- ベストアンサー
リソグラフィーについて
ド素人ですのでお手柔らかにお願いします。 1、半導体の回路の描画にはフォトマスクによる転写が一般的ですよね!?ただ、マスクには正確性が求められるため電子ビームによって作成されると聞きます。では各メーカーが販売している半導体用ステッパーなどはどのようにつかわれるのでしょうか? 2、また、各メーカーがいろんな技術を使って線幅を細くしようと必死になっていますが、マスクさえ線幅の細いものを作ってしまえば近接場光によって回折限界以下のより細い線幅の描画を行うことができるのではないでしょうか? とんちんかんな質問かも知れませんがよろしくお願いします。
- みんなの回答 (5)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
>つまり、マスクにおいて線幅を細くすることは求められていないわけですか!? もし、光が屈折と反射以外はつねに直進してくれる性質を持って いたとすれば、マスクを微細化するだけで、どんどん微細なパターン を転写できたでしょう。残念ながら、光には回折という現象が 存在し、マスクパターンの裏側にも回り込んでしまいます。 したがって、マスクを繊細にするだけでは、小さいパターンを 焼き付けられないのです。 転写できる最小の線幅は、露光に用いる光の波長に比例し、 光学系の開口数に反比例します。ですから、できる限り 微細なパターンを転写するために、これまで光源の波長を どんどん短くしてきました。しかし、今利用している光より 短波長では、空気に吸収されるなど、実用化には課題が多く 残っています。 現在、実用化に最も近い次世代技術は、液浸といって、 レンズと基板の間に液体をいれ、開口数を上げる手法です。 なお、光が直進するという近似を行うのを幾何光学、光の 波動性を考慮して回折や干渉まで考えるのを波動光学と 呼びます。実際には光はボース統計に従う量子の集団ですので、 最も正確に光を記述するには量子光学が必要です。 このレベルまで考慮してリソグラフィーを行う技術を、量子 リソグラフィーと言って、基礎研究は始まっています。 ただ、これが必要とされるのは、まだまだ先に思います。
その他の回答 (4)
- nzw
- ベストアンサー率72% (137/189)
書き間違いかもしれませんが、 >スッテッパーというのは... >パターニング可能なスッテパーの場合... ステッパ(ないしはステッパー)というのは、英語で書くと stepper です。これはStepping Projection Alignerの通称で、 ステップ式投影露光装置という意味です。 このステップは、ダンスのステップと同じで、 一つの基板内に同じパターンを複数形成する時に 露光ごとに基板をステップさせるところから きています。 http://www.ade.co.jp/product/measure/detail/spa.html
お礼
非常に丁寧な回答ありがとうございます。つまり、マスクにおいて線幅を細くすることは求められていないわけですか!?そうなるとマスクには今後何がもとめられるんでしょうか?
- nzw
- ベストアンサー率72% (137/189)
>つまりマスクに描かれた線幅の1/4の幅が実際に描かれる線幅になる >わけですか?つまり80nmのパターニング可能なスッテパーの場合、 >マスクに求められる線幅は320nmでいいのでしょうか? 基本的には、その通りで、ステッパではマスクのパターンの方が実際 に転写されるパターンより大きいものとなっています。 ただし近年では、より狭いゲート幅等を実現するために、位相シフト マスク等の光の干渉を利用する技術をつかったり、露光後のレジスト を、化学的や物理的な手法でさらに小さくする技術が用いられています ので、マスクパターンと転写されるパターンが完全な相似形ではない 場合が多くなってきています。
- nzw
- ベストアンサー率72% (137/189)
半導体のフォトリソグラフィーというのは、写真の”焼き増し”みたいなものです。 写真のネガに対応するのが、フォトマスク。印画紙に対応するのが、レジストという 感光剤を塗った基板です。一度フォトマスクを作ってしまえば、それを通して光を レジストを塗った基板にそれぞれ一回あてるだけで、同じパターンを何度も 一瞬で転写することができます。 ステッパーとは、フォトマスクを通して光をレジストを塗った基板に当てる装置です。 マスクが正しくないと、基本的にそのマスクを使って露光されたパターンは、すべて 同じ不正確さを引き継ぎます。したがって、マスクの製造にはきわめて高い精度が 要求されます。電子ビームは高い精細性を実現できるため、マスクの作成には適して いますが、基本的に一筆書きしかできないため、パターンの描画に時間がかかり すぎ、これを量産基板一枚一枚のパターン描画に使うわけにはいかないのです。 ただし、研究用、試作用など少数の基板しか必要としない場合には、マスクを作る より結果的に速くて安くて精度が出せるので、レジストつき基板に直接電子ビーム 露光することもあります。 近接場光を利用した露光機も研究はされているようですが、近接場光を利用する ためにはパターンとレジストを数十nm程度まで近づける必要があり、かつマスク 全域にわたりその精度を実現する必要があります。また、ICの製造には何枚もの マスクを精度よく重ねあわせる必要があります。これらのことを考えると、なか なかすぐに実用化するのは難しいのではないかと推察します。
お礼
非常に丁寧でわかりやすい説明ありがとうございます。 スッテッパーというのはマスクのパターンを縮小して投影する露光装置ですよね。私がしらべたところ1/4程度に縮小するとありました。つまりマスクに描かれた線幅の1/4の幅が実際に描かれる線幅になるわけですか?つまり80nmのパターニング可能なスッテパーの場合、マスクに求められる線幅は320nmでいいのでしょうか?
- ginlime
- ベストアンサー率27% (280/1031)
フォトマスクはあくまでパターンを書き込んだものです。半導体にパターンを作るにはこのフォとマスクのパターンを写し取るレジストという材料が必要になります。光のあたったところあたらない所で固まる固まらないという事から固まらない部分を洗い落としてパターンを写し取り、半導体をレジストでマスクしたままエッチングして半導体にパターンを焼きこみます。そしてレジストを除去するという作業の繰り返しです。ステッパ‐はレジストにパターンを映す装置です。ここまででお分かりのように、線幅を細くすればするだけレジスト材料に求められる要求がl厳しくなり、きちんとしたパターンが写し取りがたくなります。 130nm,90nm,65nm,32nmという線幅で、現在は65ノードのプロセスと材料が開発されています。
お礼
すばらしいです!非常に勉強になりました。 専門家のかたでしょうか?非常にわかりやすく説明していただき感謝します。ありがとうございました。