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熱帯雨林が破壊されると回復しにくいのはなぜ?
森林が伐採されると、土壌が堅くなったり、浸食を受けてしまったり、また、養分の多くが樹木の中で循環しているために土地がやせ、循環が途絶え、回復しにくいということは、理解しているのですがその他の要因があればぜひ教えていただきたいと思います。
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これは、南アメリカ、特にアマゾン流域の熱帯雨林については当てはまるのですが、一般的な熱帯雨林についても当てはまるのか、少し自信がないので「自身なし」とします。しかし、こういうことなのだとも思います。 アマゾン流域の熱帯雨林が特徴的なのですが、熱帯雨林には、巨大な樹木が生え、複雑な植生があり、多様な生物のエコシステムや、水や栄養素や大気の循環などがあるのですが、この生態システムは、密生する人の入れないジャングルというイメージから齎される荒々しさというか、力強さの見かけと違って、かなり微妙で、脆いものだという考えが一般になっています。 なかでも、脆いのは、熱帯雨林が生育している土壌というか、正確には、植物の繁茂に不可欠な「腐植土」と呼ばれる、栄養に満ち、また多様な生物を維持し、更に、水の保水力の大きな土壌が、熱帯雨林植生の地域では、温帯の森林や平野に較べ、貧困であるということが挙げられています。 エジプトのナイル川流域と、ナイルデルタ地域を比較すると分かるのですが、アスワン・ダム、ハイ・ダムを建造する以前は、ナイルの年毎の氾濫が、流域に豊かな土壌を運んで来た訳で、エジプトの文明は、このナイルの氾濫に支えられていたとも言えます。しかし、ナイル流域の土壌は、かなり薄いものであったのです。毎年の氾濫による土壌補給を得ないと、それは枯渇するほど貧弱であったということになります。ナイルデルタも、同様ですが、こちらは、土壌蓄積がかなりあり、そもそもデルタというのは、それ自体が、流れてきた土壌・栄養に富む腐植土の集積です。ナイルデルタの方が、より、地に力があったし、土壌も強固で豊かであったのです。また、エジプトには、ケムの国と、シェムの国という言い方があったと思います。これは、どちらがどちらか忘れましたが、「赤土の国」と「黒土の国」のことです。「赤土の国」は熱帯雨林の土壌の国で、「黒土の国」は、温帯的な腐植土の豊かな土壌の国だっと思います。 温帯の森林や野における土壌の構造は、基本的に水性堆積層が岩盤の上に載っていて、その上に、腐植土などの土壌がかなり厚く蓄積している構造になっています。熱帯の土壌にも、岩盤の上に、厚く堆積層がある場所もあるのかも知れませんが、熱帯は、地質学的年代の歴史において、時として砂漠化し、またそれが復活して緑の森になったという歴史を非常に長い年月に渡って繰り返して来ました。熱帯の場合、気候変動などで森林が消えると、むき出しの大地には、かなり強力な太陽の光が当たり、植物の生長に不可欠な腐植土のなかの有機成分を分解してしまい、地力の非常に低い土壌に変えてしまいます。また、森林がなくなった場合の熱帯の土壌は、簡単に水に洗い流されることがあり、こういうことの結果で、熱帯雨林が繁茂している基盤の土壌は、表面には、土壌があり、その上に腐植土が覆っているように見えても、その底の方は、少し表面の土壌がはげると、岩盤が出てきたり、また過去の歴史の結果である、砂漠性の土……不毛な砂と岩の層が現れて来たりすることになります。温帯の土壌の場合、こういうことはないのですが、熱帯の土壌には、この傾向が大きいのです。強力な太陽が、土壌を分解してしまう過去の歴史があったからです。 そこで、アマゾン流域の熱帯雨林が典型にそうなのですが、多様な森林は、非常に薄く脆い腐植土層の上に成立しています。ここで、樹木を切ると何が起こるかと言うと、雨が降ると、簡単に貴重な表面の腐植土層が洗い流されてしまうということです。もっと複雑な過程があるのですが、熱帯雨林が健全な時は、単に、樹木の根などが、腐植土や土壌を守っているだけでなく、厚く繁った樹林が、いかなる豪雨でも、上の葉や枝で、その圧力を吸収し、地面に届く頃には、樹木が大部分を吸収し、雨の水分は、地面のこけなどにも吸収され、事実上、上では、大豪雨でも、地面では、水分が幾らか増えたぐらいのものになります。 