>この3つの測定器の違いは何なのでしょうか?
>使い分けは何を基準にすればよいのでしょうか?
計測器の選定は、ざっと思い付くだけでも
1.必要な測定精度と範囲
2.測定する頻度
3.測定物の硬度
4.計測を行う環境
といったことを考慮して決めます。
ノギス、マイクロメータには測定物に合わせた様々な機種がありますし、ダイヤルゲージは、測定物に合わせて測定子(測定物と接触する部分)を選定します。
ダイヤルゲージは「比較測定具」と言って、直接に大きさの絶対値を求めることは出来ません。
あらかじめ、わかっている大きさのものを基準として、その基準からプラスいくつ、マイナスいくつ、という具合に計測するものです。
測定精度と範囲:(最も標準的なものの例です)
ノギス 0.05mm 0~150mm
マイクロメータ 0.01mm 0~25mm
ダイヤルゲージ 0.01mm 0~5mm
ダイヤルゲージ 0.002mm 0~1mm
測定する頻度:
たとえば、測定物が大量にあって、順次計測しなければならないような時、1分間当たりに測定出来る個数は、おおむね
ダイヤルゲージ > ノギス > マイクロメータ
という順になります。
測定物の硬度:
ノギス、マイクロメータ、ダイヤルゲージ、いずれも測定物に接触させて測定するのですが、測定物にかかる圧力が異なります。
マイクロメータですとkg単位の力が測定物にかかってしまいますので、ゴムの様な柔らかい材質であれば潰れてしまいますし、脆性材ですと(測定物を)壊してしまうことさえあります。
「あるウェーハ」というのがシリコンウェハーで、最終研磨前の平面度の悪い状態であるならば、マイクロメータでは割れてしまう可能性もあるということです。
標準的なノギス(Mノギス)は、手で測定力を加えますので、測定物が柔らかいものであれば、測定する人の個人差が大いに出たりします。
測定物が柔らかいならば、測定力の比較的小さい「てこ式ダイヤルゲージ」を使うことが多いです。
計測を行う環境:
たとえば周囲温度ですが、計測器の検定は20℃の室内で行うことに決められていますので、20℃以外の環境では正確な測定結果が得られていません。(もちろん、これは程度問題であり、許容される範囲に納まる場合もあります)
40℃を超えるような、人間にとっても過酷な環境で、測定長が100mmを超えるアルミ材質を0.001mm精度で測定しても、その結果は信頼できないのです。
逆に、必要な精度が高ければ、それなりの計測環境を整備しなければならないのです。
ノギス、マイクロメータの機種:
たとえば深さ方向を測りやすい構造をした、デプスノギス、デプスマイクロメータであるとか、2つの穴の距離を測るピッチノギス、歯車の歯を測る歯厚マイクロなどもあります。
ダイヤルゲージの測定子:
標準的には鋼球を埋め込んだ測定子が使われます。
鋼球の大きさにも種類があり、測定物が柔らかいものになるに従って、径の大きなものを用います。
測定物面が円筒面や球面の場合は、平面測定子を用います。
概要的にはこうした感じになります。
今はノギス、マイクロメータ、ダイヤルゲージにもデジタル製品が出来ていて、簡単に数値が出るのですが、その数値(計測値)が正しいのかどうかを判断するためには、逆に専門知識や計測技能が必要となって来ています。
正確な大きさの基準とするもので、「ブロックゲージ」というものがあるのですが、たとえば5.000mmのブロックゲージをデジタルマイクロメータで測定させても、±0.001の範囲で計測出来る検査員は、あまりいないです。
もし、こうした方向で、もう少し突っ込んだ内容をお知りになりたいのであれば、たとえばリンク先のメーカーに一般企業の計測者養成向けの計測学院が有ったりしますので、そちらに問い合わせてみてもよろしいかと思います。(私も学んで来ました)