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フッ素系界面活性剤の役割

大学で界面活性剤などの研究を行っている学生です。 水性膜泡消火薬剤などに含まれているフッ素系界面活性剤の役割について調べているのですが、「表面張力を下げて流動性を高めている」というところまでしか分かりません. どのようにしてフッ素系界面活性剤が表面張力を下げているのでしょうか? 勉強不足で申し訳ないのですが、どなたか教えて頂けないでしょうか。 よろしくお願いします。

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  • ベストアンサー
  • DexMachina
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回答No.2

液体の表面張力は、液表面の分子・原子が、本来であれば隣接分子・原子との分子間引力による安定化を受けられないことで発生する力です。 (参照URL参照) 極性溶媒の場合、この分子間引力は、構成原子間の電気的偏りを元にした電気的引力によっているので、一般に、非極性溶媒より表面張力が強くなります。 (代表的な極性溶媒である水は、水素結合により表面張力が大きい) 一方、非極性溶媒の場合は、分子間引力はファンデルワールス力になります。 この力は、分子内で瞬間的に発生する電気的な偏りによる電気双極子による引力と説明されています。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%AB%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%B9%E5%8A%9B C-F結合は電気陰性度の差からすると、フッ素がかなり負電荷を帯びていることになります。 ただ、パーフルオロ系界面活性剤は、骨格となる炭素鎖の殆どをフッ素原子で覆われているため、その骨格全体としては電気的偏りを持たない形になります。 (四塩化炭素が非極性溶媒であるのと同様) このことは、パーフルオロアルキル基部分が「疎水基」であることからも理解できます。 一方、このパーフルオロアルキル基のファンデルワールス力の強さですが(→以下、私の個人的見解になります)、パーフルオロ系界面活性剤では、強い電気陰性度のフッ素で覆われているため、「瞬間的な電気的偏り」によって、その表面が陽電荷を帯びることはまずなくなるはずです。 (つまり、「マイナス側での揺れしかない」、と) この結果、「瞬間的な電気的偏り」によるファンデルワールス力も弱くなります。 この、「極性溶媒・非極性溶媒のどちらとの分子間引力も弱い」ことが、「界面に存在することによる不安定化」を減らすために、より界面に集まるようになり、また、表面張力を下げる要因ともなっているのではないでしょうか。 長文になってしまい、すみません。 極性が高いはずのフッ素の化合物であるフッ素樹脂が、どんな物質に対しても親和性が低いことに、常々疑問を持っていましたので、つい熱が・・・(笑)

参考URL:
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A1%A8%E9%9D%A2%E5%BC%B5%E5%8A%9B
kreis1999
質問者

お礼

DexMachina様 詳しい回答ありがとうございます。 熱い内容に負けないようにじっくりと読ませて頂きました。 フッ素系界面活性剤のこのような効果の傍らPFOS問題などの環境問題が取りざたされていますね。 同様な効果(表面張力を下げる等)を有する低環境負荷なものがあれば良いのでしょうが・・・ フッ素系樹脂やフッ素系界面活性剤はパーフルオロ基という長鎖なものですが、これが短鎖などになっても(C4やC5など)になっても同じような効果があるのでしょうか?

その他の回答 (3)

  • DexMachina
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回答No.4

> これが短鎖などになっても同じような効果があるのでしょうか? 短鎖になると、界面活性剤としての効果は弱くなります。 以下、理由(推測)を説明します。 水と混合した界面活性剤が界面に集まるのは、 「より強い水素結合をつくる水分子同士のつながりに押し出されるため」 という理解の仕方ができます。 (勿論、ミセルの場合は、それに加わって、疎水基同士の結合の関与も大ですが) この考え方に立った上で、疎水基を「空気の入った風船」、親水基を「おもり」に譬えます。 (浮力とは、見掛けは「空気などが浮こうとする力」ですが、実際には「水が押しやろうとする力」なので、「水同士の結合に押しやられる」疎水基と重ねて見よう、ということです) ひとつのおもりにいくつも風船を繋げると、それは水面に浮いて、少しかき回したぐらいでは水面下に沈むことはありません。 一方、この風船を減らしていくと、浮力も減って、かき回せば水面に沈むようになり、ついには完全に沈むことになります。 これと同じで、疎水基が短くなればなるほど、疎水基は水流(水の熱運動)によって、水の中に引きずり込まれることになるので、界面活性剤としての効力は弱まると理解できます。 なお、フッ素系界面活性剤のパーフルオロ基(疎水基)は親油性も同時に低いことからミセルを形成するより界面に集まりやすく(=表面張力を下げやすく)、通常の炭化水素系疎水基の界面活性剤の場合はそれなりに分子間引力もあるために比較的ミセルをつくりやすい、と推測できます。 従って、界面に集まるフッ素系は流動性の向上に、ミセルを作る炭化水素系は分散性の向上に、それぞれ寄与しているのではないかと考えます。

noname#62864
noname#62864
回答No.3

No.1の補足です。 炭化水素系であっても、一般に界面活性剤は表面張力を低下させると考えて下さい。その原理はフッ素系の場合と同様です。 フッ素系の方が、多少、表面張力を低下させる能力が高いということのようです。 それ以外にも、炭化水素系がおそらく可燃であるのに対して、フッ素系は難燃性であるといったちがいがあると思います。 ただ、こういったことが消化薬剤の成分の性質として、どの程度の重要性をも持つのかと言うことに関しては、小生にはわかりません。・・・素人なもので。

noname#62864
noname#62864
回答No.1

界面活性剤は、たとえば水の表面などに、親水性官能基を水の側に向けて配列することによって、表面を覆い、表面張力を低下させます。 参考URLの記述によりますと、「パーフルオロアルキル基の特長は、剛直で曲がりにくく、表面に整然と配列する」とされています。 この、剛直であることが、石鹸などの柔軟なアルキル基と比較して、界面活性剤自身の分子間力を低下させているのではないでしょうか。 また、パーフルオロアルキル基においては、アルキル基の表面がフッ素原子で覆われており、フッ素原子は、その電気陰性度の大きさのために、負の部分電荷を有していると想像されます。 そうすると、パーフルオロアルキル基の表面に負電荷が存在することになり、それがパーフルオロアルキル基間の反発、あるいは分子間力の低下につながるのではないでしょうか。

参考URL:
http://www.seimichemical.co.jp/j/product/fluorine/sarfron.html
kreis1999
質問者

お礼

w-palace様 研究室のネットワークの不具合でお礼の記述が遅れてしまい申し訳ございません。 非常に明快な説明で理解しやすかったです。 ありがとうございました。 水成膜泡消火剤にはフッ素系界面活性剤のほかに炭化水素系界面活性剤も含まれています。 炭化水素系界面活性剤では逆に表面張力を高くしてしまうという理解でよろしいでしょうか?勉強不足で申し訳ないです。 そこにフッ素系界面活性剤を添加して、表面張力を低下させて流動性を高めているのでしょうね。

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