しかし、樹木を切ると、このような機構は崩壊し、豪雨が降ると、元々薄かった腐植土層は、見事に洗い流され、岩盤が露呈したり、不毛の砂漠のような地面が出てきます。温帯であれば、腐植土層は、非常に遅々としているとはいえ、徐々に回復するのですが、熱帯の場合、腐植土層が蓄積され、仮に雨がそれを流さないとしても、太陽が有機物を分解し、腐植土としては、有効でない土壌に変えてしまいます。こうして熱帯では、腐植土層が失われると、回復に何万年とか、何十万年が必要になります。 一度熱帯樹林を切ると、流れた土壌は回復しないので、再植林しても、まず定着しないのです。温帯の森林の場合、同じように、土壌が硬くなったり、浸食を受けたりしても、再植林し、腐植土などを移入すれば、まだ数十年とか、数百年の時間規模で回復する可能性があり、従って、人間が努力すると、目に見える形で、回復のゆっくりした進行が分かるのですが、熱帯雨林を破壊すると、基本となる腐植土の回復に、何十万年とかかり、植林しても、失敗となり、回復しないということです。 長い文章ですが、熱帯の場合、強力な太陽が、有機物を分解してしまい、植物の生長に不可欠な腐植土層の再生を容易に可能としない。それが、熱帯での樹林の破壊の跡の回復以上に、熱帯での森林の回復を困難にしている条件だということです。また、長い地質時代の歴史を通じ、そもそも、土壌が、温帯のように、元々豊富でないのです。表面の土壌が消えると、後には、岩盤か、砂漠性の地面が露出してくるので、これには、どうしようもない、というのが、回復が困難というより、不可能な理由なのです。
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- nozomi500
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最初の回答で、 >(2)森林による光合成がすくなくなる。 >光合成による酸素の供給は大きいです。酸素の排出が少なくなると、CO2が増え、地球の温暖化が進みます。 とあるのですが、熱帯林のような安定した森林では、存在する有機物の総量も安定している(二酸化炭素を吸収して有機物に変えている一方で生態系の中で消費されて二酸化炭素にもどる)と考えられますので、酸素供給は期待できません。 焼畑も、古来から続いているやつは村の人口(あるいは家族)を維持するぶんだけ焼いて、移動していったので、もとのところに戻るまでには森が回復して、そんなに負担はかけていないのですが、 商業利用が始まると、プランテーションの大規模開発で切り開き(焼き開きというべきか)、コーヒー畑やら、牧場やらにしてしまう。土地がやせるまで、とことん利用し尽くしますし、荒れてきたら、生態系を考えずに放棄しますから、回復は遅いし、回復より破壊のスピードが速ければ、どんどん減っていきます。 困ったことに、ODAでこういう開発にお金がでたりして、先進国も、これによって安い商品が手に入るので、金にならない森林保護よりも優先しちゃう。 日本でも同じですが、植生というのは生態系の中で「順番」があって、いきなり禿山に木を植えても育たない。いったん破壊されると回復までには長い年月が必要です。
- kenchin
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具体的なメカニズムについては、先の皆さんの説明が 非常にわかりやすいのでそちらにお任せして..。(^^;) 変な観点からの話なんですが、別段奇をてらったわけで なく、ましてやポイント稼ぎの為でもないんですが、こ ういう実態も有るんだよ..って事から駄文を。 □ 熱帯雨林に限らず、森林って伐採されると短時間では 元の環境にもどりませんよね? っというのも、現在の形が固定されるまでには相当の 時間がかかっていますが(それこそ数万年規模かな?) そこに現在の形の森林資源が生まれたと。 ところが、これを伐採する場合には経済活動の観点から 見てやりますんで、最も「経済的に効率の良い」方法で 伐採を行います。 