会社法の内部統制システム構築義務違反について
内部統制構築義務違反について質問です。以下の事案でどうして代表取締役に不法行為が成立するのかがわかりません。
〈事案〉
Y社(東証二部上場)は、ソフトウエア開発及び販売等を業務と する会社であり、その従業員らは、営業成績を上げる目的で、架空売上を計上し、Y社の有価証券報告書に不実の記載をしたところ、その後不正行為が発覚し、Y社が同事実を公表した結果、Y社の株価は、大幅に下落した。
公表の数ヶ月前に、Xは、Y社の株式を購入した。
平成21年7月9日最高裁判決の事案です。この判決の中で
「原審は,次のとおり判断して,被上告人の請求を一部認容すべきものとした。上告人の代表取締役であるAは・・・組織体制 や本件事務手続を改変するなどの対策を講じなかった。・・・本件不正行為の発覚の遅れを招いたもので,このことは,Aが財務部によるリスク管理体制を機能させていなかったことを意味する。したがって,Aには,上告人の代表取締役として適切なリスク管理体制 を構築すべき義務を怠った過失がある。
・・・上告人の代表取締役であるAの上記過失による不法行為は・・・」
と原審の要約をしてるのですが、どうして代表取締役に不法行為が成立するのかがわかりません。
仮にリスク管理体制を構築すべき義務に違反した過失があったとして、これが代表取締役の不法行為を構成するのはなぜでしょうか?
リスク管理体制構築義務違反が権利侵害行為に該当するということなのでしょうか?
さらに最高裁判決では結局過失がなかったとしてますが、
「上告人は・・・チェックを経て財務部に売上報告がされる体制を整え・・・通常想定される架空売上げの計上等の不正行為を防止し得る程度の管理体制は整えていたものということができる。そして,本件不正行為は・・・通常容易に想定し難い方法によるものである・・・財務部におけるリスク管理体制が機能していなかったということはできない。」という記載からするとそもそも義務違反がないので、過失の話をする必要がないのではと思うのですが、どなたかわかる方教えていただけないでしょうか。