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弾性体と時間
弾性体には時定数というものがあるようです. 物質によって現象が異なり,固体ではクリープ,液体(に近いもの)では粘性(レオロジー)とかいう現象がそれに相当すると理解しました. 方々探して見たのですが,概念は書かれているものの実際の数値についてはさっぱりです.どれくらいの値なのでしょうか?
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時定数とは緩和時間や遅延時間とすると完全弾性体ならば、緩和時間は無限大、遅延時間はゼロになります。つまり弾性体に時定数があると言うよりは粘弾性体に時定数が存在すると言う表現の方がふさわしいと思います。 弾性体と時間に対して疑問を待った理由は、弾性率が低くかつ高耐圧の材料を探しているのですか?完全弾性体というのは、粘度が無限大の材料と言うことになりますが、弾性の発現には二つのメカニズムがあります。1つはエネルギー弾性(金属などの弾性体はこのメカニズム)、もう一つはエントロピー弾性(ゴム弾性)です。ゴム弾性の方が弾性率は桁違いに低いので、弾性率の低い材料を探すのならば、ゴム弾性体の材料を選ぶべきでしょう。 ゴム材料をしっかりと架橋すれば、粘度は増加し、完全弾性体に近づきます。輪ゴムなどの加硫ゴムは、弾性率が小さく小さな力で大きく変形しますが、またもとの形状に復元します。 用途的に安定な材料が必要ならば、シリコーンゴムなども良いかもしれません。一度シリコーンメーカーなどに相談されたら如何ですか。
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- psa29
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tkfmさん、レオロジーというのは物質の流動や変形を取り扱う学問の名前で、高分子化学、金属学、力学などの表現と同じ意味です。それ故、応力緩和で変形するものがレオロジー,遅延をもって変形するものがクリープという理解でよろしでしょうか?というのはおかしいですね。応力緩和現象とクリープ現象、どちらもレオロジーの研究対象です。 ある材料に外力を加えて変形させ(ひずみを加える)一定歪みのまま保持すると一般的にその材料には元に戻ろうとする応力が発生します。もしその材料が完全な液体ならば、その応力は瞬間的に(時間0で)応力は消滅しまいます。完全な固体ならば、永久に応力は減少しません。プラスチックなどの実際の材料では、液体と固体の両方の性質(中間の性質)を持っているので、一定の歪みを加えたままの状態にしておくと、応力は徐々に減少していきます。応力の減少の仕方は材料によってまちまちですが、一つの指標として、初期応力(歪みを与えた瞬間:時間ゼロの時の応力)の1/eになるまでの時間を応力緩和時間といいます。(もう少し勉強すると緩和時間の分布という概念も必要となりますが、ここではそこまで踏み込まないことにします。)クリープ現象では、応力緩和試験が一定ひずみを加えたのとは対照的に一定の応力(実際の試験では外力)を加えます。もし、この材料が完全液体ならば、ニュートンの法則に従って流動していきます。(一定の速度で流れていきます。)もし、完全な固体ならばフックの法則に従って、(バネのように)瞬間的に変形し、その後は一定のひずみのところで静止します。しかし、実際の材料では、徐々に変形し一定ひずみに到達するまでに有限の時間を必要とします。完全固体が0時間で(瞬間的に)フックの法則に従ったひずみ量に到達するのに比べて、そのひずみ量に到達するのが遅れてしまいます。(液体の性質も持っているので)そこで、どの程度遅れるかの指標が遅延時間で無限時間後の歪みの(1-1/e)に到達するまでの時間を言います。この応力緩和時間や遅延時間のことを時定数と言っていると思います。レオロジーの世界では時定数と言う表現はあまり使わずに、応力緩和現象に注目すれば、応力緩和時間(または単に緩和時間)といったり、クリープ現象に注目すれば、遅延時間という表現を使います。
お礼
そういえば高温の金属材料ではレオロジーという言葉がしばしば出ておりました.どこから急に変わるかということではなく,現象が別だったのですね. 応力一定であるにもかかわらず歪がおおきくなっていくのがクリープ,一方,歪一定にしておいたのに緩んでしまって応力が弱まるのが応力緩和ですね. こういった経時変化が少ない物質でありながら,高耐圧,しかし弾性率は小さい材質っていうのはやはり難しそうですね. もう少し探してみることにいたします.ありがとうございました.
- psa29
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固体は一定の形を保持し、力を加えると変形するが力を除くと復元します。大きな力を加えると大きく変形します。加えた力の大きさと変形量(ひずみ量)との関係には有名なフックの法則がありすよね。 一方液体は、一定の形を保持できず力を加えると流れてしまいます。大きな力を加えるほど速く流れます。加えた力と流速との間には有名なニュートンの法則があります。固体や液体はフックの法則やニュートンの法則で表されますが、固体と液体の両方の性質を持つものがあります。そのような物質を粘弾性体といい、粘とは液体を弾とは固体を意味すると考えればよいでしょう。このような物質の変形や流動を取り扱う学問をレオロジーといい、レオとは流れという意味だそうですから、直訳すると流れ学となりますが、一般には訳さずレオロジーとカタカナ表記します。 粘弾性を理解しやすくするために固体の性質部分をバネで液体部をダッシュポットの模型で表します。このような模型が物質の中にあるのではなく、粘弾性という複雑な挙動をモデル化しただけです。 このようなモデルは電気の回路図と共通点が多いので、電気工学を学んだ人はレオロジーを理解しやすいと言われています。 時定数というのは、むしろ電気工学的な表現で過渡電流が最初の値の1/eになる時間をその回路の時定数といいます。 レオロジーにおいて、単純なモデルでは、応力が初期の応力の1/eになる時間を応力緩和時間といいます。クリープ現象では遅延時間という時定数があります。 応力緩和時間の実測値としては、液体に近い粘弾性体では数秒とか数分といった大きさであったり、加硫ゴムなどでは何万年という数値になります。 物質よって非常に幅広い数値があれれます。
お礼
回答ありがとうございます. 確認ですが,緩和現象で変形するものがレオロジー,遅延をもって変形するものがクリープという理解でよろしでしょうか?そして,その時定数は同じ現象でもまちまちということなのですね. 今まで金属材料関係を中心に調べておりましたが,レオロジーの方ももう少しあたってみることにいたします.
お礼
またまた回答ありがとうございます. ご指摘のとおり,弾性率が低くかつ高耐圧の材料を探しております.しかも一度設置したら取り出すことはありません.そのため,何十年という経時変化も気になったのです.(現在はアルミ合金で試作しています) 高圧下で小さな圧力変化を感知すればよいので,飛行機事故の原因となるような金属疲労は起きにくいと考えておりますが,クリープのように金属の結晶構造変化は生じてしまうかもしれないと危惧したのでした.(結果,バネがゆるゆるになってしまうかもしれない) 推薦いただいたシリコーンも経時変化では安定な材料の部類だと考えています.メーカに問い合わせてみます. いろいろとありがとうございました.