つまり、「伐採後の運搬が楽な場所」を「集中的に」 やっちゃうから、集中かつ、あるポイントを中心として 伐採を進めちゃうって図式ですわね。 □ で、こうなると先の方々が書かれたデメリットが出て 来ますが、回避する方法が無いわけじゃない様子なん ですね。 実は、これについて私がいた会社(の関連会社ですが) が少し技術面から研究していまして、それに関連して 他の論文にも接したんですが、例えば、間引きのように、あちらから1本、こちらから1本って具合に伐採して かつ伐採後には少し特殊な方法で植林してやるんです。 するとありがたいことに、森林はその規模が大きければ 大きいほど、影響に対する緩衝能力が高いというか、伐 採された傷が大規模集中伐採をした場合と比べて恐ろし く短く修復され、ある程度の経済活動ベースに乗せる事 も可能だろうってシミュレーション結果も出るんです。 ※:現在とほぼ同等の環境を保全しながらor少なく とも、現在の伐採量と同じだけを切っても、環 境修復が極短時間で出来るために、累積被害を 数十分の1にしつつ、かつ経済効果を出す方法 は存在しそうです。 詳しい数字は忘れましたが、確か年に1%前後の伐採 までなら耐えられそうって結論だったと記憶しています。 (ここからは私の計算や検討で恐縮ですが....) ところが、これをやると、現地の労働力等の優位性を 見ても、輸送にや伐採後のメンテナンスに関わるコスト が原因で、北米や日本などで精算される木材に対する価 格優位性が損なわれるんですよ。 ※:積み出し地から消費地へのコストが他の地域 よりも大きいですしね。 だから、集中して伐採するんで、跡地は他の方が書かれた ダメージを受ける地域になると。 □ おまけに、他の論文などを見ますと、雨林の伐採跡地を 利用して耕作を進める農民(非伐採従事者や、家族) の存在もあります。 十分な生活基盤がない、喰っていくのもやっと....。 そんな人々の前に、現在では工業国等から輸出された 電化製品等の「現在より良さそうな生活」のイメージが 転がっている、すると「森焼いて畑作って儲けるべ~。 そんで儲けたら○○買おうで~」って考えに至っても不 思議は無いかと....。(^^;) ※:冗談の様に書いていますが、雨林を集中的に 破壊して、それをさらに継続的に痛めつける 原因として、焼き畑と、その土地の養分を利用 しつくす農業があるんですよね。 しかも、焼き畑の養分が無くなって収穫量が 落ちたら、また次の焼き畑に移っちゃいますから 不毛の大地が残り、新たな不毛の大地が開発され るって構造だけが存在します。 で、政府としてはこれを禁止する動きもあるんですが いかんせん、政府自体がそれに本腰をいれていないと いうか、入れるだけの余裕もない様で、実際は野放し になっておるようでして、焼き畑をする人々への意識 喚起なんてのも為されていません。 ※:注意喚起って云っても、色々な意味で不可能 に近いでしょうけどもね。 □ 駄文でしたが....。 要は伐採をする事でのデメリット(砂漠化等)については 世間で大きく云われているようにも感じるかもしれないの でしょうし、ある種それは当たっているんですが、実際に 破壊している人(の一部)にとっては、それより切実な 問題(死活問題の場合もあるでしょうし、欲望が原因の 場合もあるでしょう)が存在する。 まして、デメリットを知らない人も多い。 ※:全く知らないわけでもないかもしれませんが 世界的な問題というか、明日の子孫の頸を しめる行為ってことを知らないor切実と感じずに 自分が直接破壊する人の比率は世界人口で見れば 過半数の様ですね。 これらが、技術的には可能でも、実際には回復させない 原因の一つになっているって事だけは確実に言えます。 追伸 ですからね、例えば「砂漠化」って云っても 太古の昔にも有った古い言葉ではあるんですが 原因にまで遡ると、今までの我々の知っていた 種類や範囲や原因を超えた砂漠化というか、人口 問題や欲望や貧富の格差って、ある種意外な 問題を発端とした物が出てきてる見たいです。 それ(過去のどの原因とも異なり、それだけに 予想もしづらい原因)が元だけに、一部の学者は 新しい砂漠化の様相であるって警鐘をならして いる人もいます。
- patak
