるかもしれません.(5)の平衡にNaOHを加えても,「酸塩基反応」としては何も起こらないはずです.少なくとも,水が完全になくなるまでNaOHを加えないと,(4)の平衡になりません. では,なぜNaOHとSiO2が反応するのか?それは,酸塩基反応ではないためと考えられます.私が調べた文献を要約しますと, 「Si-O結合は,高温のもとではSiがOH-から攻撃を受けて,その結果Si-O結合がはずれ,Si-O-Hと組み変わる.しかし,O-H結合は弱いので,外部に多量に存在するOH-がO-H結合を引き抜いてOをアニオン化して,そこに外部のNa+が接近してきてSi-O-Naとなる」 というようなことが書いてありました.なぜそうなるのかについては,それこそ私の知識の及ばない世界なので,この辺で勘弁してください!(大汗) --------------------------------------------------------------------- 一般に,平衡論には限界というものがあり,「机上の空論」的なデメリットもあります. 例えば,黒鉛とダイヤモンドは同じ炭素ですよね.ですから, C(黒鉛) ←→ C(ダイヤモンド) という相平衡が考えられます.しかも,黒鉛をダイヤモンドにするためには,超高温,超高圧でないといけないことは知っていますよね.これを逆から考えると,「常温,常圧では,上の平衡は左に偏って,ダイヤモンドはすべて黒鉛になってしまう」と考えられます.これが「平衡論」的な発想の典型です. しかし,もしそれが事実だったら,宝石はすべてただの炭になってしまうし,「ダイヤモンドは永遠の輝き」なんてうそっぱちですよね(公共広告機構に訴えられてしまいます^^). では,なぜダイヤはダイヤでいられるのか?それは,この平衡の「速度」がものすごい遅いからです.しかし,それはこの反応式だけでは判断できず,反応速度論という新しい知識が必要になってきます. したがって,物理化学の世界では, 反応平衡論:起こりうる反応の「予想」 反応速度論:「予想」があたるかどうかの判定 という概念を用いることが多いのが事実です.詳しくは,大学で化学系を専攻すれば学ぶことができます.(反応速度論はムズカシイです><) とはいうものの,高校生の時点で,こんなことまで考えて反応を予測する必要はまったくありません.むしろ,とてもしっかりとした根拠に基づいたdego-syosaさんの推測には,私も脱帽です!!!自分が高校生のとき,ここまで考えたことはありませんでした・・・.そのような発想豊かな頭脳を持ち,そして広い視野を持ち続ければ,大学でも非常によい論文が書けると思います.がんばってください! P.S.水平化効果までご覧になったんですね.おっしゃるとおりですし,まあ詳しくは後でのお楽しみということで^^ しかし,HSAB則を聞いたことがあるとはビックリです.
お礼
では、 SiO2 + H2O ←→ 2H+ + SiO3 2- の式からNaOHとの反応式を作るのはやっぱりおかしいんですかね? それとも、もし水よりも電離定数が大きかったらOKなんですか?? ・・・それとアニオンって確か陰イオンのことですよね?(爆) 反応速度は、なにやら関数式が多くてすでに難しいです。。最近、なんとかうまくまとめができたのでちょっと楽になりましたが・・・。大学で学ぶ反応速度論ってどんなに難しいのかな~。(^^; >とてもしっかりとした根拠に基づいたdego-syosaさんの推測には,私も脱帽です!!!自分が高校生のとき,ここまで考えたことはありませんでした・・・.そのような発想豊かな頭脳を持ち,そして広い視野を持ち続ければ,大学でも非常によい論文が書けると思います.がんばってください! 大学でもがんばります!(いや受かったらですけど(爆) ちなみに、”dego-”ではなく”gedo-”です!(笑 >しかし,HSAB則を聞いたことがあるとはビックリです. ホント言葉だけですよ。 内容は100%知りませんから~ε=ε=ε=(o- -)oブーン
- rei00
- ベストアンサー率50% (1133/2260)
