綱吉のころには幕政も安定し、いわゆる元禄時代という太平の世を迎えます。幕府の大名統制も、力による支配から、法秩序および仁・徳による体制の維持へと変化していきます。学問好きの綱吉にとっては、幕政や社会秩序の維持・安定の道具ともなる儒学はうってつけの学問だったといえます。
儒教は、身分秩序を重視し、五常(仁、義、礼、智、信)という徳性を修めることで、五倫(父子、君臣、夫婦、長幼、朋友)関係を維持することを説きます。この五倫については、幕府の封建支配、および社会の秩序維持にとって都合の良いものでした。
したがって、幕府のみならす、各藩においても藩校を設け武士の師弟の教育に力を入れました。儒学の中でも、特に朱子学が重視され、幕府公認の学問(官学)となります。