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記憶項を伴う波動方程式とは ?

両端を固定した弦の微小振動を表す波動方程式 u_tt(t,x) = c^2u_xx(t,x) (c は波の伝播速度) に記憶効果を考慮すると右辺に\int_0^t a(t-s)u_xx(s,x)dsのような積分項が加わるらしいのですが, そもそも, 弦の振動の記憶効果とはどのような物理現象なのでしょうか? (過去の影響を表すようだが...) またそれを数式で表現したものが積分項になる理由を教えてください. このようなことが書かれている文献(和・洋を問わず) でも構いません.

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  • chukanshi
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回答No.1

「記憶効果」というのは、物理現象によく現れるもので、弦に限ったものではありません。物理では、ミクロでもマクロでも「運動方程式」は時間に関して可逆でありますが、現実、マクロで不可逆の現象は一般に存在するわけです。つまり、時間の方向がわかるわけで、それは、過去の効果が残っていることが一因です。これを「記憶効果」といいます。 一般に、このような効果を表すには、運動方程式に摩擦の項を導入します。 例えば、一般の緩和現象では、着目する物理量Aに対して、その時間変化は、 dA/dt=iωA-γA (1) と書けます。右辺2項目が摩擦の項です。この解は、 A=A(0)exp(iωt-γt) となり減衰関数になります。 でもこれでは、時間的には瞬間の効果しか入っていません。 記憶効果をとり入れるためには、これを拡張し、 dA/dt=iωA-\int(from0tot)M(s)A(t-s)ds (2) とします。ここでM(s)は記憶関数とよばれ、Aの「過去」が現在のAの変化率にどれくらい利いているかをあらわす関数です。つまり第二項が記憶項で、摩擦の拡張になっています。 例えば、過去が利かない(記憶がない)ときには、 M(s)=2γδ(s) とデルタ関数になって、これを(2)に代入すると、(1)の式になります。 つまり、過去の記憶をとりいれればならないときには、このように、積分項を導入しなければなりません。 (ということは、感覚的に上記例でわかっていただけると思います。) 弦の場合も同じです。 つまり、弦の運動の不可逆性を、単にその瞬間の摩擦(エネルギー散逸)だけではなく、過去の効果もとり入れる場合には、積分項が必要です。 弦の記憶効果も、広い意味で、弦の「摩擦」(エネルギー散逸)ととらえればよいでしょう。 このような「記憶効果」の一般論は、非平衡や不可逆の物理(力学、熱力学、統計力学など)の教科書には必ず載っているはずです。

memoryterm
質問者

お礼

ご回答ありがとうございました (返事が遅くなり申し訳ありませんでした). おかげさまで, おおよそのことはわかりました. お答えに便乗してもう少し質問させて下さい. 回答にある記憶関数 M(t) としては具体的にどのような関数を考えるのが自然なのでしょうか ? たとえば, t=0 で M(t) がsingular (M(0)=\infty になる) だが t \to \infty で 0 に減衰する関数と, t=0 も込めて微分可能な関数では, 物理現象としてはどのような違いがでてくるのでしょうか ? それから, ご指摘の非平衡や不可逆の物理の教科書をいくつか調べてみましたが, 「記憶効果」とはっきりと書かれた教科書を見出すことができませんでした. 具体的に文献を教えていただければ幸いです.

その他の回答 (3)

  • chukanshi
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回答No.4

まだ、締め切りではない様なので、 記憶効果や記憶項に関する 記述がある教科書を、ご紹介します。 非平衡系の統計力学 物理学教科書シリーズ 藤坂 博一 著 (1998/01/01) 産業図書

memoryterm
質問者

お礼

chukanshi さん, ご回答頂きありがとうございました. ご紹介の文献はすべて取り寄せて調べてみることにします. とりあえず弦の振動についてだけわかればと思っていたのですが, 意外に日本語の文献はないようですね. お礼の返事が遅くなりまして申し訳ありませんでした.

  • chukanshi
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回答No.3

>回答にある記憶関数 M(t) としては具体的にどのような関数を考えるのが自然な >のでしょうか ? >「記憶効果」とはっきりと書かれた教科書を見出すことができませんでした. 具体>的に文献を教えていただければ幸いです. 申し訳ありません。確かに、「記憶効果」について具体的に書かれている本は、 なかなかありませんでした。 その中でも、良い文献をあげておきます。 鈴木増雄著「統計力学」岩波書店 「記憶関数」が、他の物理量からどのようにして導出されるのか記述がある。 索引で「記憶関数」を調べてください。 久保亮五他著「統計物理学」岩波書店 「記憶項」についての、形式的で一般的な理論が展開されている。 索引で「記憶項」を調べてください。 以上の文献等を読んでいたら、自分でもよくわからないところがいっぱい出てきて、すっかり自信をなくしてしまいました。 まとめを書こうと思いましたが、申し訳ありませんが、駄目です。 お許し下さい。 以上で、私からのコメントは終了です。 大変失礼しました。

  • chukanshi
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回答No.2

記憶効果について詳しい文献は、洋書で 「Quantum dissipative systems」 Weiss著 というのがあります。かなり専門的な本です。 量子系の本ですが、始めのほうの古典論の レビューが役に立ちます。 波動の記憶効果について書いてあるわけではありませんが 一般論が書いてあるので、波動についても、 今のご質問に簡単に応用できると思います。 記憶関数の性質や、日本語の文献は、いま整理してまとめて いるところです。 近日中にこの欄に書きこみますので、 まだ締め切らないでください。 乞う、ご期待。 遅くなってすみません。

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