gedo-syosa 酸(いや,さん)今日は。rei00 です。 いつもながら,回答者泣かせ(?)のためになる質問で,勉強させていただいています。で,今回は専門外ですので,余談に近いかも知れませんが(ですので,「アドバイス,一般人,自信なし」です)。 ところで,反応を酸塩基反応と酸化還元反応しかないように思っていられませんか? 現在のところは,この2つのタイプの反応しか御存じないかも知れませんが,反応にはその他にも種々のタイプがあります。で,今回のものは,その酸化還元反応にも酸塩基反応にも入らない反応だとお考え下さい。では,どう考えれば良いのか,を御説明いたしましょう。 【1.空気中でのSiO2とHFの反応】 une_pyon さんも書かれていますが,CO2 との比較で考えます。CO2 を水に溶かした時,CO2 + H2O → H2CO3 の反応が起きます。同様に,SiO2 を水に溶かしたとすると,SiO2 + H2O → H2SiO4 の反応が考えられます。 ここで,もう少し詳しく CO2 を水に溶かした反応を考えてみます。CO2 は O=C=O の構造をしています。ここで,C=O 間のσ電子は電気陰性度の差によって酸素側に引き寄せられ,π電子も O=C(+)-O(-) の構造との共鳴が生じるため酸素側に引き寄せられています。結果として,炭素原子は+性(δ+)を帯びた状態であり酸素原子は-性(δ-)を帯びた状態です。ここへ,水(H2O)が寄ってくると,H2O の H は+性(δ+)を帯びていますからδ-の酸素原子に近づき,H2O の O は-性(δ-)を帯びていますからδ+の炭素原子に近づきます。結果として,H-OH の結合が切れ,C=O 二重結合が一重結合に変わり,C-OH 結合と C-O-H 結合が新たにできます。つまり,この反応は酸塩基反応ではありません(敢えて言えば,塩の加水分解に近いかも)。 さて,SiO2 と H2O の反応も同じ様に考えて下さい(これは分かりますよね)。そして,SiO2 と HF の反応も同じ様に考えて下さい。H-F の結合が切れ,Si=O が Si-O 結合に変わり,δ+性の Si とδ-の F の間と,δ-の Si-O とδ+の H の間に結合が出来ます。つまり,O=Si=O + HF → O=Si(F)-OH,同様に O=Si(F)-OH + HF → F2Si(OH)2 です。 ここで,une_pyon さんもお書きの様に,Si-O よりも Si-F の方が強い結合になります。そのため,F2Si(OH)2 の Si(δ+)と F(δ-)の間に結合ができて Si-OH の結合が切れます(切れた OH は H と結合します)。つまり,F2Si(OH)2 + HF → F3SiOH + H2O,同様に F3SiOH + HF → SiF4 + H2O です。結果として,SiO2 + 4HF → SiF4 + 2H2O になります。 【2.バイヤー法での Al(OH)3 の沈殿反応】 ちょうど昨日読んでいた「酸-塩基の理論」(化学同人)と言う本に,[Fe(OH)2(H2O)4] + H+ ←→ [Fe(OH)(H2O)5]2+ の平衡に付いて,『あらかじめ溶媒が解離してから起るのではなく,ジヒドロキソ錯体が電気的に中性な水から直接プロトンを引き抜く』と考えた方が妥当との説明があります。つまり,une_pyon さんの説明されている事です。 ところで,これもタマタマ読んでいた「新化学ライブラリ- 電気化学」(米山 宏 著,大日本図書)のバイヤ-法によるアルミナの製造に関する説明は次の様になっています。ボ-キサイトを 200~250℃,35 kg cm^(-2) でカセイソ-ダと反応させた後,約100℃に冷却後,濾過して不純物を除いて得られるアルミン酸ナトリウム(Na+AlO2-)の溶液に少量の水酸化アルミニウム(Al(OH)3)を加えてさらに冷やすと,アルミン酸ナトリウムは Al(OH)3 と NaOH に分解し,Al(OH)3 のみが沈殿する。 つまり,お書きの Na[Al(OH)4] ←→ NaOH + Al(OH)3 の平衡溶液に,結晶種の Al(OH)3 を加えて冷やす事で Al(OH)3 を結晶化させ,平衡を右へずらしているわけです。つまり,敢えて反応式を書くと,Na[Al(OH)4](soln.)←→ NaOH(soln.) + Al(OH)3(soln.)→ NaOH(soln.)+ Al(OH)3(cryst.)[ここで,soln. は溶液状態の意味であり,cryst. は結晶状態の意味]となります。 いかがでしょうか。私も長くなっちゃいましたね。申し訳ありません。
お礼
