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鉄筋コンクリートの利点を物理学で説明すると?
鉄筋コンクリートのなかの 鉄の棒は引っ張りに強いが押しに弱く、 コンクリートは引っ張りに弱いが押しに強い。 このことは物理学で説明するとどういうことですか? よくわからないのですが、粘性、剛性、展性、分子の結びつきなど物理学のキーワードで説明されそうです。よろしくお願いします。
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鉄というと原子のFeと混同しやすいので、ここでは材料としての鉄のことは鋼材と言わせてもらいます。 鋼材の性状としては圧縮(押し)・引っ張りに対する強度も剛性もほぼ同じです。 しかし鉄筋のような断面に対して長さがある形状をしたものの場合、圧縮力が加わると座屈という現象が生じるため、「鉄の棒(鋼棒、鉄筋)」は押しに弱いと言われるようです。 なお、座屈というのは圧縮力の働く方向と直角方向に変形して壊れる現象です。 これは材料の物理的な性質ではなく、形状による性状によるものです。 一方コンクリートは材料的な性質として、引っ張りと圧縮で性状が異なります。引っ張り強度は圧縮強度の10分の1程度しかなく、10分の1の力で、ひび割れを発生します。 また、鋼材はは靭性に富む材料で、許容応力度を超しても降伏しても、すぐに破断したりしませんが、コンクリートは許容応力度を超すとひび割れが発生してしまいます。 これは以下のような理由だろうと思います。 鉄は鉄Feと炭素Cなどの原子の結びつきにより構成されている材料であります。一方コンクリートは、かなり複雑な材料です。 まず主材料のセメントはCaCO3を主成分とする石灰質原料にSiO2を多く含む粘土質原料と酸化鉄を混ぜてつくられたものであって、これに水と石と砂を混ぜて造る材料です。 セメントは水と水和反応をし、Ca(OH)2等に変化して結晶化し硬化します。さらにこの硬化物(セメントペースト)を接着剤として、強度の高い砂や石などを一体化させた材料がコンクリートです。 以上のようにコンクリートは水和反応による材料であり、さらに異なる材料から構成される複合材料であるという材料の構成自体が異なる材料だから引っ張りと圧縮で異なる性状をしますのではないかと思います。 鉄筋コンクリートとして部材を構成した場合、鉄筋の座屈をしないようにコンクリートが鉄筋拘束し、コンクリートが引っ張り力を負担しないように鉄筋を配置することにより、力学的に安定し、高価な鋼材料を減らし経済的に造れる材料でもあります。 またコンクリートはアルカリ性を示すため鉄筋の酸化(鉄筋の発錆)をふせぎ、また熱保容量が大きいので熱伝導を防ぐことから、鋼材の熱による強度低下を防げるため、耐火性の高い材料としても利用価値があります。 以上のように鋼材とコンクリートの相互の欠点を補い合って、経済的で強度の高い材料として、優れた部材を構成できるので、建築・土木の分野でよく使用されます。
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- ys528
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建築構造屋です コンクリートの最大の利点はコストの安さなのですが、 物理的な利点というと、鉄とコンクリートの相性のよさを言えばよいのかな? よく言われるのが、線膨張係数がどちらも1x10^-5(1/℃)で同じだということです。 これがちがうと、日光などで暖められただけで、コンクリートがバリバリとひび割れてしまうことになります。
お礼
ありがとうございます。 寒くなってきましたが皆さん、お体にお気をつけください。 では、紅葉が麗しい嵯峨野より。 観光にいらっしゃい。
お礼
すばらしい回答を拝見しました。これを読んでいる皆さんを代表して感謝します。