徐々に長くなったというのを、例えば、1mmづつ長くなったとか、1cmづつ長くなったと考えると、何か中間種が多数いたように思えますが、実際は、恐らく、10cm首の長い個体が突然変異などで生まれ、その遺伝子が、類縁種に広まり、全体として、10cm首の長い種が生まれたというような過程だったと思えます(祖先の一方が、ただ一個体であるというのは、アフリカでの原イヴ説で、最近はありえることが認められてます)。
10cmではなく、50cmとか1m一度に長くなった個体が生まれたことも考えられます。その場合、1m首の長さに違いのある「種」が二種類存在し、互いでこう配などもあり、結果的に、二つの種類に分化したとして、遺伝の変異で、新しい種が生まれるのは、地質学時間でごく短期間です(例えば、新しい種が生まれ、定着するのに5千年かかっても、地質学的時間では、非常に短い時間といえます)。色々な首の長さのキリンがいたのかも知れませんが、キリンの場合、首が伸びて行く過程が化石では追跡できていなかったと思います。
また、馬の進化の研究で有名なのですが、小さな馬から大きな馬へと進化して行ったというのは、一系列の進化ではなく、化石として残っている馬の種類を古い順に並べているだけだというのも最近言われています。つまり、馬は連続的に段々大きくなって行ったのではなく、ある非連続的な飛躍で進化が起こったと言えるのです。途中の段階というのが、見つからないのではなく、最初から「ない」可能性があるのです。進化というのは、こんな風なものだと最近考えられています。
(例えば、有名なバージェス頁岩に含まれる化石の研究では、非常に多様な生物が、一度に出てきて、それが、偶然の理由で、多数滅びることで、残った少数の生物から進化が起こるという理論があり、生物は、段々複雑に多様化したのではないという考えが支持されてきています)。
こういうことから、段々と首が長くなって行く段階のキリンがいた訳ではなく、例えば、原キリン生物から、現在のキリンまで、首の長さだと、二、三回の突然変異進化などで発生が起こったということもありえるのです。この場合、中間の首の長さのキリンは最初からいなかったことになります。首の長くない原動物から、いきなり、5mも長くなった訳ではないでしょうが、最初は50cm、次は1m、その次は3mとかいうような段階だったかも知れません。
古い段階のキリンが残っていてもおかしくないのです。例えば、うまなどは、人間が手を入れていない段階で、小型で華奢なものや、頑丈なものなどが平行して残っていました。キリンの場合は、淘汰されたかで、現在の首の長さの種だけが残っているのでしょう。また、途中の首の長さの種類のキリンは、化石が残るほど、長い時間存続していなかったので、なかなか化石が見つからないのでしょう。
注)種を維持するには、最低必要な個体数というのがあります。例えば、それは自然状態だと、数千頭ぐらいは必要です。人間が保護して繁殖させると、100頭ぐらいに一旦減っても、そこから数千頭まで回復することがありますが、自然状態では、千頭以下になると、滅亡して行きます。一頭だけ残ったとしても、こう配相手がいないので、その祖先キリンが死ねば、その種はいなくなります。
お礼
非常に丁寧に回答していただき、本当にありがとうございます。 >色々な首の長さのキリンがいたのかも知れませんが、キリンの場合、首が伸びて行く過程が化石では追跡できていなかったと思います。 >途中の首の長さの種類のキリンは、化石が残るほど、長い時間存続していなかったので、なかなか化石が見つからないのでしょう。 化石で追跡できないのは残念ですね。 私は、首は10cm位ずつ、もしくは50cm位ずつ 長くなっていったのではないかと考えていたので starfloraさんに同じようなこと(?)を言っていただけて なんだか嬉しかったです。 種の維持に必要な個体数のことは知らなかったので、 教えていただけてよかったです。 大変勉強になりました。 ありがとうございました。