>gedo-syosa 酸(いや,さん) 酸・・。(^^; >反応を酸塩基反応と酸化還元反応しかないように思っていられませんか? そういうワケでもないんですが、SiO2が塩基性酸化物としても働くと考えるとたまたまうまく反応式が作れたので・・。とは言っても僕が知っている反応は、酸塩基反応・酸化還元反応の他に熱分解ぐらいしかないんですが。例えば 2NaHCO3 → Na2CO3 + H2O + CO2 みたいなのは、酸塩基反応でも酸化還元反応でもないですよね?本当は質問文にも、『別に酸塩基反応と酸化還元反応しかないと思ってるわけではないんです!』ってなことを書くつもりで、上の熱分解の式なんかも書いてあったのですが『入力されたテキストが800字以上です。』とか出てきまして・・。10行ぐらい削らざるを得ませんでした。。 【1.空気中でのSiO2とHFの反応】 またまたレベルが低い質問で申し訳ないのですが、例えばSi-OとSi-Fの結合は電気陰性度の差からSi-F結合の方が強くて切れないのに、どうしてH-OHとC-O結合ではH-OH結合が切れてしまうのですか?あぁまたつまんないことを言ってるような気がします。。申し訳ないです。 【2.バイヤー法での Al(OH)3 の沈殿反応】 おぉ!なんかちょっとわかったような気がしないでもないです!(何 ジヒドロキソ錯体が水からプロトンを引き抜く・・ってところが難しい感じですけど・・・。平衡を右へずらす雰囲気はなんとなくわかりました。(たぶん(爆) わざわざ長文をどうもありがとうございます。m(_ _)m
お礼
とても(長くて(爆)詳しい解説をどうもありがとうございます。m(_ _)m (1) >ここで,gedo-syosaさんの指摘した矛盾点をまとめると, >『(1)や(2)を考えるとSiO2は塩基性酸化物であるが,(3)を考えると >酸性酸化物と考えられ,矛盾するのでは?』 >ということでよろしいでしょうか. SiO2を水に溶かすと(溶けないですけど一応(?)ケイ酸になるらしいから、 酸性酸化物だとは思っていたんです。ですがHFと反応する時の反応式を 見ていると、塩基性酸化物のように感じたのです。で、 SiO2 + 2H2O ←→ Si(OH)4 ??? みたいなことがあり得るのかな~と思って、 HFの電離式と足し合わせてみたら最初の式が出てきてしまいまして。 まさかHFと反応するときだけ塩基性酸化物!?みたいな感じに 混乱してしまったのです。 >かといってSiO2の場合は > SiO2 + H2O → H2SiO3 >という反応は起こらないことが知られています. 確かにガラスは水に溶けなさそうです。 でも、例えばSiO2と濃NaOHの反応式を作るとき、 SiO2 + H2O ←→ 2H+ + SiO3 2- ・・・※ 2NaOH → 2OH + 2Na+ ∴ SiO2 + 2NaOH → 2H2O +Na2SiO3 という感じにいつも作っているのですが、実はダメなんですか? ※の式の平衡はとんでもなく左に、みたいな感じで。(?) >Si-Oという結合よりも,Si-Fという結合のほうが優先されるという背景があるため,結合の組み換えが起こるわけです. そんな反応があるんですか!初めて聞きました。確かに普通と違って特殊な感じがします。 電気陰性度はいろいろなところで使いますけど、こういうところでも使うんですね。 >一般にはSiO2の反応は特殊ですから,覚えるほうがはやいです. やっぱりそうですか~。 丸暗記するよりも、なるべく自分で作りたかったんですけどね~。 (2) >「Al(OH)3にNaOHをさらに加えるとAl(OH)3が溶解する」という経験で知られているように,上の平衡は左に進みやすいのです. あっ、そういえばその反応の逆反応ですか! 気づきませんでした。。 >もしも水がH[Al(OH)4]よりも強い酸であるなら,(1)→(2)の反応は一方的に起こりますよね. ・・・・・・ >酸の強弱を問われるのであれば,私は“H[Al(OH)4]のほうがH2Oよりも強い酸ではないか”と答えるでしょう. あぁそうか! 確かにH2Oの方が強かったら変なことになりますね。ようやく理解できました。 >酸塩基反応というカテゴリーだけで平衡反応を推測すると, >ときにはヘンテコなことが起こり,その反応の本質を見失いかねません. >だから,広い視野で反応を考えてみてはいかがでしょうか. わかりました。これからもっと勉強して、 さらにいろいろと化学反応を考えてみることにします。 >HSAB則 言葉だけは聞いたことがあります。硬い酸とか柔らかい塩基とか・・。 内容は全く知らないんですけど。(^^; 参考URLも見させていただきました。 強酸・弱酸というのはオキソニウムイオンが基準だったのですね。 これまた知りませんでした。どうもありがとうございます。 水平化効果という言葉も初めて聞きましたが、どの酸でも水に溶かすと酸性が オキソニウムイオンによるものになってしまう、ということですよね。 違うかな?間違っていたら教えて下さい(爆 >これを機に「ブレンステッドの定義」と「ルイスの定義」について,正しい理解を深めておくと,今後飛躍できるでしょう. ルイスの定義とは、電子対で定義してあるアレですよね? あまり見たことがないので詳しくは全然知らないですけど、 入試が終わったらまた調べてみようと思います。 >がんばってください!o(^O^)○ はい!頑張ります!∠(^O^)