こんばんは。
解除も取消も、一方的な意思表示で法律行為の効力を遡及的に消滅させるという点では同じです。
しかし、「取消」は、契約の有効性の問題、すなわち契約の締結の時点でそもそも様々な問題があったときに、意思表示をした者を保護する制度です。
具体的には、詐欺にひっかかって、欲しくもない自動車の売買契約を締結した場合、一応契約は有効なのですが、詐欺によって買う(又は売る)と意思表示をしてしまった者は、その意思表示を取り消すことができ、取り消されると遡及的にその契約自体が有効ではなかったものとなります。ただ、取り消されることにより不利益を受ける善意の第三者がいた場合、96条3項により、取消しを対抗できなくなります。
これに対して、「解除」は、契約が有効に成立していることを前提として、債権者を保護する制度です。
例えば、自動車の売買契約を締結したが、買主である相手方が期日になっても代金を支払ってくれないような場合、債権者である売主としては早く契約をなしにして、他の買主を見つけたいと考えるはずです。そこで、この場合、債務不履行による契約の解除を行うことで契約を遡及的に消滅させ、債権者は契約の拘束力から解放され、新たな買主を探すことができます。
この解除がなされた場合、契約自体は有効であったことを前提として、その効力を遡及的に消滅させているだけなので、解除によって、契約が無効であったことにはなりません。そして、解除によって不利益を被る第三者を保護するため、545条1項但書が設けられています。
お礼
すぐに返事ありがとうございます。 わかりやすい説明でよく理解できました。 ありがとうございました。