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裁判官の守秘義務
裁判官には裁判所法で評議の秘密については規定がありますが、その他の職務上知り得た秘密についての一般的守秘義務は負わないのでしょうか? 国家公務員法上の守秘義務を負わないことは知ってますので、それ以外で法的根拠を教えてください。
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まず1点おわびから 「官吏服務規律」ではなく「官吏服務紀律」でした。明治20年7月30日勅令第39号です。ちなみに独立命令です。 2点目 >>政令で裁判官に義務を課すというのはどうなんでしょうか 厳密な法律論をすれば「官吏服務紀律」自体は既に失効しています。 「国家公務員法の規定が適用せられるまでの官吏の任免等に関する法律」という昭和22年の法律で服務についても別段の定めがなければ「従前の例による」と定められています(2項)。 法律を通じて勅令の適用を受けると言うことです。 守秘義務は4条になります。 現憲法下においても「官吏服務紀律」が裁判官に適用されるというのは最高裁判所事務総局のとる見解でもあります。 手元の資料だけでも昭和51年10月28日参議院と平成13年2月27日衆議院のそれぞれの法務委員会で当時の最高裁事務総局人事局長が答弁しています。 「裁判官につきまして現在も法律上は官吏服務紀律が適用されるというふうに解しております。」78-参-法務委員会-5-2 「裁判官の服務につきましては、裁判所法、それから裁判官弾劾法、官吏服務紀律等におきましていろいろな義務が規定されておりますが、こうした規定によるほか、個々の裁判官におきまして、これらの規定や国家公務員倫理法等の規定の趣旨、内容を尊重するなどして、みずから律することによって倫理を保持してきたところでございます。」151-衆-法務委員会3-18 3点目,裁判官の見解と異なるとの指摘ですが,裁判官がどんな状況でどの程度責任を持って話をしたかによるでしょう。 私も裁判官の知り合いが複数いますが,裁判官にもプライベートな時間はあるわけで…… 平成16年4月9日衆議院法務委員会で当時の司法制度改革推進本部事務局長(現在の千葉地裁所長でもちろん裁判官です。裁判員制度などの議論を見守ってきた方でもあります)が裁判員の守秘義務との関係で裁判官の守秘義務について聞かれてこう答弁しています。 「裁判官も、評議の秘密につきましては、裁判所法で守秘義務がございます。それから、一般的な守秘義務としては、大変古いものでございますけれども、勅令で、官吏服務規程ですか、たしか明治二十年ぐらいにできたものでございますけれども、この適用によりまして、守秘義務が一般的に課されている、こういう状況でございます。」159-衆-法務委員会-12-5 ここでは「官吏服務規程」と発言されてますが,「官吏服務紀律」のことでしょう。 確実な資料といえるかは分かりませんが,衆議院のホームページから http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_kaigiroku.htm 法務委員会→159回(常会)→12号とたどれば見ることも出来ます。 なお,No.1に書かれていることは,守秘義務違反に罰則がないことの理由と一般的にはされているようです。 上記の答弁は次のように続きます。 「ただ、罰則は、御指摘のとおりございません。 これは、裁判官につきましては、高度の職業倫理に基づき行動ができる、そういう期待ができるということ、あるいは、それを担保するものとして、弾劾裁判あるいは分限裁判というような手続が設けられておりまして、これらによってそのような義務違反を抑止することが十分に可能であるということで刑罰が設けられていないというふうに承知をしております。」
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- ma-po
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見やすいように、項目を分けさせていただきました。すみません・・・ >結論としてはよく分からないというご主旨の回答と理解していいのでしょうか。 はい、そのとおりです。法理論上、少なくとも日本国憲法施行日の前日(昭和22年5月2日)の満了、あるいは日本国が主権を完全回復し日本国憲法が最高法規性を獲得した時、つまり「日本国との平和条約」の発効時(昭和27年4月28日午後10時30分)より前のいずれかの時点までは、kanarin-y様のお答えが正答になると思います。 しかし最低でも日本国憲法が完全施行になった際からは、三権分立の原則から裁判官の秘守義務規定は少なくとも「法律事項」になるべきはずです。この立場からすると、「官吏服務規律」が当初から「法律」と同一の効力をもつもの(最広義の国家公務員全体に適用のある一般法)として扱われていたと解するか、あるいは「官吏服務規律」の中の秘守義務を含むいくつかの条項が慣習法的地位を持つようになったと解するのが自然です。ところが、一般職につき「国家公務員法」が、特別職につき各法律が制定させた後、「官吏服務規律」が未だ有効なのかどうか、あるいはこのような中で慣習法的性質を認めるのが妥当なのか、などは正直なところ何ともいえません(明示的に廃止されたわけではないが、各種法律の制定により実効性を失っているとも言えるため)。 なので、結局はutama様のお答えによるのが妥当と思うのですが、弾劾・再任官拒否事由との兼ね合いを考えると、やはり「一般的条理」を持ち出すしかないのかな・・・という感じです。 あと、先の「ポツダム勅令」は「緊急勅令」と解する余地もあります。
