お話を西欧のことだと想定してお答えします。
中世と暗黒時代の関連性は,
ルネサンス期のヒューマニスト(ペトラルカ等)によって作られたものです。
自分たちを新しい時代の創始者とし,
そのモデルをギリシャ・ローマのいわゆる古典時代に求めた彼等は,
その間に挟まった文化衰退期(と考えていた)を指して,
「暗黒の時代」と呼ぶようになります。
そこで,聖アウグスティヌスらが用いていたとされる
「中世(=真ん中の時代
:キリスト復活と最後の審判の間の期間を指す宗教用語)」
という言葉が,現代のように近代と古代の間の期間を意味するようになります。
また,16世紀のプロテスタント歴史学者たちは,
当然カトリック教会の支配していた時代を「暗黒時代」と呼び,
意図は違えども,上記のヒューマニストと同一の見解に達します。
つまり,「中世暗黒時代」というイメージは,
新しい文化を担った(と思っていた)人たちによって
作られたものであると言えます。
近代と古代の間に挟まる,「断絶の時代」ですね。
こうした見解は,現在では少数派ではないでしょうか。
また,一概に民衆の視点から発生したものではないでしょう。
この時代,古代からの奴隷制,原始共同体制から,
農奴制を基礎とする封建制へと経済は一応の発展を見せてますし,
自由都市,都市経済の成立も起こります。
ところで西欧の歴史研究において,未だに解決されていない問題があります。
時代区分としての「中世」がいつ始まり,いつ終わるのか
という疑問です。
一般的には5世紀末~6世紀から,15~16世紀初期までを指すと思うのですが,
終点にはルネサンスがあるとして,始点の定義には様々な説があります。
経済,政治,文化,社会形態などの各分野から考察すると,
それぞれの言い分が出てくるようです。
ここら辺をお調べになると,
いかに「中世」という概念が曖昧であるかが分かり,
ご質問にも関係して非常に面白いと思いますよ。
長文失礼しました。では。
お礼
『「中世暗黒時代」というイメージは, 新しい文化を担った(と思っていた)人たちによって 作られたものであると言えます』 これは、興味深いですね 『中世』の定義自体へのお話の広がりは面白いです 御丁寧なご回答どうもありがとうございました