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すみません。#2のpatakです。 回答の方向がずれていたので再回答します。 (1)伐採によって雨水は土壌に残りにくくなり、土地は痩せ砂漠化が進行します。 (2)土壌が痩せることでの影響 日本でのある地域であったことですが、土壌が雨水を吸収しにくくなることで、土壌の栄養(窒素)が河川から海へ流れてしまいます。そのことで、海水の栄養過多でプランクトンの異常発生や、生態系の異常から、サンゴ礁が死滅してしまった経緯がありました。 栄養素が土壌から無くなることがおおくなり、そのことから、森林の再生には、難しいことがあります。 とにかく自然を破壊することからの、再生は、破壊する時間以上にものすごい時間がかかることを、いつも考慮する必要があります。
- patak
- ベストアンサー率23% (108/457)
森林の伐採についての影響は多方にわたっています。 (1)森林の伐採によってまずは、土壌についてです。 森林があることで、雨が土壌によく残ります。また、森林があることで、いろいろな生物が繁殖しているので土壌は、肥えていきます。しかし、伐採によって雨水は土壌に残りにくくなり、土地は痩せ砂漠化が進行します。 (2)森林による光合成がすくなくなる。 光合成による酸素の供給は大きいです。酸素の排出が少なくなると、CO2が増え、地球の温暖化が進みます。 (3)土壌が痩せることでの影響 日本でのある地域であったことですが、土壌が雨水を吸収しにくくなることで、土壌の栄養(窒素)が河川から海へ流れてしまいます。そのことで、海水の栄養過多でプランクトンの異常発生や、生態系の異常から、サンゴ礁が死滅してしまった経緯がありました。 (4)ジャングル等の森林伐採での影響 エイズや、エボラウイルス等の病原体は、もともと原生林での繁殖に留まっていましたが、人間のジャングル進出で病原体の接触がおおくなり、新たな病気を引き起こす原因になっているということです。 いろいろな影響が出てきますが、現代の便利な生活の裏には、自然の破壊が少なからずあることを、いつも気にかけていることが必要なように思います。
- parts
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他にですか? ある研究で、熱帯雨林の中で100アールと10アールなどの面積に区切って周りを伐採して時間がたつとどうなるかというのがありました。 熱帯雨林ではたくさんの動物や植物、生き物がいますが、特に鳥や土壌の微生物は、森林にとってはなくてはならない存在です。最初は、同じだけいた生き物ですが、1種また一種と減っていき、小さな林ほど生息数は減っていきました。鳥や他の生物いなくなると、木の実を落とす植物は種を広げることができなくなります。すると、森林の広がりもなくなり閉鎖的になります。これが、1つ・・・・ 次に発生したのは、森林の外側の部分が枯れ始めたことです。理由は直射日光が地面や木に必要以上に当たるため、それに耐えられなくなり、枯れることがあります。微生物が日光に弱いのもありますね。まあ、ある程度周りが枯れれば、どこかで収まりますが、手を加え伐採したところだけが、なくなるわけではなかったということです。 この結果、原生の熱帯雨林は少し手を加えるだけで、かなりの被害を継続的にもたらすということが分かっています。一度手を加えて、途中で開発をやめたとしても、自然にさらに枯れていく木々があれば、回復どころか現状維持さえも厳しくなります。 他にもあります。伐採されるだけではなく、酸性雨などによる土壌の酸性化などでバランスが崩れ枯れることもあります。伐採すればその場所の木も消えますが、周りの木々もある程度消えることがあるのです。回復には規模によって数百~数千年の時間が必要です。 (木が一本生えて成木として大きくなるだけで100年はかかりますからね・・・それでも木の種類によっては幼木です) 間接的な土壌汚染や伐採した付近の木々への影響、伐採後の生態系への影響は絶大な物となります。 人間の人生はせいぜい生きて最大120年が限度ですから、回復できない理由は、木の人生と人間の人生の基準が異なることもあるでしょう。 結局は、ある物を大事にしないと、修復は難しいということです。