- ma-po
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こんばんは。 ひとつだけ確認ですが、ここでいう「独立命令」とは「本来は法律事項であるべきもの命令をもって定めたもの」と解釈してください。 >政令と同じ効力と書いたのは日本国憲法施行の際現に効力を有する勅令の規定の効力等に関する政令で勅令が「政令と同一の効力を有するものとする」と定められているからなんですが(後略) そうですね。一般的には明治憲法下の「勅令」のうち、日本国憲法施行後も効力を有するとされるものは、基本的に現在の「政令」と同様の効力をもつものとされます。それは明治憲法下で勅令の原則的な姿を「執行命令」と「委任命令」と解していたからです(明治憲法9条前段)。また日本国憲法も76条が定める政令の性質を「執行命令」・「執行命令」として理解しており、この両者の関係から、このように位置付けたわけです。 ただ、明治憲法を見ていただければわかるのですが、勅令には執行命令以外のものもあります。たとえば緊急勅令(明治憲法8条)、公共ノ案寧秩序ヲ保持シ及臣民ニ幸福ヲ増進スル為ニ必要ナル命令(明治憲法9条後段・いわゆる「独立命令」の根拠となる条文です)、官制に関する大権命令(明治憲法10条)です。 内容について詳しくは、以下をご覧ください。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%91%BD%E4%BB%A4_(%E6%B3%95%E5%BE%8B) >独立命令なら法律としての効力を今も持つことがあるのでしょうか? ご質問の通り、その例は(超例外的ながら)存在します。ポツダム勅令【「ポツダム」宣言ノ受諾ニ伴ヒ発スル命令ニ関スル件」(昭和20年9月20日勅令第542号)】に基づき制定された各種勅令・政令の一部のものが、それに当たります。 これら勅令・政令は非常に特殊なもので、形式的には「独立命令」なのですが、ポツダム宣言受諾に伴い連合国軍総司令部が日本国政府を通じて日本を間接統治するために作られたものであり、実際には明治憲法、日本国憲法よりも上位(あるいは別次元)にありました(そのため、当時は最高裁判所といえども違憲審査をすることができませんでした)。 しかし、「日本国との平和条約」(いわゆる「サンフランシスコ平和条約」の発効によって日本国が国家としての主権を完全回復すると、憲法が真の「最高法規」性を取り戻すことになります。そのために「ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件の廃止に関する法律」(昭和27年4月11日法律第81号)が制定されましたが、その際にポツダム命令一部が法律に格上げになりました。 詳しくは、以下のページをご覧ください。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%84%E3%83%80%E3%83%A0%E5%91%BD%E4%BB%A4 例えば、ポツダム勅令・政令のうち、 「物価統制令」(昭和21年勅令第118号) 「出入国管理令」(現行の「出入国管理及び難民認定法」(昭和26年政令第319号)です。) が、これにあたります。 また本件では直接関係ないのですが、興味深い例として、あの悪評高い「治安維持法」(昭和16年『法律』第54号)は勅令で廃止されています(昭和20年『勅令』第575号=治安維持法廃止等ノ件) 実は、このようなことは明治期にもありました。明治初期の日本には「司法・立法・行政」の三権に相当する機関がなく、その代わりに、天皇の下「太政官」を頂点とする官僚機構がありました。そこで作られた法は「太政官布告」(だじょうかんふこく・だいじょうかんふこく)といい、これも明治憲法制定の際に「法律」または「勅令」となっていったのです。現在も生き残っている「太政官布告」のうち、法律として効力を有する最も有名なものが「爆発物取締罰則」(明治17年12月27日太政官布告第32号)です。現在でも政令としての効力をもつとされているものには、「褒章条例」(明治14年12月7日太政官布告63号)があります。 こちらをご覧頂くと、より詳しくわかります。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%AA%E6%94%BF%E5%AE%98%E5%B8%83%E5%91%8A このような矛盾は、国家の基本法である「憲法」が制定され、あるいは改正された際に、それまでにあった下級法令の名称や法形式を全て憲法に合うように改正することが煩わしい(現実的にはできないこともないが、実際には非効率的・非合理的である)ために、一括して新たな形式に読み替えてしまおうとしたために起こるわけです(もちろん、これらの「内容」が上位法令と抵触することになれば、当然に「内容」を改正しなければなりませんが・・・)。 そのため、旧法令の法形式の判断は実に難しい点を含んでいます。たとえば、先に述べた「絞罪器械図式」(明治6年太政官布告第65号=こうざいきかいずしき=)は、その有効性が裁判で争われた際に法務省は「法務省令」に相当する法形式であると主張しましたが、最高裁判所は「法律と同一の効力を有する」と判示しています(最高裁昭和36年7月19日大法廷判決刑集15巻7号1106頁)。
お礼
ありがとうございます。 勅令の話は大変参考になりました。。
- ma-po
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すみません、補足です。 と、いうわけで明治憲法下では勅令を以って裁判官にある作為・不作為を義務付けられる根拠とできることになると思いますが、天皇の大権命令を認めない現行憲法下ではどう見ても過去の理論ですね。 現行憲法下で考えるのであれば、かつての「官吏服務規律」の趣旨義務の制度趣旨が裁判官の守秘義務制度と相容れるものとされ一般条理化して裁判官の一般的守秘義務の根拠となったと考えたり、utama様がNo.1で答えていらっしゃるような感じの理解になっていくと思います。
お礼
結論としてはよく分からないというご主旨の回答と理解していいのでしょうか。
- ma-po
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こんばんは。 >一つ疑問は勅令と言うと今の政令と同じ効力ですよね。 確かに勅令の多くは執行命令(法律を執行するために出される命令)に属しましたが、厳密には法律にかわる命令(独立命令)を出すこともできました(ともに明治憲法9条)。これは、立法権者が「帝国議会」ではなく「天皇」であったことに由来します。 また当時は、大臣や裁判官を含む全ての官吏(今でいう、最広義の国家公務員にあたる概念です)は統治権者である天皇の手足となって働くべき者であり、官吏に関する事項を法律事項としたならば「天皇の決めるべきことに臣民が横から口出しをする」ことになるため、天皇大権を侵す「まことに恐れ多い事」と理解する考え方が強かったことから(明治憲法10条参照)、「官吏服務規律」は”天皇大権に基づく命令”=”法律にかわるもの”であった(つまり、執行命令ではなかった)と解したほうが良いと思われます。 >政令で裁判官に義務を課すというのはどうなんでしょうか? そうですね。現行の日本国憲法下では憲法76条(司法権の独立)の規定により、「『政令』を根拠として、内閣が裁判官に対して、ある作為・不作為を義務付けること」は非常に難しいと思われます。 ところが、明治憲法(大日本帝国憲法)下では、必ずしもそうとは言えませんでした。それは、先ほど述べた理由のほか、以下の理由も挙げられると思います。 そもそも、明治憲法下における「主権者」(国の統治権者)は天皇でした。国務大臣も、帝国議会も、大審院を頂点とする裁判所も、天皇に協賛し、あるいは輔弼(助ける)機関にすぎず、よって国家体系も明確な「三権分立」国家ではありませんでした。 また当時、裁判所は確かに「司法権」について天皇を輔弼する地位にあったのですが、明治憲法下の「司法権」の概念には今でいう「司法行政事務に関する事項」は含まれておらず、むしろ行政権の一部として考えられ、天皇を輔弼する「司法大臣」が司法行政に関する実質的な権限を有していました。 つまり、裁判官は裁判過程においては独立(ただし、現行憲法下とは違い「天皇の権威」によって独立が担保されていたにすぎない点に注意が必要)だったのですが、司法行政事務における地位は、単なる司法大臣の配下の役人にすぎないことになってしまうわけです。このような体系下であったことからも、裁判官に対しても「管理服務規律」という勅令による義務付けが可能であったと考えてよいと思います。
お礼
ご回答ありがとうございます。 政令と同じ効力と書いたのは日本国憲法施行の際現に効力を有する勅令の規定の効力等に関する政令で勅令が「政令と同一の効力を有するものとする」と定められているからなんですが、独立命令なら法律としての効力を今も持つことがあるのでしょうか?
- kanarin-y
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裁判官は一般的守秘義務を負うものと一般的にはされています。 根拠法規は古いのですが「官吏服務規律」と言う勅令になります。
お礼
伝聞ですが裁判官の見解と異なるようですね。 一つ疑問は勅令と言うと今の政令と同じ効力ですよね。政令で裁判官に義務を課すというのはどうなんでしょうか?
- utama
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以前、裁判官の方とお話する機会があり確認したのですが、裁判官には法律上、明文の守秘義務は課せられていないということで間違いありません。 裁判官は、憲法上も独立が保障された地位にあり、国家公務員法での処分はできないこと、法曹として当然高度の倫理観を持っているはずであることから、国家公務員法の守秘義務規定は及ばず、また、特に守秘義務だけを独立して法律で規定することもされていないとのことです。 もちろん、重大な守秘義務違反があれば、裁判官弾劾法2条によって、当然、弾劾対象になますし、10年毎の任官継続拒否などの理由にもなります。 また、民事上の国家賠償責任、不法行為責任も生じます。
お礼
ご回答ありがとうございます。 事情があってしばらく前から調べていたことなんですが分からなくて。 裁判官から聞いたと言うことであれば間違いないのかとも思いますが、NO.2の方の回答履歴を見るとかなり専門的な回答をされてる方ですし、何か確実な資料はありませんでしょうか?
補足
読み返してみると「明文の守秘義務は課せられていない」が「重大な守秘義務違反」が問題となると言うことは明文はないが法的な守秘義務は負うという理解でいいのでしょうか。
お礼
ありがとうございます。 完璧な回答ですね。